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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

ルールを作るものがルール(支配)する・・・UFCのシビアさよ!!

ほんとはこれは次回にとっておきたいんだけど、例のサーバー不調(時々元に戻るだけ)はまだ続いているので、書けるときに書いておこう。



今回、この別冊では前回別冊に続いて、DSE・USAの幹部たちに聞いている。
あまりこれまで大きく名前が出ている人ではなかったが、知る人ぞしる、同社のシニア・バイス・プレジデント山本秀樹氏がインタビューに答えている。
どのやりとりもすごく興味深いのだが、特に注目したいのは、PRIDEのアメリカ進出をめぐるUFCとの暗闘だ。


「ミーティングでね、彼ら(註:UFFCの関係者や選手)が言うわけですよ。「リングや4ポイントのヒザ蹴りがいかに危険で野蛮なものであるか」というようなことを」


−「あれはスポーツとはいえない」みたいな感じなんですね。


「彼らの攻撃は本当に激しいものでしたね。こちらの議題が彼らの狙い通りに却下されたときなんか、彼らは会議が終わったあとも部屋の外で彼らを待っていて、満面の笑顔で握手してきました。そのときのことは一生忘れないでしょうね。こちらも笑顔を作るんですが、血が出るほど唇を噛みました。

ぞっとしませんか。スポーツビジネスの現場での、武器も拳も無きガチンコ。
山本氏も、かなり大きな要求を最初はしてくるアメリカ人格闘家の条件をねぎり、要求を跳ね除ける海千山千のベテランだ。
航空機市場、制約市場において日本企業の米国進出を手がけた経験もあるという。(じゃあ、単にビジネスとして格闘技に関わってるの?と思う方もいるだろうが心配ご無用、聞いた話によるとPRIDEが出来る以前からの純粋な格闘ファンでもあるようだ)



そして、その人を持ってしても苦汁を飲ませられるコミッションの場。
総合格闘技やサッカーでブラジルと日本に差があるのに負けず劣らず、アメリカと日本の間には「法律で戦う」ときの実力差がある(笑)。マイケル・コネ・・・いやいやいや(笑)。


マネー敗戦 (文春新書)

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マネー敗戦の政治経済学

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まあ、この種の「悪賢い諸外国にしてやられた」史観と言うのは、逆に膨らみやすい方向性を持ってもいる。
あっちはあっちで「してやられた!」と思い続けてたりするし。


それから、山本氏はこうも言っている。

それから一年以上活動を続けて、いまどうにかリングの許可が降りようとしている段階です。ただ、こうしたある真正面からの議論は、非常に健全だと思いますし、われわれは足を引っ張るのではなく、彼らを論破するような材料を用意して闘っているわけです。

うん、一連の議論というのは、私どもでも追えるぐらい、それなりに透明性があった。
「わたしはゴミですか」とか「実質ウチらがやってるんや、それを何や!」よりはマシというもの(笑)
PRIDEファンも「UFCの野郎は陰湿で身勝手だ!」と怒る前に、彼らのロジックというものにあらためて触れ、賛否の議論を自分なりにることをお勧めします。

そして、それがちゃんとあるのがネット時代のすごいところだ。
初出のときもここで紹介したが、

http://zenzen.jugem.jp/?eid=425

http://zenzen.jugem.jp/?eid=431

Hendrickは共和党上院議員を呼び出し、アリゾナ州のJohn McCain(1990年代中頃、UFCにとって最大の批判者でした)を味方とし、統一ルールから外れる事に対する彼の意見を話してもらいました。時代に逆行し、ダウンした相手の頭部に対するキックと膝の攻撃を含むルールは「全くスポーツマンライクではない」これは以前のUFCの姿で、逆効果だろうと彼は言いました。

“It would be the same as if you turned back the clock a century and you were asked to regulate boxing,” Hendrick told to the commission. “Would you have the chance now for California to say, ‘It might bring a few more fights to California if we just allow one low blow a round. That would be fair. How about a couple of rabbit punches a round?' To go backwards in time, to deviate from what is set now and is determined to be a legitimate sport in this country, is going backwards.”

「それは一世紀時計を戻しのと同じようなもので、ボクシングのレギュレーションを問うているのです。」Hendrickはコミッションに言います。「あなたは今カリフォルニアへこう言うチャンスが欲しいでしょうか?『我々が1ラウンドに1度のローブローを許すなら、戦いをもう少しカリフォルニアへともたらすでしょう。それはフェアーです。1ラウンドに数回のラビットパンチはどうでしょう?』時代に逆行しています。今決められている事から逸脱し、この国の合法的なスポーツを終結させることは時代に逆行しているのです。」


当時から俺も「ルール敗戦」という言葉を使っていたな。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20050227#p4



ところでもうひとつ。
この、ルールやレギュレーションを話し合うコミッションの場は

「毎月、コミッションのミーティングがあるんdねすよ。そこで公開ヒアリングだったり、投票が行われるんです。最初は、そのミーティングの議題の中に、現行のMMAルールを変更したい、という申し立てを行いたい、ということを盛り込ませることからはじめて」
「ミーティングは公開の場ですので、だれでも発言できるわけです。だから節目になるような場面ではUFCの関係者も大勢来ましたし」(P76)


らしいんだよ。
「毎月あり」「だれでも発言できる」・・・・いま、ふと悪い想像をした。

とある月のコミッション。見慣れない東洋人が挙手する。
「私はWeekly GEIDAIで記者をしているものだが、ひとつ貴コミッションに質問したいことがある。それはあるプロモーションの社会性についてだが・・・」


ぶんぶんぶんぶん。
そういえば、俺の英語サイトを通じ、かなり初期に「正確な記事の英訳を、全部送ってくれないか?」という見も知らぬファン?からの英文メールが来たことがあったな。まあ、それはこういうとこの、PRIDEを妨害するUFC関係者とかじゃないだろう。

だって、俺に「正確な英訳」を頼むようなマヌケなら、そもそも畏れるに足らない(爆笑)