また青木真也の問題。(※もうだいぶ時間が経過したし、動画も切れてるので、補足を。格闘家の青木真也が、2009年大晦日の試合で相手の腕を(意図的に)骨折させ、倒れた相手に中指を立てて問題になりました。この記事は2010年1月、まさに直後に調べて書いた記事です)
自分が覚えてるテレビ放映は、格闘家の青木真也選手が2009年大晦日の試合で、対戦相手の腕をアームロックでへし折って勝利したあと、敗者に対して中指を立てたものです。
— 須藤玲司 (@LazyWorkz) 2017年2月27日
日本の格闘技史上に残る凄惨な地上波テレビ放映で、大問題になりました。 pic.twitter.com/47NuQXvPWn
青木真也って結構なベテランで最近は大仁田と電流爆破とかDDTで男色ディーノとかともプロレスしてて、未だに総合でも第一線なの本当すごいな!昔勝った相手に向かって中指立ててた時期の頃はないわ〜って思ってたけど、ずっと注目浴び続けるのは凄い。RIZINで見てみたい。 https://t.co/ggTJxdqkyg pic.twitter.com/NZi7cwIZUa
— ウルトラのTAKA (@taka6x6x6) 2020年9月10日
何人かがすでに指摘しており、またこれはやや周辺部に属する話だったので後回しにしていたのだが、中指ポーズ、いわゆる「FUCKポーズ」ってものの受け取り方、ニュアンスについてである。
これがアメリカ?などでは侮辱の中でも、かなり意味の強いものとして受け取られており、たとえばこっちは「軽い気持ちでやりました」、であってもそれは通じないだろーというのは自分も知識としては持っている。
のだが。知識にとどまる。
実は80年代、(はいまた昔話ですよ)子供の自分が最初に知ったのは、この前引用したように
であります。これなに?
これはコレ。
は、1985年(昭和60年)から1987年(昭和62年)にかけて「週刊少年サンデー」(小学館)において連載された、ゆうきまさみによるSF学園コメディ漫画。第19回星雲賞マンガ部門受賞。
私立春風高校を舞台に、光画部という一般にいう写真部に属する生徒・OBたちとその周辺で起きるさまざまな奇妙な事件を描く。体育系のクラブ活動を描く既存の学園マンガと異なり、それまで日の当たらなかった文化系クラブの、社会的には変人に分類される生徒や人々の生態をユーモアをこめて肯定的に描いた。
本日ドラマが放送の「とめはねっ!」のご先祖に当たるような当たらんような。
この登場人物
鳥坂先輩(とさか)【D,A 神谷明[3]】 "部長"
光画部の暴君。常に眼鏡が微妙に光を反射している(眼鏡がないシーンもあるが、その際は前髪で目が隠れた)。自称「19年間連勝を続けてきた男」、「ザ・OB」(ワイド版・文庫版では「ジ OB」)、「敗北を知らぬ男」(たわば曰く「敗北を忘れる男」、「鳥頭」)。「生まれついての騒動屋」とも称される。性格は、押しが強くて厚顔無恥、かつ好戦的な性格。あ〜るに関節技をかけたり、右手中指を突き立てるポーズをとったりすることからもその性格が伺える。
太字、大文字だけを読んで「似てる!やっぱり!!」とか言わないように(笑)。
これはわたしの体験談であって統計的な裏づけはまーったく無いんだけど、この漫画が連載され大人気(※連載は約2年だが、それは作品中の登場人物がリアルタイムで進級・卒業することや作者の腰痛悪化が原因だという。またその後すぐ、作者のゆうきまさみはさらなるヒット作「機動警察パトレイバー」を産み、その前作としての知名度もあった)だった時代、普通に生徒たちはこのセンパイのきめポーズとして実に頻繁に登場したこの真似をしておりました。私自身は幸か不幸かやったことはないはずだが、80〜90年代にそっち系列の青春を送った人の写真の中に、暗い歴史としてこのポーズを取っている人もいるんではないかな(笑)
と、一緒に、パンクとかメタルとか、それもメタルの中にはデスメタルとかヘルメタルとかレアメタルとかあるでしょう。パンクが平家でメタルが源氏(分かる人ごく少数)。
こういう人たちの音楽はまさにこの、ファックな大人たちとシットな体制に対して異議を申し立てるあれだから敢えてすごーい、神をもおそれぬ挑発行為としてポーズを取った。
でも世界的に人気が出ると、それを真似する人も増えた。
一部には、「そもそも敢えて、ものすごいタブーに挑んでいる挑発行為」というニュアンスまでは伝わらなかった(笑)
ほんとのところ、鳥坂センパイはこっちのカルチャーを変形して伝えたんだと思うんだが、ま、わたしのこの音楽史解説は超のつくほどテキトーですので。
とくにこのポーズの含意、意味づけ、そのニュアンスの強い弱いは国ごと時代ごとにも違うし、一種誤解はデフォルトとも言える。
高島学氏がこの問題を批判するコラムを書いたが
http://www.fnlweb.com/column/2010/01/fightlifefuck_u.php
・・・実は、もう20年近く前になるが、大学生のときに米国へ行き、
車を運転中に後方からクラクションを鳴らされ、
この中指を立てるという行為を行なったことがある。
次に車が止めた時、
後方の車から降りてきたアフリカン系アメリカ人の怒りようはなかった。
それはそれは空恐ろしく、ひょっとしたら命がないものかとビビったものだ。
シカゴ郊外、当地に住むようになって3年目の兄は
『お前、殺される覚悟がないなら、そんなこと絶対にするな』と、
目の色を変えて、どなり散らした。兄から母へ渡すよう、預かっていた現金を競馬でスッてしまうような最悪な愚弟に対しても言葉を荒げることがなかった兄が、目に怒りを込めて大声を出していた。
本当にバカでバカでしょうがなかった自分でも、
その中指を立てるという行為だけは、今後の人生で決してしまいと思った。
このエピソードは「それほど中指ポーズは米国などでは重大なのだぞ」ということだが、逆に言うと「あのポーズが挑発である」という知識と「殺されるまであってもおかしくないほど重大だ」という意味づけの重みが、実体験でもへないと当時は?認識できなかった、という貴重な証言である。「もう20年ほど前」、というとまさに「あ〜る」がひそかな人気を持っていた時代と重なる。彼自身が読んでいるような漫画でもないと思うが。
こっちも絶対に「究極超人あ〜る」なんて縁が無いと想像する増田俊也氏のブログ
http://blog.livedoor.jp/masuda_toshinari/archives/51361920.html
…自由な立場で発言できる作家として、不謹慎なのは承知で別の角度から少しだけ擁護してみよう。
思うのは、中指を突き立てるあのポーズは、日本人にとってそれほど嫌な気分になるものではないのではないかということだ。
「ファック・ユー!」
そういう意味だ。
しかし、 この言葉を投げつけられて傷つく日本人はいるだろうか。
たとえばアメリカの小説の翻訳などを見ると、この言葉を訳すのに訳者たちがたいへんな苦労をしているのが見てとれる。
日本語に置き換えられないのだ。「このゲス野郎!」
こんな言葉が使ってあることが多い。
映画の字幕なんかでもそうだ。
日本人の文化には、おそらくそこまで人を侮蔑する言葉というものが存在しないのではないか。「ファック・ユー!」
そのまま訳すと、今の若者の言葉でいえば
「犯すぞ!」
女の子が言えば「エッチしようよ」くらいか。
なんともしまらない。「ちくしょう!」
くらいの言葉が、置き換えるには適当か。
そういえば、日本語の悪口には、性の用語と結びつけるようなボキャブラリーが、例えばヨーロッパはおろか隣国と比べても少ない・・・という話を以前このブログのどこかに書いた気がするな(探せず)。
結局自分はその後、同じく某ファン○ードなんかで「鳥坂センパイのあれは外国ではシャレになりません!注意して!!」的な記事を時々読むようになったし、外国経験はずっとあとなので高島氏のようなトラブルは発生しなかっ。今回もやっているのは日本だから、日本の平均ニュアンスが最優先されてしかるべきではあるけど、一方でじゃHDnetでノーカット生中継なのだから(日本で生放送は無いのに・・・)、気ぃ付けなさい、それが海外で不評をかましても自己責任というしか無いわな。