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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「民主主義 影も含めて ここにあり」・・・スイス、国民投票でイスラム教寺院の塔設置禁止

http://obiekt.seesaa.net/article/134292989.html
で知った。(基エントリのメインは、武器輸出に関する国民投票の話題)
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/091130/erp0911301809006-n1.htm
http://mainichi.jp/select/world/news/20091202dde007030005000c.html
もっと詳細に知りたくもあるが、経験上この種の話題はあまり日本メディアには出ないし残らないと知っているので、これも記録を保存する。

【ロンドン=木村正人】スイスで29日、ミナレットイスラム教寺院の塔)の建設禁止を求める国民投票が行われ、賛成多数で可決された。反対投票を呼びかけていた政府は、結果を受け新規建設を禁止するとみられている。イスラム系移民が急増する欧州では移民排斥を訴える声が次第に広がり、オランダや英国では極右政党が台頭している。スイスでの国民投票も、そうした潮流を反映したものだ。一方、イスラム社会の反発は避けられず、外交問題に発展する恐れもある。

 地元メディア・スイスインフォやロイター通信によると、国民投票は議会第1党の右派・国民党が呼びかけ、10万人超の署名を集めた末に実施された。ミナレットの建設禁止には憲法改正が必要なためだ。投票では26州中22州で賛成が多数を占め、スイス全体では賛成は57・5%に達した。

 スイスのイスラム系移民は1980年代には5万人台だった。その後、旧ユーゴスラビアやトルコから流入し、現在では30万〜50万人とされる。国内のイスラム関連施設は130〜160カ所あり、このうちミナレットは4カ所に設置されている。大音量で礼拝を呼びかける「アザーン」は、住民の反対で禁止された。

 政府と距離を置く国民党は、白い羊がスイス国旗から黒い羊をけり出すポスターを使用し、犯罪歴のある外国人の追放など排外主義政策を次々に掲げてきた。「ミナレットは政治権力の象徴で、イスラム化を完結する意図を表している」として、建設禁止を求めた。

 これに対し、政府と議会は「ミナレットの建設禁止は憲法違反であり、信教の自由を侵害している」と反対投票を呼びかけた。事前の世論調査では反対が優勢だった。だが、昨年秋の金融危機以降、国民の間に、移民労働者に仕事を奪われるとの警戒心が強まっていることが、賛成派の勝利に結びついたようだ。

政府は投票結果を受け「イスラム教、イスラム文化を禁止するものではない」との声明を発表した。しかし、新規建設を禁じる憲法改正手続きを進めるとみられており、反対派からは欧州人権裁判所への提訴を求める声も出ている。

 フランス通信(AFP)によると、イスラム社会の反応としては、エジプトのイスラム法学者アリ・ゴマー師が「スイス内外のイスラム教徒への侮辱だ」との声明を発表した。2005年に、デンマーク紙がイスラム預言者ムハンマドの風刺漫画を掲載し、イスラム諸国で抗議の嵐が吹き荒れたことは記憶に新しい。


この問題で、「伝統的景観重視」的な議論が展開されたらこれはまた別の問題なので(「景観」は他者危害の原則からは外れているのだが、ひとつの考えとして定着していて面白い論点。梅図かずおのまことちゃんハウス問題参照)やっかいだったが、そうではないようだ。

だとすると、これはマイノリティを「多数」が押しつぶす、ということになりかねない。イスラム教がまだ多数派でないなら「イスラム教の塔建設に反対のひと?」「はーーい」「じゃあ決まりデース」という、小学校の学級会でお休みの人にいきものががりを押し付けるような決め方もできるわけだ。
こういう場合、やっぱりつらつら考えるに三権分立ってのはよくできているもので、裁判所というのは法律のお勉強ができて試験に通った人々が「貴族階級」(といって悪ければ「特権階級」)を結成し、8割9割が反対だろうが違法といえばそれをひっくり返せる。古代ギリシャはいろんな役職を市民間の「くじびき」で決めたそうだが(どんな市民にも政治家、行政官ができるはずだ!できなきゃおかしい!という究極の民主主義)、そういうあれかな、「ふつうの人の素朴で正直な意見こそが正義」という陪審員裁判員のような理念と「きちんと学んだ専門家、テクノクラートの意見こそが正義」というのは、実は理念の部分で非常に根本的な対立を持っている。
この前、竹島密約をめぐる「外交」の話でも書きましたね。


上の新聞記事は膨大であろう主張を一行にまとめているので本当はもっと精緻な論理構築が禁止推進側もあるとは思うが「ミナレットは政治権力の象徴、イスラム化を狙うものだ」というのは無理筋だろうし、それに「国のイスラム化」を民主主義の中で進めていっていいのか悪いのかも原理的には難しい。
これも以前書いたが、70年代?初期公明党創価学会)が「国立戒壇を作るなどの党方針は憲法違反だ!」と批判され、ある関係者が小室直樹に相談した。
小室の答え
「『教義が憲法に反していてなぜ悪い。我々にとって法華経が絶対である』と答えなさい。そうじゃないと信教の自由が妨げられるでしょ」


質問した創価学会の人が   ひ  い  た   そうです。