http://www.nhk.or.jp/nagoya/kitaro/
昭和47年となり、日々「鬼太郎」の締め切りに追われる水木の周りで不可解な事件が起きる。行きもしないレストランからは請求書が届き、連れ込み旅館で水木の姿を見かけたと編集者には言われる始末。おまけに水木の行く先々には、夢か幻か、南方の象徴である“ハイビスカス”の花が咲き誇っている・・・。やがて水木は「何者かに押される形」で、自身の戦争体験を漫画に描き始めた・・・。
昭和18年、丸山二等兵(=水木)は、ニューギニアのバイエンにいた。ここは米軍と対峙する日本軍の最前線基地。初年兵として陣地構築の為、椰子の木を運び、穴を掘り、食料調達に働かされる日々だった。要領の悪い丸山は鬼軍曹にビンタを食らう毎日だった。敵よりも上官が怖かった。
敵襲に備える日々の中で、仲間の境田は豚を捕りにいく為に乗ったボートから落ちてワニに食べられてしまった。加山二等兵は、行軍の最中、敵の銃弾を浴びて倒れた。丸山は彼の小指を切って遺骨代わりにした。入隊前からの戦友・赤崎は敵の機銃掃射にやられた・・・。水木は、自らの戦場体験を渾身の力を振り絞って描いた・・・。
そして、漫画は否応なく、戦友たち皆が玉砕したあの“聖ジョージ岬”へと進んでいく。「総員」が「玉砕」への道に向かわざるを得なかった、あの理不尽な出来事へと・・・。
「総員玉砕せよ!」の異様な迫力は、山本七平が書いたフィリピンでの戦争・収容所体験に通じるものがある。
と、同時に
呉智英が「危険な思想家」(だったか?)に書いたように
【註】コメント欄で指摘を頂いたが

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「戦友たちはみんな死んでしまった。自分ひとりだけ生き延びて、こうしておいしいものを食べていられる。それを考えるとねえ・・・・」
毒舌の呉智英も神妙に襟をただし、耳を傾ける。
「とっても愉快になってくるんですわ」
呉智英、ずっこけたという。
こういう、一風変わったドライさもあるからなお注目されるのであります。