http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090302ddm001030073000c.html
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090302ddm003030111000c.html
長銀トップの粉飾決算容疑は結局無罪だったというのは、けっこう重い話ではある。そもそも「破綻した銀行はつぶすべきか?救済すべきか?」という点では、政策の是非もそうだけど、世論・メディアのほうもぶれが目立った。
ああいう形になったのは戦後日本である意味では初めてだったから、その是非が当初は分からなかったことも仕方ない。今現在、アメリカの大手銀行が苦境になったときは同国内も日本の新聞も「迅速に救済せよ」という議論で一致した。
日本政府の不良債権処理は手探りで進められた。護送船団方式から米国式の金融自由化へ国策の大転換に急ごしらえで突入し、不良債権処理の厳格化と経営責任追及の二つのルールを未整備のまま導入した。
「やはり国策捜査だったということです。今も怖いんですよ」
1998年10月に破綻(はたん)した日本長期信用銀行(長銀、現・新生銀行)の大野木克信元頭取(72)は2月27日、取材に重い口を開いた。
破綻の翌99年6月、大野木氏ら旧経営陣3人は、不良債権を隠したとする粉飾決算の容疑で逮捕、起訴された。1、2審は有罪。
だが昨年7月、最高裁は逆転無罪を言い渡した。民事で請求された損害賠償責任も否定された。当時の政府の急なルール変更を、司法は認めなかった。
米国はサマーズ財務副長官が「駄目な銀行はつぶすべきだ」と公言していたが、首相公邸の晩から1カ月後、クリントン大統領は小渕首相との会談で、破綻前の銀行への公的資金投入を容認した。