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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

歴史を論じ、詠んだ漢詩について−−−項羽と劉邦、三国志

この前、陳舜臣の「唐詩新選」という本を紹介しましたが、昔の漢詩人が、さらに以前の歴史を詠んだ詩って面白いのでもう少し紹介。


項羽と劉邦の漢楚抗争で、最後に項羽は”四面楚歌”となり、最後の決戦のあと、小船に乗って逃げる選択肢もあったのだがそれを拒否して戦死した。それをうたった詩。

勝敗は兵家も期すべからず
羞を包み恥を忍ぶはこれ男児
江東の子弟才俊多し
捲土重来いまだ知るべからず

ああ、これおぼろげに高校でおしえてもらった記憶があるなあ。
そもそも「捲土重来」という言葉の由来はここからだそうだ。

http://www.d2.dion.ne.jp/~nob_o/kotowaza/k_kendotyo.html
非常にわかりやすい解説です。


拙訳ですが、これを井伏鱒二風に小唄っぽくしてみます。


勝つも負けるも 時の運
真の男は あきらめぬ
貴方の故郷に 戦士あり
まだまだ勝負は 終わらない



三国志をうたった歌。劉禅も登場してるな

天下 英雄の気 千秋尚お凛然
勢は三足の鼎を分ち
業は五シュ(金に朱)銭を復す
相をえては能く国を開き
児を生んでは象賢ならず
凄涼なり蜀の故妓
来たりて舞う魏官の前

故事来歴が分からないと意味が通じないのは「五シュ銭」ですが、これは一度滅びた漢を復活させた(後漢光武帝が、漢復興の象徴といてこの五シュ銭を復興させたんだそうです。つまり劉備が掲げた漢帝国復興の比喩だ。


小唄調にはしにくいので単純に要約すると
「時代を駆けた英雄たちの「気」は
長い時をへても まだ凛然としている。
勢力は三本足のかなえのように分かれ
劉備の願いは、五シュ銭を復活させた光武帝のように漢を復活させることだった
名宰相・諸葛孔明を得て国を発展させたけど
二代目が不肖の息子だった、プギャー。
国が滅びて、魏(といっても曹操の子孫でなく、司馬家が勢力を握った魏だが)に
連行され、捨扶持を与えられた二代目がゲストに呼ばれ、魏主催の宴会の中で、
既に滅びた「蜀」の娘が、舞を披露している」