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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

道化とロッキー、二つながら彼にあり…入江秀忠の試合に不覚にも感動

私は、ジャッジをつけるならやっぱりフルマーク判定で入江の勝ちにしていました。
今の試合だと、あの猪木アリに自分からなるような部分が「消極的」ということになるのだろうし、あのパウンドも力を込めてないって評価になるのかもしれない。


でも、ああいう試合、選手の在り方って好きなんですよ。個々のパーツ、勢いなどでは非常に不利な側が、あらん限りの武器を、最善の組み合わせで使って、かっこ良くなくても勝ちを拾おうとする。(「はじめの一歩」とかでは何度かあったねえ)もっさりと粘りついて掣圏道の打撃を防ぐのも、引き込んだり、やばいところではさっさと自分から仰向けになって打撃をかわすのも、すべて問題ない。それで、何歳も若く、それなりに格闘技で活躍する選手に内容的には圧倒していた。
猪木アリ状態に相手がなって、追撃する技術のない桜木が悪いねん)
それで十分だと思う。


ある意味で、この人もザ・シークタイガー・ジェット・シンのようにキャラクターを演じる・・・というか実人格とキャラクターが分かちがたい虚実皮膜にある。
最後、判定に納得しないのは当事者としては当然なんだろうが、同時に「一人で大騒ぎの入江、あきれて彼を相手にせず、無視する佐伯&スタッフ。最後にぽつんと残る入江・・・」という流れは、ある種のキャラクター的な見せ場の計算があるんだろう。

そもそも、入江という選手に場を与えるという意味では佐伯繁氏が入江に対し、いろんな意味での「敬意・友情」を持っていることはほぼ明白なわけで。
そのキャラクターを見せ、その流れに沿って彼をいじるのもまあ、ありだろう。トータルとしての商品価値はそのほうが保たれるというのもあり得る。


ただ、そんな余計な装飾品を剥ぎ取って、純粋に今回の試合を見てほしい。
いや、純粋に見ると名勝負とか高い技術とかはあまり無いかもしれんが(笑)、大きな穴を持つ30代後半の老兵が、自分の長所を使い切って、現役バリバリの相手にもある穴を付き、(判定はともかく実質的に)勝利する。
そんな味わい深い、いい試合だったと思う。