たぶんかなり有名な話なのだろうが。どっちでもいいから格闘技スポンサーになってくれないかな。
あ、ほとんどの選手が裸足か。
産経新聞はたった3日程度で、過去の書評記事が読めなくなってしまう。昔は一番古くまでの記事を検索できたような気がするが。
http://www.sankei.co.jp/news/060730/boo019.htm
【書評】『アディダスVsプーマ』バーバラ・スミット著
骨肉の争いが生んだブランド
まるで旧約聖書にあるカインとアベルを彷彿(ほうふつ)とさせる兄弟の相克である。だがその骨肉の争いがアディダスとプーマという世界的なスポーツブランドを生むことになるのだから世の中は皮肉なものだ。第二次世界大戦前、バイエルン北部の小さな町ヘルツォーゲンアウラッハで織物業を営んでいたダスラー家に誕生した兄弟ルドルフとアドルフ。無口で職人気質(かたぎ)の兄ルドルフと外交的な弟アドルフは共同経営者としては絶妙のコンビに思えた。しかし、2人は対立し、激しい口論の末に決別。1本の川を挟んだ対岸にそれぞれがスポーツ靴のブランドを立ち上げた。アドルフがアディダス、ルドルフがプーマだ。兄弟間の確執はワールドカップやオリンピックなど華やかな国際スポーツ大会の舞台裏での熾烈(しれつ)な競争に発展する。
本書は5年にも及ぶ綿密な取材と膨大な資料を元に、2つのブランドがいかにして有名選手を取り込みながら成長してきたかを振り返るだけでなく、ナイキなど米国系ブランドの参入でさらに熾烈さを極めているスポーツビジネス界の巨大利権のからくりを詳(つまび)らかにする。ベッケンバウアーやペレ、マラドーナ、ベッカム、中村俊輔、モハメド・アリ、ボリス・ベッカー、マイケル・ジョーダンら世界一流選手に関する驚愕(きょうがく)の事実の数々はジャーナリストとしての著者の執念さえ感じさせる。
例えば、露骨な金銭のやりとり。昔は選手のトイレに茶封筒が置かれていたり、シューズにお札が突っ込まれていたりした。それが今や契約金は何十億円、イベントスポンサー契約ともなれば何百億円という大金が動く。国際スポーツ大会は企業ビジネスの巨大な台風の眼となり、選手も観客もその渦に巻き込まれている格好だ。アディダスの社長だったレネ・イェギはいみじくも言っている。「人間は三つに分類される。すなわち、事を起こす人、事が起きるのを見ている人、何が起きているのかわかっていない人である」(宮本俊夫訳/ランダムハウス講談社・1890円)
キャスター・明治大学教授 蟹瀬誠一
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【プロフィル】バーバラ・スミット
Barbara Smit フランス在住の国際ジャーナリスト。1968年、オランダ生まれ。ロンドン市立大卒。
(07/30 05:00)