INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「服装、態度も合格当否の材料」で異動させられた元校長、復帰願う声(産経新聞より)

http://sankei.jp.msn.com/life/education/081115/edc0811152132002-n1.htm

神奈川県平塚市の県立神田高校が入試で服装や態度がおかしい受験生を不合格とした問題で、更迭された渕野辰雄前校長(55)を学校現場に戻そうと保護者や生徒らが16日までの予定で署名活動を実施、週明けに松沢成文県知事と山本正人教育長あてに嘆願書を提出する。前校長は教頭時代から同校建て直しに取り組み、信頼を得ていた。
(略)
同校保護者らによると、以前の同校は校内に飲食物が散乱し、喫煙やいじめ、盗難などが絶えなかった。近隣の公民館やコンビニエンスストアなどには「神田高生の立ち入り禁止」の張り紙が出され、アルバイトを断られたり、バスに乗せてもらえなかったことも

 中退者は全校生徒約350人に対し、年間100人。謹慎処分を受ける生徒も絶えなかった。しかし、平成15年になるとこの状況に変化が見え始めた。教頭だった渕野前校長と前任の校長が「まじめな生徒が下を向いて歩いているようではいけない」と具体的な対策を取り始めたのだ。

 学校と生徒・保護者の緊密な連絡と親身な対応▽ごみ拾いを兼ねた校内の見回り▽部活動・同好会の奨励▽学校便りの地域での回覧−など。PTAや地域も賛同、教職員と取り組んだ。

 その結果、校内からごみが消え、生徒たちはあいさつをするようになってきた。地元の警察は「指導件数が減った」と舌を巻き、大学や専門学校に進む生徒が増えてきたという。部活動も活発になり、チームが組めないほどだった野球部は、18年には公式戦で10年ぶりの勝利を飾った。

 渕野前校長は生徒と食事をともにするなど率先して指導に取り組んだ。「学校全体の担任という思いで生徒たちに接してきた」といい、全校生徒の顔と名前を覚えているという。

 今回の問題の発端となった入試での身なり調査も学校建て直しの中で平成17年度入試から設けられた。

 「改革が軌道に乗り始めた」という矢先。渕野前校長は「異動は致し方ないこと。しかし道半ばでこうなってしまったことは非常に無念」と話す。

 身なりや態度について、そもそも選考基準に明記すべきものなのか。同校関係者は「常識まで明文化を求めるのか…」と話す。

(略)

こりゃあリアル版「ROOKIES」だね、とつぶやく。
実際に、同作品の序盤で主人公の教師は、努力して意識的に全生徒の名前と顔を覚えるシーンがあった(俺は大の苦手)し、また前任校も熱血ゆえに暴走してやめることになったが、前途の圧倒的な支持と運動によって復校運動があった(それで現在の高校とどっちを選ぶのか?がドラマになった)。

まあこういう記事のスタイルだと相当に証言者の主観というものが入るもので、本当に校長のやったことが成果を挙げていたのか?というのはやや抽象的だし、どの改革にもその反作用、影が付きまとうものだ。
あと、カリスマ的に振舞う教師は、身近に接している生徒や保護者には特にその政策の良し悪しとは別の心酔者をつくることも多い。そういう支持者が多くてもハタから見ればエッ?となるなんて話もめずらしかねえやな。、


ただ、アグレッシブな校長先生ではあったのだろう。逆に言うとアグレッシブじゃなかったら、そういう基準を作って自主的に行動したという部分もあると思う。


処分の是非については、前にも書いたように
「そういう基準があるなら事前に公開すべし」という話が揺らぐことは無いのだが、いっそのこと来年度から明記すりゃあいいし、そういう動きになるかもしれない。それならそれで別に問題は無いし、また別に「ここで問われるのは成績だけです」てなところも出てくればすがすがしい。

元中学教師で日本教育大学院大教授の河上亮一氏は「学校を混乱させる生徒を試験で落としたいのは学校の本心だ」とし、「公表した入試の合格基準を守らないで不合格にしたのはフェアじゃない」としたうえで、神田高にやや批判的な見解を示す。

 河上氏は2つの処方箋(せん)をあげる。1つは入試基準を変え、服装や態度などの要素を入れること。もう1つは入学後の退学や停学について基準を明確にし、スムーズに行える仕組みを作ることだ。

 神奈川県内の元高校長は、年間140人の生徒が中退していたという校長時代を振り返り、「教師には無力感が広がり、それでも定員いっぱい受け入れようと主張するグループと、ある程度切り捨てるべきとするグループに教師が二分化していた」と話す。


これは企画記事だが、1面トップに連載されていた。賛否両論だろうが読み応えはあった。