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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

「かわいい」の科学−−あるいは日本漫画の不思議な進化について

ブログ「漫棚通信」に、2回に渡って「かわいい」という問題が論じられています。
手塚治虫の「かわいい」論
http://mandanatsusin.cocolog-nifty.com/blog/2008/08/post_30cc.html
巨大眼と「かわいい」
http://mandanatsusin.cocolog-nifty.com/blog/2008/08/post_4137.html


わたしも以前から気になっていたのだが、日本漫画は現在、いうまでもなく世界に広がり、隆盛をほこっていて、各国で受け入れられているのだが、それにしてもあらためて見れば独特のスタイルを持っているですよね。
その中でも、ハンサム=美人=かわいいを表す「記号」「絵」が現在のようになったのはなぜなんだろう?というのはちょっと気になる話です。


いしかわじゅんは昔「おれはアニメ絵は大嫌いだ!」と広言していたのだが、そもそも「アニメ絵」というのはなんなんだろうか。
上のリンクにあるように、日本漫画・日本アニメに大きな影響を与えた手塚治虫は大きな目を描き、それが漫画内のハンサム・かわいこちゃんの記号になった。だが、リンク先にあるように「目を大きく描けば一般論としてかわいく見えるもんだ」というのもあるよね。
それにそもそも手塚はディズニーの影響を受けているはずで・・・

さらに個人的に言うと、「エリア88」を最初に読んだ時は「なんじゃあ!少女漫画っぽい絵じゃなあ!」とかなり違和感を感じていたが、なにしろ話が面白いからあっさりと慣れてしまった。
それより上の世代は、この少女漫画風の絵と「新谷かおる」の名前もあいまってすごく混乱したらしい(笑)。引用コマ参照。
以前の少年漫画だと、少女漫画の過剰装飾をからかうネタなんかも多かった(初期「こち亀」なんかね。でも作者はあの当時としては稀有の少女漫画愛好者だった)
おまけに私の小学生時代、ぼくのノートなんかがウルトラマンやいんどぞうの絵で埋まっている中(笑)、女の子は「すてきなおひめさま」を想像で描く子が多かった。今から思うと服装的にはブルボン王朝かハプスブルグ家につながるらしいが、その「美人」の記号も、稚拙な絵ながらだいたい今のマンガのものと共通していたような気がする。




かってに改蔵」に、「この漫画をアメリカに輸出しよう!」というネタがあり、その中で「アメリカの漫画なら、鼻の下にスジをかかなきゃ」と変にリアルっぽくなるという挿話があった。

絵というのは日本画と洋画が違うように、やっぱり同じものを描いても地域、国ごとに「描き方」が統一されていくという傾向があるんだろうな。その中で、なぜ日本の漫画やアニメ、とくに「美形」を描写する記号がこのようになっていったのだろうか。
これは専門家の研究をまたなければいけない話で、もうここらへんで撤退しよう。
最後に思いつきだけ書いておくと、「日本漫画の『美形』は、そのまま男にも女にもなる、つーか見分けがつかん」
このへんとBL文化の関係・・・にまで話を広げられればいいのだが、力尽きた。


このエントリは、アイデアとそれを補強する題材だけが浮かんで順番に描いただけで、それを議論の流れにあわせて構成しなおすのをサボった文章だな。なに冷静につっこんでるんだ。

「かわいい」は科学的に位置づけられる? 赤ちゃんのかわいさ問題

上に紹介したリンク「手塚治虫の「かわいい」論」のコメント蘭に小生お邪魔し、質問したところ、別のコメント者がお答えくださってます。

藤子・F・不二雄の短編漫画(「かわい子くん」)とかにもありましたけど、「赤ちゃんは大人から庇護を受けなければいけないから『かわいい』ことは生存の条件。逆に大人は、赤ちゃんをかわいいと思うことが本能的に植えつけられている。丸っこいものをかわいいと思うのは、生物学的に決まっているのだ」というような議論ってありましたよね。
あれは、ほぼ確定した科学的知見と考えていいのでしょうか。疑似科学といっちゃあ悪いけど、仮説のようなものなのでしょうか。
そもそもだれが最初に提唱したのでしょうか。


Posted by: Gryphon | August 12, 2008 at 07:12 PM

横レス失礼します。
動物行動学の知見からは哺乳類の幼児期における顔面容姿の相似が知られています。
哺乳類は(その名のとおり)親からの育児に全面的に依存する時期=幼児期、があります。
食事=母乳、安全=親の庇護など自然界でひとり立ちするまで比較的長い時間を要します。
それゆえ、哺乳類の幼児期の顔の特徴として、丸っこくて身体に比べて大きい顔、顔の下半分に目・鼻・口があつまっている=額が広くなる、目・鼻・口では相対的に目が大きい、などが例示されています。
こういう容貌の仔に対して、庇護と哺乳を行いたくなるという本能が「哺乳類の親」に備わっていると言われます。

アフリカでの観察事例では、親とはぐれた仔鹿と、子を失った猫科の肉食獣の母が、一緒に何日間かをよりそって過ごしたという事例があります。

(略)

こういう子育て本能は、鳥類の場合では、鮮やかな朱色や赤色のひし形を見ると、その中心に餌を入れたくなる、という事例が知られています。「鮮やかな朱色や赤色のひし形」とは雛鳥が帰巣した親鳥に餌をねだっていっせいに口をおおきく広げた様子を意味します。
托卵という子育ての習性で知られるカッコウでは、雛鳥の口内が他の鳥よりお一層鮮やかな朱色をしていて、通りかかった他の鳥までが、つい給餌してしまう、などと言われています。
また雛鳥においては孵化して最初に見た動くものを「親」と認知して後を追うという「刷り込み=インプリンティング」という事例が良く知られています。

(後略)

Posted by: トロ〜ロ | August 13, 2008 at 02:54 AM

こんにちわ。
とても興味深いお話でした。

ティーヴン・ジェイ・グールドの『パンダの親指』という本をよろしければご参照ください。ハヤカワ文庫です

グールドは、最初ネズミそのもので「あんまりかわいくない」ミッキー・マウスが、人類に愛されて生き易くなるようまるっちくかわいく「進化(進化というのが生物の代替わりによって起きるプロセスだとしたら、ミッキー単独で進化というのは正しいかわかりませんが)」したた過程を、彼の専門である進化論の論文の形にまとめています。グーフィーはその役柄からか、あんまり幼くなっていないそうです。とても面白いですよ。

そういえば、小学生の頃、アラレちゃんや早川あおいちゃんがだんだん小さくなっていく過程が不思議だったことを思い出しましたよ。彼女らもまた自分の環境に適応していったのですね。

これまた長い書き込みで失礼しました。

Posted by: もにゅるん | August 19, 2008 at 07:23 PM


本当はすべて興味深いので(略)せず全部読んで欲しいのだが、そうもいかないのでリンク先へとんでください。

グールドさんだったか。
「かわいい」とかいう、人間の中でも相当に主観的なものが、もし生物学的な要因に影響されているのだとしたらおもしろいね。
これは最初にこの説を聞いたときにもそう思った。

パンダの親指〈上〉―進化論再考 (ハヤカワ文庫NF)

パンダの親指〈上〉―進化論再考 (ハヤカワ文庫NF)

パンダの親指〈下〉―進化論再考 (ハヤカワ文庫NF)

パンダの親指〈下〉―進化論再考 (ハヤカワ文庫NF)

私の書き込みにある、藤子・F・不二雄の「かわい子くん」はこの秋、WOWOWでドラマ化される一本です。

こういう疑問をもった理由のひとつに

ディズニーとかドリームメーカーとか、そういうのが最近はCGも駆使して世界的にヒットする作品も作っているじゃない。
カンフー・パンダ」とか「ニモ」とかね。
ところが、そういう映画の主役を張る主人公が、少なくとも私の目からはちっともカワイくみえない(笑)。
←これ。鶴見五郎みたいなツラしやがって。


世界的に人気なんだから、こういう印象はたぶん少数派なのだろうが、やっぱりそれは日本の漫画文化に影響を受けているのかなあ・・・と思いました。


【付記】上にちょっと書いた、子供の描く「すてきなおひめさま」と日本マンガの関係については、自分なりに見つけた視点だと思っていたのだが8.15の段階で、二つ目のリンク先エントリに寄せられていたコメントで指摘されていた。
コメントに関しては自分が書いた、「手塚治虫のかわしい…」のほうに注意が行っていたので気づかなかった。

(略)
認知における心理学的要素として
人間の「目」が、対象に対する精神的な認識において
非常に重要な要素を占める部位である事も考えられるのではないでしょうか。

客観性の未発達な幼児が描く人物画は、写実性よりも心理的認識の
度合いに従った図像として「目が大きい」ものになりがちです。
(実距離ではなく、通信頻度や経済状況の尺度で描かれた
『歪んだ地球儀の図』のようなものですね)
自分は件の“BEG”の真髄を「小さな女の子が描く
“お姫様”の絵」と称していますが、客観的な実体の描写ではなく
『主観的な心理上の印象画像』として人物の絵を造形する時
「大きな目」は描き手にも、そして見る者にとってもある種の
「主観的画像」として比較的自然に受け止められる部分があった為に
ここまで普及したように思います。
(略)
Posted by: ひふみー | August 15, 2008 at 01:47 PM

人間は目らしいものさえあれば、人の顔に見える…えーとこれ、たしか科学用語があるんだよな。
(・・)だけで、人の顔に見える。