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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「リストラする会社の社長が、個人資産を処分」という物語の強みと弱み(社長 島耕作)

昨日前編が放送、今日後編が放送される「日本オタク大賞」で「社長になった島耕作は、今後何になるんでしょう?」「一番有力なのは、最終的に『守護霊 島耕作』になるのではと」てなくだりがあって笑ったが、基本的にあんまり面白くないシマコーサク話で、今回ハツシバ電機の子会社で、赤字だった企業が他に売却されるという話があった。
で、その赤字会社では買収後リストラが行われるのであるが、買収に伴い身を引く先代社長が「社員のリストラ責任を取り、個人資産を会社に渡して退職金その他に充てたい」と申し出る。
その社長は豪邸から小さい借家になるが「すべて捨てると落ち着くもんです」と夫婦共に悠然たる態度で、島はじめハツシバ経営陣は「あの人はサムライだった・・・」と粛然とする。


てな話で、物語としては今回のエピソードはたいへん(…てほどでも無いか、それなりに)よく出来ているのだが、うーんどうなんだろうか。
作者のヒロカネ氏とも多少因縁がある佐高信氏は「アメリカの経営者は自殺するのに、日本の経営者は自殺しない。いかに日本の社長は責任をとっていないか」という話をしていました。統計的裏付けとかあるんだろうか、という気も相変わらずするのだが、まあそれを否定するデータがあるわけで無いのでそれはおいとく。
ただ、日本の社長の「責任」としては、別の形があると聞いていた。これも佐高と因縁深い長谷川慶太郎の話なんだが「日本の社長は、多く会社の債務に対し個人保証をしている(というかしないと銀行などで奇異の目を向けられる)」という話だ。佐高氏も今は、週刊金曜日社の債務保証をしているのだろうか。


自殺しないと責任感をうんぬんされる佐高流より、こっちのほうがいいと思うのだが、今回の島耕作で気になって 日本の社長とか債務保証という単語で検索したら
http://shomon.net/seikei/keieiso4.htm

私は、どこの会社の社長も、どんな小さな借金にしても、すべて個人保証を入れていることを言いました。たとえば、20万円くらいなものをリースで入れたとしても(月4千円代の支払いになります)、連帯保証人には必ず代表取締役の、社長個人がなっているのです。どんな金融機関でも、会社の社長の保証とそれから、社長個人の連帯保証を入れさせます。それがなければ、貸し出はしません。有限責任であるはずの株式会社なのに、その社長はみな同じです。もちろん有限会社でも同じです。
 このことは、世界の中で稀有なことなんですよ。アメリカでもフランスでも韓国でもやっていません。やっていないどころか、驚かれる事実なのです。ただしそのときも私はいいましたように、これは「日本の99.7%のくらいの社長」です。


わたしはそれほど社長に知り合いがいるわけではないのだが、これはいさぎよいのだろう。責任感につながるんだろう。日本の経済成長の原因の一つでもあったのだろう。

しかし、だ。
逆に言えばこれだけリスクが高く、責任が重いがゆえに日本ではよく言われる「起業家精神の少なさ」「有能な人材でもひと旗上げるより、人に使われることを選ぶ」という、最近の「日本の弱点論」を生むのではないか・・・?ということだ。


ここから先は展開させようと思ったが
梅田望夫・英語で読むITトレンド
■日本を「個人保証」がなくても起業できる社会に
http://japan.cnet.com/blog/umeda/2003/10/23/entry_post_87/


で言い尽くされちゃっているのでもう書く必要も無いか。
ゼロサム・ゲームで、もしこういう慣習がなくなれば無責任経営になるかもしれない。
でも若者の時代から会社を始め「3つの会社経営に失敗したけど、4つめの会社が世界企業になったぜ!俺は失敗から学べたんだ」って人も出るかもしれない。


私が最初にこれを感じたのは、島耕作の前に坂口征二・草間政一・藤波辰巳らが就任した新日本プロレスの社長・会長の座の話でしたな(笑)。とくに草間さんが新日本の社長の座を退く時、そういう社長の債務保証を抜くぬかないの話があったから。

上手く使えば業績悪化の会社の社長に執着する人がへるかもしれないけどさ。


ところで、これを最初のエントリと同じ日に書いたのは偶然です。ほんとに。関連付けて考えないないようにそこの君。