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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

アフリカ系の選手の肉体的特徴とタブー

アンディ・オロゴンが上のように、3試合で元K-1MAX日本王者を破った。
その勝因に「身体能力」を上げる人は多い。例:谷川貞治

「黒人アスリートはなぜ強いのか」

黒人アスリートはなぜ強いのか?―その身体の秘密と苦闘の歴史に迫る

黒人アスリートはなぜ強いのか?―その身体の秘密と苦闘の歴史に迫る

http://www.ne.jp/asahi/wtnb/2000/recommend/genre5/entine.htm

原題が示すように、黒人が一部のスポーツで強いのには遺伝的な要因があるはずなのだが、そのことがアメリカ社会でタブーとなっているということを論じる本。著者はジャーナリスト。

 日本人にとって、スポーツの分野によって「人種」の向き不向きがあるということは常識だろう。普通の日本人にとってのオリンピック競技鑑賞は、日本人選手が、生まれながらの資質という点での圧倒的な不利さを、その不屈の精神力で克服する(あるいは克服できない)のを見て楽しむという行為である。そういうわけだから、100m走の上位を西アフリカ出身の選手が独占していても、NBAで黒人ばかりが活躍していても、素直に「まあ黒人は強いからな」と思って納得しているはずだ。しかしアメリカでは、それを言うと大変なことになる。本書はそのタブーに挑戦するという趣旨で書かれた本である。

 これがタブーになっている理由は・・・

http://www.ywad.com/books/1294.html

・・・本書はある種のスポーツでなぜ特定の人種グループの選手が優秀な成績を収めるのかという、素朴な疑問に、遺伝学と生理学を中心にさまざまな角度から迫っています。人種グループとしては黒人などのアフリカ人種のみならず、白人、アジア人、さらにユダヤ人なども取り上げられ、スポーツの種類も多岐にわたっています。そして、黒人スポーツ選手たちの苦闘の歴史・・・

・・・まず、この本がアメリカの白人の手で書かれたことに注目しなければいけない。「黒人はちがう」と言っただけで永久に職を失う社会なのに、だ。

本書はまず驚異の事実を告げる。NBAの80%、NFLの65%、さらには100m走歴代100傑のすべてを黒人が占めているというのだ。そして、黒人のなかでも西アフリカ系・東アフリカ系の区別、ケニヤマラソンの驚異的な力‥‥、これらの事実を知るだけでも本書の価値はある

「彼らは貧しく、社会的に浮上するのはスポーツしかないからだ」
「差があるのはハングリー精神、勝利や練習へのモチベーションだよ」
「先に成功した、そういう選手が彼らの社会のヒーロー。それへの憧れが大きいから、みながこぞってチャレンジする」


いろいろ、単純な身体能力論への反論は組み立てられるだろう。
肯定論にしても否定論にしても、迷ったときに「科学と統計に帰れ」ということでやってほしい。

この本、書店で見かけたとき、少し読んで「あ、いい本だな」と思ったが、少しお高めの価格だったので「まあ、長く売られるタイプの本だろうし、図書館とかにも置かれるだろう。そういうのでいいや」と思ったのだが、その後本屋で見かけることも無くなり、どこの図書館にも置かれるという状態にもならなかった。
版を重ねていればいいのだが。