今月の「文芸春秋」06年12月号で、元ニューズウィーク日本版記者の高山秀子氏(彼女が同誌を退社していたとは、それ自体がちょっとしたニュースだ。彼女は同誌で結構無茶つーかトンデモな記事も書いてたしな)がレポートを書いているのだが、その中で、北朝鮮の最新版の偽100ドル札「スーパーZ」を、日本有数の偽札鑑定人・松村喜秀氏が鑑定し、その精巧さにうなるシーンがある。
・・・いつか北朝鮮が自由な国となった暁には、北の偽札作りたちと
冷えたビールで一杯やりたいものだ。もちろん冗談だが、『よく
頑張った』と言ってやりたい。それほどの出来だ。(298-299P)
戦場は悲惨で残酷で秀作だが、卓越した武勇と知略の士は時に敵からも称えられた。
「砂漠の狐」
「三成に 過ぎたるものが二つ在り 島の左近に佐和山の城」
「敵の大将たる者は 古今無双の英雄で それに従う兵は いずれ剽悍 決死の士」
この21世紀の、スターリン主義の亡霊たちとの戦いで、その名誉の勲章を授けられるのが贋金作りの匠たちだというなら、それはそれで実に「らしい」話なのかもしれない。