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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

ピーター・バラカン、「CBSドキュメント」で総合格闘技批判。そこで「この人」をプレイバック。

ミルホンネットは、ニュース分野?への進出を進めているようで。
http://miruhon.net/news/2007/03/post_63.html

ピーター・バラカンが「総合の繁栄は文明衰退の象徴」とCBSドキュメントで酷評


 3月14日深夜、TBS系で『CBSドキュメント〜究極の格闘技』の日本語版が放送され、ナビゲーターのピーター・バラカン氏が、懸念されたとおりの総合格闘技について否定的なコメントを一般視聴者に向けて繰り返した。
 総合格闘技のブームについて「まぁ、リアリティーの時代ですから」と断りつつも、お馴染みの「グラジエーターは古代ローマ文明衰退の象徴だった」論を・・・・・・

非常に残念なのは、この放送を自分で宣伝しているのに見逃したこと。
なまじかなり前にセットしたので、忘れていた。一応録画にセットしたので、ミニ番組か何かをはさんだのかな?そのせいで表題が変わってしまい「ん?こんなの録画した覚え無いぞ。失敗したのかな?」と消しちゃった(笑)。ヘンゾのあれこれを見逃したのは惜しい。


さて、んでピーター・バラカン。ビールの宣伝の人。レンホーと同じカテゴリーですな(10年ほど前の話)。
ミルホンネットの引用を見る範囲では、そんな丁寧に、自分の意見を開陳したわけではなく単なる感想にすぎないから、逆に詳細に反論する手がかりも無い。


ただ、引用の範囲でも、例えばローマ文明の衰退の理由や象徴をグラジエーターにするというのが恣意的な話でしてな。
ローマという偉大な文明が滅ぶ原因なんて多様な要因の複合以外にありえないので、塩野七生が15巻を費やして分析する話だ。
例えば塩野が示唆するように、ローマ文明衰退の象徴はむしろ時期的に言えば「キリスト教」だったのかもしれませんぞ(笑)。


パンとサーカス」(これも相当誤解があるというが)も、よく言われるローマの堕落の象徴だが、深夜まで放送している「テレビ番組」がそれだとこじつけることも可能だし、バラカンの専門のロック音楽だって、自作自演リサイタルやローマ大火を前に竪琴でトロイ滅亡の詩を歌ったというネロの事跡(伝説だし、ネロが暴君、暗君かってのだって議論の余地があるのですが)にこじつけられなくも無い(笑)。


それより問題なのは、バラカン一人の問題じゃなくてこの主の偏見は欧米の知識人、サブカル人に広く共有されている部分があるってことだ。
で、この機会に、別のサブカルに関わる欧米の方がほぼ似た趣旨?を、詳しく展開し、そしてとある格闘技好きと議論になった顛末をご紹介しよう。元の分も読めるよ。


フローラン・ダバディ氏との対話】
下から上に読んでみてください。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/searchdiary?word=%a5%d5%a5%ed%a1%bc%a5%e9%a5%f3


何にせよ、UFCアメリカでいかにメジャーになろうが英国に拠点を築こうがこういう傾向は続く。
米国コミッションへの対策・工作は天才的だったダナ・ホワイトが、こちらに関してどう壁を壊していくか。UFCルネサンスを見るときの、隠れた楽しみの一つでもある。


【付記】コメント欄に、Tonic氏からの詳細な内容紹介を頂いた。ありがとうございます。
氏のサイトは
http://blog.livedoor.jp/tonic73/

Tonic 『CBSドキュメント、さすがと言うべきか、秀逸な内容でしたよ。
要点だけ文字起こししときますね。


総合格闘技の試合を見て野蛮だと言う人もいますね。
ヘンゾ「理解が足りないね。まあちょっと荒々しいけどそこは分かってもらわないと。実際はそんな単純なものじゃない。高度なテクニックを必要とする競技なんだ。
本物同士の試合を見てくれたら分かるけど、身体の動きはそう、クラシックバレエに通じるものがあると感じさせてくれるよ。」


タフなバレエですね。
ヘンゾ「そのとおりだね(笑)。」
血まみれのバレエ。
ヘンゾ「血は格闘技の原点だよ。いいかい、流れるのは血じゃなくてプライド、俺たちの誇りのほとばしりなんだ。」


ミレティチ「昔はボクサーが世界最強のファイターって言われたもんだ。
でも今じゃ、総合格闘技の選手こそが世界最強だと言われるようになったんだ。」
総合格闘技とボクシング、この2つの違いは?
ミレティッチ「例えて言えば、オセロとチェスのようなものかな。技は無数にあるんだ。
例えば関節技をかけたらディフェンスは3種類ある。今度はその3つのディフェンスに対して仕掛ける技がそれぞれある。
そうやってテクニックは無限に広がっていくんだ。実に複雑な競技だよ。」


90年代後半の評判とはどういうものだったんですか?
ダナ・ホワイト「頭のからっぽなゴリラどもが相手をたたきのめすだけ。」
テレビ局の反応は?
ダナ「けんもほろろの扱いでした。UFCの評判は良く知れ渡っていたから。」
暴力的過ぎると?
ダナ「みんな怖がっていました。アメフトよりも暴力的なものなど・・」
ちょっと待って!アメフトは殴り合いはしませんよ。
ダナ「体重が100kgを超える鍛え抜かれた男たちが真正面から互いにぶつかり合うのがアメフトでしょ?
腕も足も、首まで骨折するスポーツのどこが暴力的じゃないって言うんですか?」


UFCを幾らで買収したんですか?
ダナ「200万ドル。」
今の評価額は?
ダナ「さあ(笑)。200万以上かな。」
その笑顔だと、1億は下らないって気がしますが?
ダナ「可能性はあります。10億かもしれません(笑)。」


UFCの隆盛についてのナレーション 「会社の評価額は実に15億ドル以上。
1万4千人の観衆がスタンドを埋め尽くし、70万人が40ドルを払ってPPVで観戦。
たった一晩の視聴料がしめて2800万ドル。こういったイベントを年に14回開催している。」


マット・ヒューズ「一旦リングを降りたら本来の自分に戻りたいと思うんです。
でもカメラの前に立ち、注目を浴びてファンにサインをしているうちにそれも難しくなってしまう。」
流され、変わっていく?
「そのとおり。」


ナレーション「総合格闘技のファイターはボクサーよりも脳の損傷を受けにくいことが研究で明らかになっています。」


桜庭はあなたの腕を完全にねじ曲げた。でもあなたは顔色も変えなかった。
ヘンゾ「ああ、あの時は自分でも楽しんでたんだ。何が起きているのかは分かっ
てた。でもあきらめなかった。靭帯がメリメリ切れていくのが分かったけどそれ
も自分の犯したミスに対する罰だと受け入れたんだ。」
なぜギブアップしなかったんです?
ヘンゾ「腕がなくても戦い続けられると信じていたからね。」


ヘンゾ「戦いこそ人間の最も醜い一面だってさんざん悪口を叩かれてきたよ。
でも現実の世界じゃなにもかもが戦いじゃないのかな。朝ベッドから起き上がるのだって戦いだ。
いうなれば戦いとは男の魂に宿る無上の存在なのさ。」


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ピーター・バラカン
「朝起きることも戦いだって(笑)?あまり個人的にそう思ったことはないんですけど(笑)。」


吉川アナ
「低血圧の人は、戦いかもしれません(笑)。」


バラカン
「すべてが戦いだ、なんて言うのはちょっと自分がやってることを正当化しようとしすぎてるかなって・・」


吉川
「でもね、格闘家の人っていうのはね、やっぱり男のロマンに満ち溢れてますからそうかもしれません(笑)。」


バラカン
「なるほどね(笑)。」

吉川
「ところで今度TBS系で放送しているHEROSはアメリカ進出ということですからUFCに対抗できるのかどうかその辺も楽しみなんですよ。」


吉川
「面白いなと思うのはプロレスの場合には筋書きが決まってるな、という怪しげなものがありますけど総合格闘技は筋書きがないので、真剣勝負というところがやっぱり楽しいんですけど見てる方は(笑)。」


バラカン
「まあリアリティの時代ですからね。
しかしね、僕はむかしのね、古代ローマのねあのグラジエーターのあの世界をどうもね連想するんですね。
こういう事言うとね一部であいつは全然分かってないって言われるかもしれませんけど、ああいうグラジエーターっていうのはね衰退するローマ文明の末期的な症状というものだったわけですよね。
で、多分ねこの総合格闘技もね100年後になって振り返ったらね今の我々の文明も同じように衰退の一途を辿っていたというふうに見られるんじゃないか、という気がしています。」』


やっぱり衝撃発言は吉川氏の「HERO'Sの米国進出は楽しみ」。
おまえ、ほんとに楽しみなんかと(笑)。