【ロンドン=横田一成】ノルウェーのノーベル賞委員会は13日、2006年のノーベル平和賞をバングラデシュの貧困層への金融支援を実施したグラミン銀行と同行のムハメド・ユヌス総裁の双方に授与すると発表した。バングラデシュでの貧困撲滅への努力を評した。
賞金は1000万スウェーデンクローナ(約1億6200万円)。授賞式は12月10日にオスロで開く。
委員会は授賞理由として「バングラデシュの貧困撲滅に貢献しただけでなく、世界に貧困金融のモデルを示した」と述べた。
グラミン銀行は1976年にユヌス氏が創設、貧困層に無担保で資金を貸し、自助努力を促すもので、女性を中心に500万人以上に貸し付けを実施した。
ユヌス氏は04年の第9回日経アジア賞を受賞している。 (18:17)
彼の事跡は当の昔にここで紹介していたと思ったが、うかつにも未紹介だった。
まあ、本日の新聞でここぞとばかり紹介されるだろうから、繰り返さない。
なぜ注目していたからというと、私は常々「第三世界がうまく成功し、最貧困を脱出する」事例に興味があったからだが、またこの「小額・貧困救済銀行」というアイデアと、それが実際に成功したというところに奇跡を見るからだ。
たぶん、王安石(明 北宋の政治家)の時代から、この貧しい人が高金利でカネを借り、抜け出せなくなるという悲劇を防ぐための、政策的な低利貸付・・・という案はなんども出ながら、うまくいかなかった。
しかし、ちゃんとやれば成功するのだ。その低金利のカネ?(註:以前小耳に挟んだところでは、利率自体はそれほど低くなく「小額」がポイントだとも聞く)でちゃんとその家庭、とくに女性は設備投資(といっても鍬や鎌、機織機やミシンのたぐいだ)を行い、自前の利潤を得るようになる。そしてそこから返済する。
実はこの形式の銀行はバングラディシュにとどまらず、今や世界60カ国に広がっているという。
例の「南米の番長」チャベス大統領も、
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によれば、富属インテリ層から冷笑を受けながら石油資本を基にこのような銀行を設立しており、それを聞いて小生は同大統領の評価をかなり上げた。
これが本当に有効なら、60か国といわず世界中に広がって欲しいもんですな。
また、日本では。アメリカでは。必要ないといえるだろうか。
アメリカもラテンアメリカで国策でこれをつくり、体制間競争を仕掛ければいい。
日本もとりあえずは金があればできる(もちろんノウハウと情熱も要るけど)のだから、「日の丸低額銀行」は可能だろうか。
そのへんはODAの効率調査が専門分野の山形浩生が積極的に語るべし。
稲葉振一郎氏はどうかな。
http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/
【その他参考】
http://d.hatena.ne.jp/opechuman/
「たった6ドルで人生が変わった」
http://www.ochanoma.info/sc_bank.html