「夏いそがし」期間に読み逃していた週刊誌漫画を、まとめて読んでみた。
その中で印象に残ったのは「宗像教授」「風雲児たち」「けせらせら」(コミック乱)などだったが、このビッグコミックオリジナル連載中の「深夜食堂」が非常に味わい深いものだった。
表のメニューは一、二品なのだが、「材料があれば、作れるものはなんでも作ってやるよ」と称し、ちょっとした美味しい料理を出すことで評判の「深夜食堂」(違う名前かもしれん)。
このマスターの知り合いのうなぎ屋が、長患いの末、いまわの際に「もう跡継ぎはいない。この店の、秘伝のタレをお前さんにやるから使ってくれ」と彼にタレの壷を渡す。
マスターは、このタレを温めてご飯にかける「ウナギのタレ丼」をメニューに加える。
「このタレで、マスターがうなぎを焼けばいいじゃない」
「いやなんか、それじゃ親父に申し訳ない気がしてサ」
ひと壷分のタレが無くなれば、メニューから永久に失われる究極の期間限定メニュー。常連たちは「おかわり禁止」「タレだく禁止」などのルールをつくり大切に食べ続ける。この奇妙などんぶりは評判を呼び、少しずつタレも減っていく。
そして、最後の一杯分しかタレが無くなったとき、店を訪れたお客は・・・・・。
「(骨子は)単なるありきたりな人情話じゃん」という批判というか低評価は、私としても反論はしない。
だけど、真偽はともかくとして「一軒一軒に秘伝がある。無くなったら二度と戻らないし、代わりは無い」というイメージが非常に強い「うなぎのタレ」と、そのタレだけを敢えてかけた「タレどんぶり」、そしてそれが少しずつ減っていくという「一期一会」性、そういう周辺の演出で、この(骨子は)ありきたりな人情話をとても味わい深いものにしたと思う。
ああ、うなぎ食べたいなあ。
今日、食べようかな。このブログを読んで、同様にうなぎを食べたくなった人がいたら、別にこちらに実益は無いが幸いだ(笑)
そういえばこの「深夜食堂」を描いている人、私は名前も知らない。
大人漫画の系譜にある、うまい下手とは別の画・・・・・・滝田ゆうを思い出すような画風です。
調べれば分かるネット社会ですが
「安倍夜郎」という名前以外はよく分からなかった。
ところで、そのついでに見つけたアマゾンレビューで、こういう一節がある。
こっちのほうが俺が千語万語を費やすより誘引力がありそうで悔しいな(笑)
「孤独のグルメ」に匹敵する傑作の予兆がある
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