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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

アメリカ大統領予備選、リバタリアンが大健闘

論評の時間は無いので、紹介のみにとどめる。


泡まつ候補がネットで1日過去最高の7億円ゲット
http://sankei.jp.msn.com/world/america/071219/amr0712191855015-n1.htm

2007.12.19 18:55

 【ロサンゼルス=松尾理也】年明けから始まる各州の予備選・党員集会をにらんで激しさを増す米大統領選で、共和党候補の一人、ロン・ポール下院議員(72)がこのほど、1日あたりの額としては過去最高となる620万ドル(約7億円)の政治資金集めに成功し、話題を呼んでいる。「泡まつ候補」と見なされていた同氏が“旋風”を巻き起こしている原動力は、インターネットにある。

 ポール候補はリバタリアニズム(個人の自由を最大限に重んじ、小さな政府を主張する政治姿勢)をとり、党内でも非主流派とみなされている。大統領候補としても、今年前半は支持率1%前後で低迷していた。

 しかし、共和党大統領候補で唯一イラクからの即時撤退を主張するなどの姿勢がインターネットで繰り返し取り上げられた結果、グーグルが今月発表した検索ランキングで、大統領候補として2位のトンプソン元上院議員共和党)、3位のクリントン上院議員民主党)をおさえ1位になるなど、急激に認知度を伸ばした。

 イラク撤退のほかにも所得税の撤廃、海外駐留米軍の全面撤退、医療用大麻の解禁など、ポール候補には極端な主張が多い。これまでの議会活動でも、党の方針にかかわらず自らの信条に反する法案には一貫して反対票を投じ、「ドクター・ノー」の異名をとる。こうした姿勢が、ネット利用者には逆に新鮮に受け止められたようだ。


   ↓
この現象を受けて、記事を書いた松尾理也記者が書いた解説コラムから抜粋。
http://sankei.jp.msn.com/world/america/071223/amr0712230302000-n1.htm

・・・ポール候補が勝利しそうだ、というわけではない。急激に支持を伸ばしているにせよ、ありていに言って泡沫(ほうまつ)候補の位置は脱していない。そしてポール候補に「キワモノ」的印象がつきまとう理由は、彼が一貫してとり続けている急進的な「リバタリアン」的政治姿勢によるところが大きい。

 リバタリアン」とは、極端に自由を重んじる政治的立場といえばいいだろうか。政府を自由に対する干渉とみなし、税を個人からの富の収奪として敵視し、福祉の削減を主張する。外交的には孤立主義を掲げ、イラクからの即時撤退のみならず、海外駐留米軍の全面撤退を主張する。個人の自由を最大限に尊重する立場から、マリフアナの解禁さえ主張する。

 こうならべていくと、ロン・ポールとは保守なのかリベラルなのか、わからなくなってくる。小さな政府、孤立主義的外交は保守の主張だが、イラクからの即時撤退、マリフアナの解禁はリベラルからも支持される。候補自身は保守と見なされているが、共和党の中ではけっして主流派ではない。

 だが、「保守かリベラルかわからない」からこそ、ポール候補は、新しい形態の支持を集めることに成功したのである。
(略)

 ポール候補の支持者を訪ねた。……ベン・リッターさんはまだ19歳の大学生。高校生時代から保守を自称……グワンさんは自らをリベラルだと思っているが、自由を重んじる点で「ポール候補は民主党よりはるかに信用できる」という。

 リッターさんもグワンさんも、二大政党の枠組みの中では周辺的で無力な存在に過ぎなかった。同時に、2人の政治的指向性は正反対なのだから、これまではバラバラであるほかなかった。そんな彼らを風変わりな大統領候補と、インターネットという強力な接着装置が、とにもかくにも結びつけた…
 …そう考えると、ロン・ポール現象は、米国政治に出現した初めてのロングテール現象ではないか、と思えてくる。

 インターネット時代においては、少数のヒット商品の大量販売に依存することなく、売り上げ曲線で長い尾(ロングテール)を描く「売れない多数の商品」からも利益を得ることができる。このロングテール理論をロン・ポール現象にあてはめるなら…

ちょっと聞いた話では、テキサスはとくに(ポールは共和党内のリバタリアンだが、独立した)リバタリアン政党が強く、下院や上院の選挙でも当選はしないものの得票数によって当選者を左右できる力があるという。
面白い存在だが、日本にとってはあまり喜ぶべき話ばかりではない。
北朝鮮に対しても政策は「ほっとけあんなの」だから。

前、東京新聞がインタビューしたときだったと思うが
アメリカはその気になれば地球を三回ぐらい壊せる武力がある。どこを恐れる必要があるんだ?だから何もしなくていい」

たしかにこういう大統領なら、イラクにはいかない。でも北朝鮮ミャンマーもそのままだ。
さてどうする。現実の課題というより思想的な問題としては厄介だ。