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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

なぜ「コンバット(闘い)」をゲーム化すると面白いんだろうね・・・(こち亀、藤子漫画、おもちゃなどから)

今週の「こち亀サバゲーを描く

まず今週、最新号の「こちら葛飾区亀有公園前派出所」を立ち読みなりなんなりしてほしいところ。
最近、同作品は1年に1回程度、「往年のこち亀」に近い面白さが復活する。こちらはそれを期待しつつ、また作者の年齢を考えれば全盛期を期待するのが失礼だと思いつつ、毎週嘆息してジャンプを閉じる・・・んだが、待てばカイロのピラミッド、今回は個人的には”往年のこち亀の面影”を残す作品となったと感じています。

というのは、もともとこち亀の面白さのひとつに「面白い遊び、ゲームなどの魅力を率先して誌上で伝え、誘導する」というのがあったと思います。いわば一作品で、コロコロコミックに匹敵することをやってたわけだ。
で、今回は、別に初めてではないのだが「サバイバルゲーム」(サバゲー)を、かなりゲームのルールや駆け引きを詳しく描いたという「サバゲーもの」なんだよ。
大阪府警だっけ?あ、通天閣署か。 あのチームと、両さんチームがエアーガンで大決闘する。


以前も少し書いたが、私たちの仲間は地元でのサバイバルゲームの草分けだ。
ま、それはいいんだが、こうも以前書いた。

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20060427#p1
■[格闘技][軍事][漫画]格闘技と「小集団戦闘」の違いについて

サバイバルゲーム
そういう「小集団戦闘」の面白さを、いま競技として成立させているのは・・・ラグビーフットボール、あるいはサッカーを入れてもいいんだろうけど、そこまで話を広げないとして(あ、「水雷艇ごっこ」や「ドロケー」もありだなと今思いついたが、話が飛ぶので一応は無視)、一番ゲームデザイン的に優れているのは「サバイバルゲーム」じゃないだろうか・・・(後略)

だからいまだにマイナー誌あたりでいいから(上記リンク先の後半部で書いたように)「サバイバルゲーム漫画」の連載が始まったらいいのにな、と願っております。その面白さを、今回の「こち亀」は先行して教えてくれたような。どうですか長崎尚志さん。

「戦争ごっこ」「現実から半歩先のおもちゃ」の面白さ

こち亀、戦争ゲームの話は初めてではない。
昔、「アメリカから直輸入した一人乗りの戦車プラモ」を両さんが組み立てるという、まさに往年の名作といえる作品があった。完成したはいいがドアから出せず、「仕方ない、ぶっこわして出そう」・・・ところが壊すのはプラモじゃなくて派出所の壁だったというギャグや、電池は特別電池かと思ったら単三電池が200本だった(笑)というギャグなど、そのキレはすさまじいものだが、それとは別に「一人乗りできる戦車プラモか、いいなあ。ほしいなあ」と思わせる想像力があった。

けっこう、こち亀は半分ギャグで出したおもちゃのアイデアがジェール・ヴェルヌばりに、後に実現することがある。
ラジコンにビデオカメラを搭載し、プロポにモニターが付いて迫力満点!!とかは、後に実現したはず。
さらにテクノロジーってのは本当に進歩するものだ。、
今回のサバゲーネタでは、昔だったら「はは漫画だね」で済みそうだった「ラジコンヘリにカメラを搭載し、空から偵察を行う」というストーリーになっている。
で、これは携帯電話の今の機能を使えば実際に十分可能で、それを前提とした展開なんだよねえ。

ゲームとしての戦争、そしてラジコンとロボットと

もともとラジコンが、実物の機械、乗り物を縮小したものであった以上、車だったら実際に走らせたい→レースしたい!で、ラジコンレースというものが競技化されるのは当然。

であるなら、ラジコンで戦車や軍艦、飛行機が動かせるなら、「これを使って(模擬)戦争したいなー」と思うのは当然なんでしょうね。

実は藤子・F・不二雄先生の話につながるのだが、
なんだっけかなあ、先生の少年向け短編にラジコンマニアが登場し、高校生と老人がラジコンを通じ仲良くなる(最後、そのラジコンで迷い込んだ宇宙人を宇宙に帰すのだ)という話もある。これはファンの一方的推測だが、藤子F先生は実生活でもたぶんラジコン好きっぽい(笑)。
これは後で、http://d.hatena.ne.jp/koikesan/ の方にでも聞いてみよう。


でまだまだ70年代、80年代はラジコンって高嶺の花だが、藤子漫画には気障なお金持ちの坊ちゃん、が必ず登場することもあり、なんと旧「オバQ」の時代から、またドラえもんでは、ひみつ道具で改造したよとか未来のおもちゃだよ、という設定で「ラジコン(的なおもちゃ)で、戦争ゲームをやろう」という設定のエピソードが多数ある。

何の作品だったかな、ラジコンの戦艦大和を改造し、小さくなったドラえもんたちがそれを動かしているという設定で「軍艦マーチ」の歌詞がフルコーラス掲載されているエピソードもあったぐらいだ(笑)。


さらに話を広げると、
テレビゲームにおいても、ゲーム発祥時点から「ゲームで『闘い』たいな、でも技術が限界でここまでしかできないな」という試行錯誤が続いていたね。
これは銃で撃ち合う、剣で斬り合う、そして格闘試合、すべてそうだ。

俺は個人的にいうと、ファミコンディスクシステムの「プロレスゲーム」を初めてやったとき「なんて複雑精妙で多彩な動きをゲームで再現できるんだ!!格闘技をゲームにする試みは、このゲームで技術的に極まった!今後20年、これ以上の進化はあるまい」とか思ったな(爆笑)

そして「ロボット同士の戦闘」へ

もう十何年前の作品かも覚えてないが、本当にがきのころ少年チャンピオンに「プラレス三四郎」つう作品があった。
どんな話か、ほぼマジに覚えていない。
原作者は、「牛次郎」の名でも原作を書いているはず。
呉智英は彼を「伏線もリアリティも整合性も、訴えるテーマも関係ない。とにかく、その場その場、その号その号で、人を驚かせたり派手に盛り上げることだけをひたすら考える職人だ。あとは読み捨てられることを覚悟している」と一回転した高評価をしている(笑)。

ただね、そんな作品だが、なぜか今でも覚えているシーンがある。敵役だったかな。熱く彼が演説するんだ。
要約すると


「技術が発達すれば、プラモを動かしたくなる!
プラモを動かせれば、人間型のロボットを動かしたくなる!
人間型ロボットを動かせれば、それ同士を闘わせたくなる!!」


という主張。子供心に「たしかにその通りだ!」と思ったんで覚えているんだろうな(笑)。
なんか人形になっているみたい。動くかどうかは不明(笑)

粋 SOFBEAT プラレス3四郎シリーズ 柔王丸 Ver.2 原作版

粋 SOFBEAT プラレス3四郎シリーズ 柔王丸 Ver.2 原作版

そういうわけで、戦闘をゲームにするとおもろいのだ。

というわけで、ロボットもふくめ、とにかく模擬戦闘というのが楽しいぞというのはこれはもう事実だとしていい。
つうかこんな最新の事例の前に、将棋・チェスが世界的に人気だという例を引けば済むことだ。

サバゲーなんかはとかく偏見の目で見られがちだが、そもそも戦争を否定すべきなのは、それで人が傷つき、命や財産が奪われるからである。サバゲーもPCのシミュレーションゲームも、その根本を取り除いているわけだからな。

さてそこでクリスマス。こんな商品が。

これだけ前振りした上で、ようやく登場する記事。産経新聞より

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/071117/biz0711171943006-n1.htm

クリスマス商戦狙う…飛行ロボットに大ヒットの兆し
2007.11.17 19:43

このニュースのトピックス:ロボット


ウィズが23日に発売する「空中戦機エアボッツ」 クリスマスシーズンに向けて玩具業界は最大商戦期を迎えつつあるが、最近人気の室内で飛ばして遊べる玩具に期待の新商品が登場する。「たまごっち」で知られる玩具企画・開発のウィズが6月の東京おもちゃショーでプロトタイプを発表した「空中戦機AIRBOTS(エアボッツ)」がそれだ。23日の発売を前に、ブログや動画サイトで話題となっており、すでに海外からも引き合いがきているという。
(略)
ロボット本体は発泡スチロール製で、わずか3グラム。腕や足(各2種類)の付け替えで、飛行、離着陸、戦闘用と使い分けられる。ホバリング(空中静止)させて戦わせ、敵の腕や足を落とすやり方で勝負できる

 「構造はいたってシンプル」と同社企画開発本部の三浦光博さん。レバー1つのコントローラーを使い、ケーブルでつながった2つのプロペラが付いたロボットを自在に操ることができる・・・

この、戦士たちの写真をみよ。
http://sankei.jp.msn.com/photos/economy/business/071117/biz0711171943006-p1.htm


「ロボット」というこのあわあわとしたSF用語を口ずさむだけで
もう,私には詩が始まっているほど,ロボットが好きである。

(※これも分かりにくいネタだが、司馬遼太郎街道をゆく」のパロディです
 http://www.asahi-net.or.jp/~tx2h-mtok/kaido.html )


ロボット戦闘、それも空中戦だぜ。
地球の平和を君が守らず、だれが守るんだ。

ロボットの叛乱(ネタバレあり)

ただ、あんまりロボット同士を戦わせて遊ぶと「貴様なんかに戦争のコマにされた気持ちがわかってたまるか!」と叛乱を起こされることがあるので注意を。
これは永井豪短編に、そういうのがあって、筒井康隆編の「日本SFベスト集成」に収録されている。
ただ、これより一歩進んでいるというか、別の方向に進化した話もある。

星新一ショートショートでは、ロボット同士がプログラミングの指示に従い、無意識のうちに犠牲をいとわない、ある無茶な挑戦を行う。このロボットは意識・知性はあるが感情は無い。「なんでこれをするんだろうな」「分からないけど、そういうふうにしたいと思うのはそういう役目があるんだろう」といって、みなが犠牲をいとわずこれにまい進する。。
その、悲惨ともいえる破壊の描写のあと、永井豪作戦のように、その犠牲を命じた人間様がやってきて
「やあ、おもしろいゲームだったね」「自分の予想はあたったかな?」とか、とにかくエンターテインメントとして扱うのよ。

そしてラストシーン(大意)

「その話を聞いたら、ロボットはなんと思うだろうか。
むろん、なんとも思わない。
もともとそういうものだからだ」


・・・・これが、逆にすごく怖くなるんだよな。
ああ、なんか最後はしんみりした話になっちゃったね。