発信箱:されど読み間違え=与良正男(論説室)
麻生太郎首相が若い人の前で「僕は新聞なんて読まない。見出しだけで十分だ」と語るのを聞いたことがある。若い人たちも「身近な人」と感じたのか、結構、受けていた。
まだ首相就任前。「新聞は政治家の悪口ばかり書く」といった文脈だったと記憶するが、新聞記者としては悲しかった。
麻生首相が「踏襲」を「ふしゅう」、「頻繁」を「はんざつ」と読み間違えたとの話を聞いて思い出したのは、この一件だった。「漫画ばかり読んでいるからだ」というつもりはない。たかが読み間違えである。私も時にする。
だが、教養や常識(それほど新聞は高尚ではないけれど)など不必要と言わんばかりの発言が歓迎される風潮が、首相の「国民的人気」なるものの一つの要素だったのではなかろうか。そう考えるとまた悲しくなる。
もっと深刻な問題がある。なぜ、・・・(後略)
この「なぜ」は今の内閣迷走の本質につながるという。
与良氏の文章は面白い、とずっと前から自分は書いてきた(はてなキーワードも自分が作成)が、もう一人の毎日新聞政治記者・岸井成格氏の闘病中に代打でテレビに出たこともああって知名度・人気は高まり、最近こういう文章が単行本化された。
- 作者: 与良正男
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2008/10/17
- メディア: 単行本
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麻生の新聞嫌いは、子どもの頃、吉田茂宅前にいる番記者に「お前の爺さんが死ねば、日本はもっと良くなるんだよ」と小突かれた経験も関係してくるらしい(笑)から、まあ同情できる部分もあるが。
で、その麻生が再び医師問題で失言。
麻生首相:「医者は社会的常識が欠落」 地方の不足巡り放言
麻生太郎首相は19日、全国都道府県知事会議で地方の医師不足への対応を問われ、「自分で病院を経営しているから言うわけではないが、医者の確保は大変だ。(医師には)社会的常識がかなり欠落している人が多い。うちで何百人扱っているからよく分かる」と述べた。地方の医師不足の原因が医師側にあることを指摘したものだが、日本医師会などが反発するのは必至だ。(5面に発言要旨)
さらに、「正直これだけ(医師不足が)激しくなれば、責任はお宅ら、お医者さんの話ではないのか。お医者さんを『減らせ減らせ、多すぎだ』と言ったのはどなたでしたか」と、過去の医師側の発言を紹介する形で批判した。
(略)
「まともなお医者さんが不快な思いをしたというのであれば、それは申し訳ありません」と釈明した
二階が批判されていることを目の前にしていてこれだからな。あ、逆にこの前「二階が逃げ切った」ことを見ていたのか。
あと「多い」だから全員ではなく、まともな医者と対比させたとかそういう詭弁は使えるか。
ところで、うしろのほう、「医師を減らせとあなた方は過去に言っていた」という発言はどうなの?