http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20070615#p5
で紹介した小劇場映画2本を、ぶじ見ることができました。
もう一本「選挙」についても、できれば参院選前に書きたかったんだがうまくいかなかったな。
キサラギに関しては・・・語りたいことはたくさんあるのだけれど、ミステリー仕立てだからあまりストーリーは語れない。
●物語●
マイナーなアイドルだったが、焼身自殺で最期を迎えてしまった如月ミキ。ファンサイトで知り合った彼女を愛してやまない男たち5人が、彼女の1周忌に集まった。それぞれに彼女との思い出を語る彼ら。しかし本当に自殺だったのか? そのことに疑問を感じていた彼らは、それぞれの事件当時の記憶を頼りに検証し始めると……。
一部屋の会話劇で、謎解きの要素があるということでは当然、一連の陪審員ものと比較されますよね。
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ただ、ちょっと面白いのはこれがインターネットの「オフ会」なので、HNと実物のギャップとか、ネット上でのキャラクターと実際のキャラクターのギャップ、というのがひとつのネタになる。
もちろん、一連の陪審員ものでも「私は実社会ではXXをやっていて・・・」というのがいろいろと話を動かしているのだが、それよりは毒が強くなる。このアイデアは結構この後も応用が効くんじゃないだろうか。
伏線については評価が高い。
伏線って、それがなんであろうと最初にストーリーの中で出てきたものが、その後すぽっとストーリーに再びはまると、それだけで感心させられるし、快感となる。それが多かったから、個人的には大いに拍手した。
特に、最後で「死の真相」にかかわる証拠となるべきギミックや設定って、いったんストーリーの中で消化されているんだよ。つまり「ああ、Aという話(や小物)が出てきたのは、Bという状況(やギャグ)を出すためか」といったん納得したエピソードや小物が、もう一度重要なものとして息を吹き返す。
これには、やられた!!と思うだろうね。
ひとつだけ不満をいうなら、死の真相に関しての伏線は完璧なのだが、舞台の中のやりとりに関する伏線はあまり力を入れていない。たとえばほぼ真相が分かった後、集まった人々はある美しいものに心を奪われてほっと心和み、それぞれが死んだアイドルに思いをはせる。
だが、その「美しいもの」がそこにあり、また起動するにいたる説明はおざなりで、ややご都合主義的だ。
それがそこにある理由、起動する理由などもびっちりと伏線をはって作り込んだらビリー・ワイルダーの作品(この人は偏執的ともいうべき伏線マニア)のような、一流の工芸品になっただろう。
とはいえ、こんなのは欲張りすぎな注文で、推理ストーリーとして秀逸。
最後の「おまけオチ」はやや、やり過ぎな部分もあるもののこれもまたよし。
公式サイト。8.25から上映する館もけっこうある。
http://www.kisaragi-movie.com/