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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

ポアンカレ予想のNHKスペシャル。

まず本題の前にNHKスペシャルの再放送告知。本日深夜ですので。

http://www.nhk.or.jp/special/rerun/index.html
2007年10月24日(水) 深夜【木曜午前】0時20分〜1時19分 総合
100年の難問はなぜ解けたのか 〜天才数学者 失踪の謎〜

昨日のエントリは本題の手前だったので、たぶん来訪者は少ないだろうがその話の消化を。
まあ、本質の議論は出来ないので安心しなさい。
例のブロディ似のロシア数学者は、ポアンカレ予想を解くことで、世界中の数学者を_| ̄|○させたが、その中でも、この予想に比較的近い人々を_| ̄|○_| ̄|○_| ̄|○ orz させたのは、その解法が、彼らの手法から離れた別のところから登場してしまったことだそうだね。ムンジアル優勝の黒帯が満を持して総合デビューしたら、ぐだぐだの殴り合いして勝った様な(笑)。
ああ、俺たちのやってたことって一体・・・とおもっちゃっただろうな。


しかしトポロジーの問題というのはそれとは別に面白い。
この話を知ったのは、その前のETV特集にも出てきた鏡明「マッド・サイエンス入門」という本だったが【追記・堀晃でした】、「穴が開いているという点で、ドーナッツとコーヒーカップは同じなのである」という話は、これはかろうじてとんちを利かせれば素人にも分かる。

マッド・サイエンス入門 (新潮文庫)

マッド・サイエンス入門 (新潮文庫)


だがね、幼稚園の入園試験でだ、食パンとドーナツとコーヒーカップが並んでいて「この中で、仲間はずれはどれかなー?」と試験官が問うた時に、「トポロジーの概念からいえば食パンが仲間はずれ!」といって通じるだろうか??

俺は実際経験しているが「ウマとウシとシカ、どれが仲間はずれでしょう」・・・という愚問のようだ。


で、これをあの番組の中で紹介したフランス人の数学者がいたよね。
NHKが制作したであろうCGを利用し、フォークは穴のない平面だからイコール「球」。皿もイコール「球」。
急須はお茶を注ぐところが穴だからイコール「ドーナツ」、急須のふたは平面だからイコール「球」・・・とどんどん変形させていく。
そこで先生、
「ああ失礼、急須のふたにも(空気入れの、すごく小さな)穴があることを忘れていました」ともう一回変形させて「ドーナツ」にする。

たいへん分かりやすく、一般にも印象に残る教え方だ。
彼は、偉大なる啓蒙家であった。
だが、彼の数学的業績は、おそらくこんなにこやかに、軽妙に、テレビを使って数学をお茶の間の大衆に伝える才能などかけらも持ち合わせていない、あのロシア人には及ばないのだろう。


ならば、知とはなんであるのか。
あの番組で、いちばん印象に残ったのは、実はこの対比だったのでした。
極私的感想おしまい。