INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

イランの学生、最高指導者ハメネイを詰問す(毎日新聞)

http://mainichi.jp/select/world/news/20091112ddm007030033000c.html

イラン:「なぜあなたを批判するのが許されない」 学生、ハメネイ師を詰問 ◇内外で注目


 【テヘラン鵜塚健】言論統制の厳しいイランで、最高指導者ハメネイ師を面前で批判した男子学生が内外で注目を集めている。

 AP通信によると、その学生はシャリフ工科大で数学を専攻するバヒドニアさん。先月28日、ハメネイ師が同大学で、大混乱を招いた6月の大統領選の正統性について演説した後、質問に立ち、「この国では、なぜあなたを批判することが許されないのか」と詰問。「新聞を読んでも批判記事は見当たらない。国営テレビやラジオは反対派の動きを正しく伝えない」とたたみかけた。

 また選挙の開票不正疑惑に反発して拘束された市民らが、刑務所で拷問やレイプの人権侵害を受けたとされる問題で、最高指導者としての責任にも触れ、一連の追及は約20分間に及んだ。ハメネイ師は「批判を禁じた覚えはない」と答え、足早に引き揚げたという。

 最高指導者を面と向かって批判したという前代未聞の出来事に、反対派市民は「タブーを打破するものだ」と英雄視。これに対し、偽の逮捕情報が流れたり、イタリアの複数の国会議員が「彼の勇気をたたえたい。必要なら亡命を受け入れるべきだ」と発言するなどホットな話題になっている。


近年、事故で亡くなったジャーナリストのデビッド・ハルバースタム(だったと思うんだが。うろ覚え)は多くの政治家、企業家、スポーツマンに取材したが、晩年「あなたにとって一番のヒーローは?」と聞かれて「1989年の天安門事件で、戦車の前に素手で立ちふさがった中国の学生。彼が私にとってのヒーローだ」と答えた。

ここに紹介があった
http://labaq.com/archives/50761341.html

1989年に起こった六四天安門事件の直後に戦車の前に立ちはだかる男を撮影したものである。この勇気ある行動を西欧では称えた報道をしているが、彼が誰なのか確認されておらず、生死も明らかになっていない。本名がわからないため、「無名の反逆者」(the Unknown Rebel)と呼ばれた。

この「無名の反逆者」の祖国中国では、これらの英雄的行動はその人ではなく、宇宙に満ちている正しきチカラ、「正気」が人にそうさせているのだ、という考え方があった。2000日書いていると、これも既に紹介済みだが。
http://ja.wikisource.org/wiki/%E6%AD%A3%E6%B0%97%E3%81%AE%E6%AD%8C

この宇宙には森羅万象の根本たる気があり、本来その場に応じてさまざまな形をとる。
それは地に下っては大河や高山となり、天に上っては太陽や星となる。
人の中にあっては、孟子の言うところの「浩然」と呼ばれ、見る見る広がって大空いっぱいに満ちる。
政治の大道が清く平らかなとき、それは穏やかで立派な朝廷となり、
時代が行き詰ると節々となって世に現れ、一つひとつ歴史に記される。
(略)
この正気の満ち溢れるところ、厳しく永遠に存在し続ける。
それが天高く日と月を貫くとき、生死などどうして問題にできよう。
(略)
賢人のいた時代はすでに遠い昔だが、その模範は太古から伝わる。
風吹く軒に書を広げて読めば、古人の道は私の顔を照らす。

中国からイランへ「正気」は伝わったのだろうか。
しかし、イランが微妙に、中途半端な形で民主的な気風を持っているという話は何度も書いていますが、池の氷も厚く張っているか、完全に溶けているならともかく、ちょっと暖かいときは割れたら上にいる人たちが大惨事になる。イランの民主化をめぐる状況は、それに近くなっている気がする。