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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

林信吾「反戦軍事学」騒動その後。

http://obiekt.seesaa.net/category/2748905-1.html
に一覧がまとまっています。
少々残念なのは、同サイトでは潮匡人氏に確認することで、コメント欄に登場した”林信吾”氏が「本人か少なくとも、週刊朝日に間もなく潮氏との対談が掲載される・・・という内部情報を知り得るほど近い人」であることを確定させていたけど、自分も「対談の掲載の有無が分かれば、「林信吾」のHNの信憑性も分かるんじゃね?」と、週刊朝日編集部へコンタクトすることでスクープを狙っていたのだが、うまく繋がらなかった。ま、これはネット上のスクープに失敗したもののグチ。

「女王陛下の・・・」

林信吾氏の本をめぐっては、人気法哲学サイト「おおやにき」でも話題が続いているが、役割分担というのか、最新エントリではイギリスの制度について語っている。
http://alicia.zive.net/weblog/t-ohya/archives/000409.html

この「そんなことあるかい」という痛快な切り返しは面白いのだが


それより、イギリスの慣習法が持つ王権の制限と認可の部分が個人的には面白い。

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20061125#p4
■[時事][歴史][政治][漫画][新聞][読書][海外]「女王陛下の議会」開幕・・・歴史と伝統と儀礼


http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20051126#p5
■[時事][歴史][TV]女性天皇論。王侯将相、いずくんぞ・・・


なんてのを王様の権利、王権について今まで書いていたが、上リンクで紹介したジェフリー・アーチャーの「目指せダウニング街10番地」はたしか、聞くところによると2バージョンある。
これは基本的に若手のダブル、トリプル主人公で始まり、途中で脱落するものも出て最後は保守党・労働党それぞれの党首になったどちらが首相になるか?で引っ張る形。

んでクライマックスは、選挙の議席が全くこの二大政党で同数になる、さあどうなる?という展開。

このとき、イギリス(本国)版では「最後は国王がどっちを首相にするか決める」という決着だったんだよ。これが日本版に翻訳されたんじゃないかな、俺が読んだんだから。

そして、アメリカ版?もしくはドラマ化されたとき?は、これが脚色だか修正され「アイルランドだかスコットランド地域政党の党首が、どちらと連立を組むかで決まる」というお話になっていた・・・はずだ。

http://b.showa.cc/2/01.html

めざせダウニング街10番地 ジェフリー・アーチャー新潮文庫 270円(税込)

1985/10 イギリス首相の椅子を目指し、熱い戦いを続ける三人の同期生議員たち。そして1991年、新国王チャールズが選んだ人物は・・・。


いや、自分が最初に翻訳を読んだときも「えっ、いくら議席が同数だからって国王(設定では既にチャールズになっている)が首相を決めていいの?」と子供心にびびったから、強く印象に残っているんだよね。
しかしまあ、ニンジャが現在の日本で暴れている作品が海外で作られた、というのとは違い、政治家でもあった著者が英国で出版する小説でそういう設定が出たんだから、あり得ないことではないんだろうな。


英国王、という存在はなかなかに面白い。
当本舗の「『女王陛下の議会』開幕〜」を楽しんで読んだ人なら、こういう部分にも興味を持つのではないかな。

陸軍はもともと異なる主体が連隊regiment単位で創設したのを寄せ集めたという性格があり、特にチャールズ2世が常備軍的なものを創設してから1707年の統合まではイングランド陸軍とスコットランド陸軍が別々に組織・・・・それに対し海軍はその相当以前に王室によって「国王大権」Royal Prerogativeに基づき創設されたものだとされる。このため、陸軍・空軍・海兵隊の軍人は就任に際して国家元首としての「王座」the Sovereignに対する忠誠宣誓を行なう義務があるのに対し、海軍はそれを免れている。



名誉革命に際して採択された「権利章典」Bill of Rights 1689では「王国内において、平時に常備陸軍を創設し、あるいは維持することは、議会の同意を得ない限り違法である」とされている。これは国王によって創設された常備陸軍が議会勢力を弾圧する道具になることを警戒したためで、実はいまでも議会による常備陸軍維持に対する同意が毎年更新されているらしい。じゃあ海軍はいいのかというと少なくとも権利章典には出てこない。

それから、「おおやにき」に出てくる称号の話といえば、これは正式な呼び名ではないだろうが野党のことを「陛下の反対党」とも呼ぶ、と山本七平の本で読んだな。この称号が「野党とは反政府であっても、反国家ではない」ということを象徴し、議会政治の進展と成熟に一役買ったとか。
山本氏は世代らしく、大正デモクラシーから昭和モダン期にかけてこれに似た概念が帝国議会でも生まれはじめたことを指摘し、「なぜ日本は、そちらの方角に進めなかったのか」と悔やんでいた。