あと2週間か1週間ほどするとネットでも読めると思うけど、今週の週刊朝日には考えさせられた。
船橋氏が、国際的なジャーナリストや知識人たちの情報交換の場で、アメリカ人の出席者から「宗教団体、宗教勢力と話す機会を積極的に持っていかないとこれからは駄目だ」といわれたそうだ。
船橋氏を含めた大方の知識人は、アメリカの波乱要因となっている、宗教勢力という言葉を聞いただけでまゆをひそめたそうだが、聞いてみるとそういう勢力と対話しないといけない、という話もうなずけるものだった。
要は、戦乱、貧困、犯罪あいつぐ第三世界の「危険地帯」を見渡せば、結局そこにいる欧米の組織、根を下ろして幅広く活動し、人脈と情報網を持っているのはキリスト教系慈善団体しかいないというシンプルな理由のゆえだ。ウームとうなってしまった。
(補足)・・・・と思ったらもう掲載されていたよ。
http://opendoors.asahi.com/syukan/briefing/803.shtml
No.802 [ 週刊朝日2006年9月22日号 ]
宗教右翼が米外交に大きな力を持つようになった
紛争予防を専門に手がける国際NGO、ICG(国際危機グループ、本部・ブリュッセル)のメンバーとして、仲間たちと世界の危険ゾーンウオッチングを続けてきているが、米国のメンバーたちが、何度か米国の宗教右翼を称賛した。
「彼らともっと情報交換をし、もっと連携することを考えてはどうだろうか」
欧州のメンバーは、エッ、宗教右翼? 一体どうして、と合点がいかない様子だ。(中略)
・・・・宗教右翼に対しては、知的にも、気質的にも、政治的にも拒否反応を示しがちである。
ところが、スーダン、アンゴラ、ソマリア、リベリア、シエラレオネ、ジンバブエといった破綻国家あるいは準破綻国家に行くと、どこへ行っても米国のプロテスタント系教会やその関連のNGOの活動家たちと出会う。
ICGもフィールド調査と分析の強さでは定評があるが、これらのキリスト教団体は現地に深く入り込み、地域に根を下ろし、現場から日々、詳細な報告を発信している。現地の言葉を話す人々も多い。
エイズ、人身売買、麻薬、女性の権利、難民救済、それぞれの分野で彼らは献身的に取り組んでいる。・・・・
イエズス会の昔っから、ジュズイットといえば陰謀家の代名詞としても使われているぐらいだが、また同様に世界中の情報を集め、分析し、そしてローマ法王庁の基で一元化されていた。
今でも戦国時代を知る重要資料になっているのはご承知の通りだ。
それが、今でも続いている。
最近、手嶋龍一や佐藤優、また佐々淳行があいついで本を出したほか、安倍晋三も情報機関創設をうたっていることもあり、「情報力論」がメディアではさかんになっているような気がする。
私も平均的日本人として、宗教的情念に突き動かされている人はそれだけでひく部分もある。
しかし、電気もガスもない荒野で、貧しき子供や病人を無償で助けているのは紛れもなく、神という幻想を信じる「狂信者」だ。その背景には「ここで何かの事故がおきて命絶えても、イエス様のお導きで永遠の生を授けられるー」という、これまた宗教的確信がある。
「狂信」によって、もっとも偉大なことができるなら、それを狂信と呼べるのか。
くしくもローマ教皇が「失言」で窮地に立ち、日本の最終解脱者が死刑確定となった。
ちなみに、狂信が生む崇高な行為といえば、今撮影中であろう「墨攻」の墨家教団も、たしかに平和主義者にして侵略戦争には命がけで防衛を請け負い、粗衣粗食、質素な葬儀や音楽否定などの禁欲を貫く集団だった。
しかし、他の中国古代思想と比べても、かなりオカルテックな「明鬼」(霊の実在を信じる)の立場に立つ宗教教団でもあった。人間の集団というのは千年の昔も今も、宗教の力によってのみ自己の欲望を抑制することができるのだろうか。それは分からない。
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下の論争は面白いよ。今の価値観から見ると、(葬儀は簡素か豪華かなど)やっぱり墨家が儒家にまさっているような気もするんだが・・・・
船橋洋一おまけ
http://opendoors.asahi.com/syukan/briefing/794.shtml
読み逃したコラムをついでに今読んだんだが、こういうのでいいのかねえ。ちょっと好意的すぎるのでは。
政治記者というのは、優秀であればあるほどインサイダーに近くなり、あるいは見分けが付かなくなるものではあるが・・・・