INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

上野の森がロボット王国に。

国立科学博物館
http://www.kahaku.go.jp/

http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2007/robot/index.html

現在、日本では、世界で最も多くのロボットが使用されています。また、その開発も盛んで、世界でもトップレベルのロボット技術を誇る日本は、世界有数の「ロボット王国」であると言えるでしょう。この展覧会では、日本の伝統的な「からくり」をはじめ、二足歩行ロボットや産業用ロボットなどの世界最高水準にある日本のロボットたち、そして漫画やアニメに描かれる未来のロボットたちを展示し、日本経済の未来を牽引するロボット技術を科学史的な視点から紹介するものです。最先端の制御装置による「自動演奏ピアノ」など実際に体感できる展示や、ロボットやからくりによるステージイベントも数多く予定しています。
ロボットテクノロジーの歴史をたどりながら、モノづくりの楽しさ、魅力を体感し、日本の科学技術が描く夢の未来を体験してみよう!


会期 2007年10月23日(火)〜2008年1月27日(日)
休館日 毎週月曜日。ただし、12月24日(月)は開館します


新聞社とテレビ局も主催に入ったこともあり、お堅い技術の展覧ではなく、SF、サブカルチャーにも目配りしたケレン味たっぷりのイベントです。ケレン味はありすぎるくらい(笑)。


最初はブリキのおもちゃから、ヒーローアニメの超合金ロボット、なんとかスケールのフィギュアなどをずらり並べています。
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巨大なのも置かれています。
マジンガーには、永井豪が寄せた文章もありました。なぜ自律して動くのがデフォルトのロボットを、永井は「中に人が入り操縦する」という奇想天外なアイデアに飛躍させたか・・・ですが、それは交通渋滞の時に「この車に足があったら、渋滞の車の上をとび越して歩けるのに」と思ったからだそうです。この奇想が、いまや世界に広まった。


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で、このように、その前史ともいうべきからくり人形も、複製を含めてあります。

このカニからくり、漫画「ギャラリーフェイク」にも出てきましたね。写真は少々ピンボケだ。



これは押井守の作った造形だという。なんかこう、サイバーでパンクっぽい。電脳空間を表現しているとかなんとかだがよく覚えてない。これは大ステージの上に飾られていて、この下では時間ごとに「村田製作所」が自転車に乗るロボットなどを実演する。



今、真面目な研究でも設計、デザインの時点で趣味入ってないか(笑)



これは「社交ダンス練習用ロボット」。ホントになんでもありだ(笑)。ただ、体重移動、歩行という点の研究では確かに役に立つのかもしれんが・・・でもやはり謎のデザイン。ロボット刑事Kの母親みたいだね。



こちらは一応、実用的なロボット。お掃除するんですよ。
これを夜間にでも会社に放しておけば、自動的にきれいに。「エレベーターにも自分で乗り込める」そうだが、ボタンはどう押すんだろう(笑)。また、これに警備機能を持たせることもできる。いや別にロボット三原則を無視してレーザービームとか付けるわけじゃなくて、不審者を見たら記録、通報、警報をすると。警備員の危険の多くは出会い頭に犯人にやられるパターンだから、第一発見はロボットに任せて、装備、用心しつつ現場に向かえばそれだけで危険は大幅に減る。
余談ですが、お掃除ロボには、小型の家庭版も既に市販されているようですね。性能は良くないそうだが。何年か前の「オタク大賞」でも賞をもらっているんだけど、その推薦者が「想像を働かせれば、どこかに引っ掛かって動けなくなって警告音を鳴らす(そういう機能があるらしい)このロボが『ご主人さまー』と足をバタバタさせているメイド風のロボットに見えてくる」と(爆笑)。

これは床下にもぐりこみ、シロアリとか土台の老朽化を調べるロボットです。
おいおい、無駄にかっこいいんですけど(笑)



マイクロロボットです。血管を通るような極小ロボもいつか開発されるのでしょうか。ダリーも覚悟しろ、だ。
しかし、どんどんどんどん小さくなると例えば、潤滑油が「すっごい滑る」というのもその世界ではそういえなくなるなど、なんつうか常識的な概念がいろいろ変わってきちゃって大変なんだとか。



これも趣味のSFっぽいですけど、障害のある人も、こういう進化した補助器具としてのロボット、によって、より進歩したバリアフリーが可能になるかも。実は重要な視点だけれども、例えばこういう器具のほうが進化、普及すれば、普通の構造の家や建物、道路でもへいちゃらになる。そうすると、今スロープや段差解消や、インフラのほうに膨大な投資をするのと比較するとこっちのほうがお得、になるかもしれないわけ。まあ政策反映は当分無理でしょうけど、理念としてね。
これはアシモフたち初期SF作家が、「なんでタイヤにセンサーをつけた機械とかじゃなく、人間型ロボットなのか」ということを説明するためにでっち上げた概念なのだが、ちょっとそれもホラやこじつけでは語れないようだ。


二点、ロボットロボットしたものを。(これは早稲田大が作った「WABOT」シリーズで、実はASIMOよりいち早く、故加藤一郎教授の下、人間型ロボットにこだわった研究をしていたという

博覧会には数点、演奏ロボが登場している。大ステージのこれとは別のピアノロボは定期的に演奏するのだが、その妙なる調べは、魂を持たぬものが魂を得ようという渇きの中で叫ぶ声にも似て、天と地をつなぐ優美さと、鋼のような硬質さがーー(訳・まあまあ良かった)。
この写真の演奏ロボは演奏しなかったはずだが、それはそれとしてキン肉マンにこういう超人いたよね(笑)


やっぱりロボットはこういうイメージ。



逆に、ロボットのイメージとはだいぶ離れたのがこれ。「表情ロボット」で、にやりと笑うとかそういうのを再現するというすごいやつ。
諸星大二郎の作品に、叛乱を起こしたロボット軍が捕虜の人間に「我々の最新の技術力を見せてやろう」と提示したのが超巨大ロボット。そのスペックをフルに使うと…
小話ロボット「となりの家に囲いができたってね」「へー」
超巨大ロボット「ガハハハハ」(と大笑い)
ロボット反乱軍のリーダー「ドウダ、驚イタカ!!」
というネタがありましたが。



いやしロボット。近くに天皇陛下が国民に賜った恩賜上野動物園があるのに、バーチャル世代だな(笑)。
背中のチャックのことは絶対の禁句。中のロボなどいないっ。

二階はアシモの実演

超満員札止めで、写真を撮るスペースが無かったのですが、アシモの実演はちょっとしたストーリー仕立てで、そしてアシモが「走る」んです。
ニュースなどで見て、知っていたけど、これを実際に見るとやっぱり驚愕ですよ。
また、アシモがどのようにして発達していったかの発展史を旧型(ククルス・ドアン型)から並べて、パネル付きでみると、頭の中でプロジェクトXのテーマが(笑)。

アシモを開発するまで、「人間の歩き方」を論じた工学研究なんて無いに等しかったらしく、一から研究したらしいが、その過程で「人間は倒れながら歩く」ということが分かったらしい。静歩行と動歩行ね。
(※【補足】コメント欄のご指摘によると、早稲田大の故加藤一郎氏が研究した1970年代の「WABOT」シリーズの中で、既に歩行に関する先行研究はされていたらしい。)


それはあさりよしとおまんがサイエンス」の3巻ですごく詳しく紹介している。

ぜひご一読を。

あ、ただ、アシモ以前に本格的なロボット研究をしてた大馬鹿者(笑)も大学には多数いたらしく、一階ではそういう人の業績も紹介されていますよ(これが、上で補足した故加藤一郎氏のこと。上の「ロボットロボットした」二体がその成果である”WABOT”)。


【補足・これから見に行く皆様へ】

強調しておきたいのは、ロボット博にこれから行く人は、時間を調べて中でデモンストレーションをやるときにうまく合わせたほうがいいということ。
実は一階と二階は逆行不可能で、二階に上ってアシモを見ると、もう一階には戻れないのです。

【メモ】他の「上野公園炎上」は別エントリにせざるを得ない。
予告−−ムンク展、ナスカ、富士山展、アロサウルス、ダイオウイカ、来年彰義隊140年など