そうだこれは紹介がらみなので書いておこう。
先週だったか先々週だったか、ちょっとCSをつけたら偶然「銀河英雄伝説」の再放送があった。
やっていればついつい見てしまうのだが、ちょうどそのときは最初にラインハルト王朝となった銀河帝国が自由惑星同盟に侵攻し一方的に有利な和平を結ぶ「神々の黄昏」作戦をやっていた。
ふと銀英伝の原作小説を思い出したとき、自分が一番面白かったのはこの「神々の黄昏」作戦から、再侵攻によって自由惑星同盟が完全に滅亡する時代だったと思う。
というのはもともと、あの作品は民主国家・自由惑星同盟を一方的な善玉にしないために、政治家たちや軍政家(軍上層部)は多くが俗物の扇動屋・腐敗の保身家でなければいけない構造がある。(あと田中芳樹の思想的趣味による政治家批判もある(笑))ため、ヤン・ウェンリーは軍事的にも足を引っ張られざるを得ない。
結果的にこれをモデルにしてシミュレーションゲームをつくると非常にバランスが悪い(爆笑)。
だが、敗退への道筋が見えてきたところで、攻められる自由惑星同盟は一度キャラクターがリセット状態になり、この時期になってようやく自由惑星同盟の政治家も軍上層部も個性がきらりと光る新キャラクターが出ている。
ひょうひょうと大胆な作戦を、サンドイッチを食べながら提案するチュン・ウー・チュン(※今、名前をど忘れしたので「パン屋の二代目」で検索したら一発で見つかった(笑))や、「名前が長い」という一発屋な個性を持つスーン・スールズカリッターもさることながら、やはりそれまでの日常ではまったく理想も経綸もない、汚職まみれの二流政治家だったのが、最大の危機で旧政治家が逃げ出しつつある中で一気に覚醒し、最後までヤンらの理解者、同盟指導者として身をなげうつアイランズ国防委員長の造形はすばらしい。並みの作家ではなかなか描けないだろう。今の田中芳樹なら?・・・言わせるな(笑)
あと、侵攻した帝国軍について「この戦力差では闘うのは無意味で、非戦闘員を巻き込んでしまうから」というそれ自体はもっともかつ立派な理由ですぐに降伏、多くの人命を救ったのだが、それが「鉄壁ミュラー」がぎりぎりでバーミリオンで絶体絶命の窮地にたったラインハルトの救援に間に合うという、宇宙の歴史を変える(祖国が滅びる)結果を生んでしまった・・・という、自由惑星同盟の辺境の行政官がなんか記憶に残る。
この時期のヤンの台詞
「わたしの軍人恩給は自由惑星同盟政府が存続しないともらえない。だから私は老後の安定のために皇帝を倒す。首尾一貫しているだろ?」(大意)というのも非常に味わい深く、印象に残る。
そんな銀英伝のファミリー劇場は、今四話連続の日曜日昼の放送と、月曜ー水曜深夜の一話ずつ放送のふたつがあるみたいですよ。
日曜日のほうはバーミリオンの戦闘まで終わり、一話放送のほうは「神々の黄昏」の発動のようです。
http://www.fami-geki.com/