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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

裁けない場所、裁ける場所

※久々にNHBニュースへのリンク失敗。格闘技関係はこの上です。

山口県光市で1999年、会社員本村洋さん(31)の妻弥生さん(当時23歳)と長女夕夏ちゃん(同11か月)が殺害された事件で、殺人や強姦(ごうかん)致死などの罪に問われた当時18歳の元会社員(26)の差し戻し控訴審の第2回公判が26日、広島高裁(楢崎康英裁判長)であった。

 元会社員は「(弥生さんを)亡くす意思がないのに亡くしてしまった。乱暴しようという思いは全くなかった」と述べ、1、2審で認めた弥生さんに対する殺意や乱暴目的を全面的に否認した。

この被告の犯行と、その後の弁護方針に関する批判、非難というのはたくさん出ているから、それを重ねるまでもないだろう。というか、弁護人はどんな無茶でも無謀でも、やるしかないときはやるもんだしな。
逆に言うと、一応日本のベスト・アンド・ブライテストに近いような?一応手だれの弁護士(安田好弘氏も実績はすごい)が20人集まって、出てきたのがあのオカルト弁護論っていうのは、どれだけ元の犯行が正攻法じゃ弁護しにくいんだよって。

http://www.j-cast.com/2007/05/25007937.html

新たに21人もの大弁護団を形成した被告側は、主婦殺害後の遺体を犯した行為などについてこのように主張した。
被告は、自分が中学1年のときに自殺した母への人恋しさから被害者に抱きついた。甘えてじゃれようとしたので強姦目的ではない。騒がれたために口をふさごうとしたら誤って首を押さえ窒息死させた。死後に遺体を犯した行為は、生をつぎ込み死者を復活させる魔術的な儀式だった。

あたしがこの話を読んで最初に思い出したのはいしいひさいちの作品で


金貸し「うちも道楽でサラ金やってるわけじゃないんだよ」
借りた人「はあ、それがどーしても返せないワケがあるのでございます」
金貸し「なんだそりゃ」
借りた人「信仰上の理由なのでございます」
金貸し「ふーん・・・で、なんだそりゃ。アーメンか?ナンマイダか?」
借りた人「『借金かえしちゃいけない教』と申しまして」

この教会に連れて行かれた金貸し、異端だ邪教だとぼこられて逃げ帰る(笑)。


・・・つまりね、裁判ってそもそも「金がない、金が欲しい、だから空き巣に入って金を盗んだ」って、論理的につながるから裁判ができるんじゃん。しかし「宗教」が絡むと主語述語のまぜこぜ遊びのように
「迷える民を」「ポアするため」「地下鉄で」「サリンをまいた」
みたいな話になる。
文学的不条理ってのもこれに近くて、例のあまりにも有名な
「太陽が黄色かったから殺した」
なんてのが裁判でどう評価されるかっていうと、まあアレだ。

だから「なぜAをしたのか?それは魔術的儀式だからです」なんて言えばなんでも100%の確率で否定するわけにはいかない。「カツ丼食って、そのまま走って逃げたのはそれが魔術的儀式だからです」「体にクリームを塗ったのは宗教的な理由です。それを口外することも、教義上の理由でできませんでした」・・・なんでもそう主張できる。


問題は、それを周りの人たちは
フツーに無視することだが。
お前にはこのボールは絶対に打てん!!とか投げた魔球が、ダイレクトにバックネットに突き刺さって「そりゃ、確かに打てないわ」って感じ。