印象に残った言葉。
『「ゆんぼくん」は当時人気だった久保キリコ「いまどきのこども」のパクリです』
画力と個性が違いすぎれば、パクりをする気が満々でも、別物がおのずから生まれることを証明(笑)
『「ぼくんち」は西南漁村文化をそのまま描いた物』
『いわば「黒潮文化」ですね、フィリピンやタイにまでつながる。』
サイバラはその作品でも読めば自明だけど、そのボキャブラリーから、勉強というか読書というかの跡が否応無く目に付く。無知無教養自慢を、キャラクターとしてのりえぞうがいかに言い立てようとだ。
自作の「ぼくんち」におけるあの明るさと破滅性と、突き抜けた諦念・・・こういう点を自作解説する際、正しいか間違っているかはともかく、ああいうボキャブラリーで表現できるのが、サイバラなのだ。
もちろんそれは、「そんな大げさな概念を」というギャグにもそのままなっている。
そういえば、出世作「恨ミシュラン」でもマツタケだったかな?それが貧乏な家ではいかに貴重か、というネタで、知り合いの家庭ではいかになじみの無いものだったか、をだんだんオーバーにしていって
「りえぞうの家では最初からその概念が無かった」
とつなげたことがあるが、そこに「知識はあったが『ボスポラス海峡』ぐらい無関係の言葉だった」と添え書きがあった。ここでその海峡名を出すこと自体、ただものではない。