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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「1976年のアントニオ猪木」より1 資料として

NHBニュース http://blog.livedoor.jp/nhbnews/ とダブルポストです。一部加筆

2007年03月22日【書籍 / ビデオ /DVD 】
リングス選手、ある本の中で自身の FIX 体験を正式に認める、だが 。



http://www.bk1.co.jp/product/02765450
文芸春秋から「1976年のアントニオ猪木」という本が出ました。
プロレス本ですが、「ルスカ」「アリ」の人物像などに焦点が当たっているため、彼らのプロレス以外のリアルファイトやオランダ格闘技界の歴史なども書かれています。

この中で、クリス・ドールマンが1994年に山本宜久に敗れた試合がフィクスド・マッチであることを公式に認めています。


「ヤマモトは強くは無いけど。いいキャラクターを持っている。闘う心があるんだ。彼はライジングスターで私は50歳に近かった。私が勝ったら悪いだろう?だからレッグロックに敗れることにしたんだ」(153p)


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【解説】前田日明は現在、UWFに関しては(当然)「リアルファイトではない」ことをインタビューでも間接的に認めていますが、その後のリングスに関してはこの種の問題は避けています。


関係者や選手の発言ではヤマケンがUFC−J後に、モンテ・コックスアメリカ選手のマネジャー)がKOKに際し、また元社員の若林太郎やドールマンもこの本に先立ち「ガチ!マガジン」で語っていますが、「エスケープなどのルールが本物のVTとは言えないという意味」「昔の評判を伝聞で聞いただけ。自分の経験ではない」「確執の上で会社を辞めた人。偏見がある」「相手が遠慮したのだろう、という推測にすぎない」など、逃げ道が可能でもありました。


「自分が、意図的に勝利を譲った」という証言がリングスに対して出てきたのは、やはり珍しいといえます。
その一方、この試合がドールマンの「最後のフィクストマッチ」という証言もあり、証言が100%正しいなら、その後の試合(前田戦まで含む)は・・・? などの謎も出てきます。

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この本はまた、ルスカvsイワンゴメスや、ルスカとヘーシンク、ドールマン、ジョン・ブルミン相互の確執、愛憎、また当時の柔道選手がプロレスに転向したときの柔道界の反応なども書かれています。


ここから補遺。もともとhttp://d.hatena.ne.jp/fullkichi1964/20070320でこの本を知ったのですけど、

アントニオ猪木ジャイアント馬場を追い抜くべくいかにして異種格闘技戦というタブーに手を出していったか。ルスカ戦、アリ戦、パク・ソンナン戦、アクラム・ペールワン戦の舞台裏を精緻な取材とともに解き明かしてゆくこの鮮やかさ。類書の追随を許すところがない。

そう、これはマス・オーヤマにおける大山倍達 正伝」に当たる「アントニオ猪木 正伝」なのだ!!

1976年のアントニオ猪木

1976年のアントニオ猪木


こういうものが相次ぐのはそれなりに必然があります。それは世界的に盛り上がったことそれ自体があだとなり、中心を米国に移らんとしている総合格闘技ブーム(実際、この本もプロレスの風景ではなく総合格闘技のことから書き出している)と、70年代のあれこれが、当事者が第一線を退いたことで「歴史」になっているということでしょう。


今回は、個人的に興味があったリングスの話だけを緊急にピックアップしましたが、これを含めた、オランダ格闘技界黎明期の愛憎の歴史が本当に面白い。極真の愛憎と確執も相当に面白いが(笑)、あれ以上に人間の美しい部分と醜い部分が綾なしています。
とりあえずここで。