今月の「論座」に「ウゴ・チャベスとは何者か」という翻訳論文が載っている。
ベネズエラのチャベス政権に関しては以前から多少注目していて、当本舗ではいくつかエントリを書いている。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/searchdiary?word=%a5%d9%a5%cd%a5%ba%a5%a8%a5%e9
同誌の論文はチャベス政権の全体像や来歴がそれなりに手軽にわかって興味深かった。
チャベスはけっこうアジアや南米にはいる、軍人時代にクーデター未遂し失敗⇒でも国民的人気者になり刑事責任はうやむや⇒人気を背景に政界進出・・・のパターンだったそうだ。
問題は、経済政策・貧困対策なんだが、これはやっぱり中立的な立場でみても失敗らしい。貧困層も増えた。
ただ、貧困層が増えた場合、これは「最貧困層」が貧困層になったというパターンもあるのでそこはどうだろうか。フジモリ時代のペルーもそうだった。
ただし、チャベスの福祉は悪しきペロニズム(ペロン主義)の影響があり、直接、バラまくような形を取り過ぎだ。米百俵の反対というか。南米の貧困を考えたら、そういう部分の強化も必要かもしれないが、やはり再生産できるインフラを重んじないと。石油頼りじゃなあ。
そもそも南米で、いまだに日本や韓国、台湾ぐらいの社会的安定や民主主義がまだ根付かないっていうのもヘンな話でね。
資源も民主主義の伝統もあるのに、Bricsにようやくブラジルが入ったぐらいじゃねえ。
さて、チャベスに話を戻すと、半分道化的に反米姿勢を打ち出していて、超大国アメリカへの一種の皮肉となっている・・・うちはこっちもニヤニヤ眺めていたが、そうもいってられない事態が起きた。
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=76698&servcode=500§code=500
ベネズエラ・チャベス大統領、イランや北朝鮮訪問へ
2006年06月12日19時23分
強い反米姿勢を掲げるベネズエラのチャベス大統領が11日、核開発をめぐって米国と対立するイランや北朝鮮を近く訪問する意向を明らかにした。原油価格の高騰による利潤を武器に盛んな反米外交を続ける同大統領の両国訪問が実現すれば、様々な波紋が広がると予想される。ロイター通信によると、同大統領は自らが司会を務めるテレビ番組で明らかにした。両国のほかロシア、中国、シリアも訪問先として挙げた。時期は明言しなかった。
訪問の理由について、同大統領は「経済、政治、技術の面で戦略的同盟を深める」と説明。「ロシアやイランとの関係は、帝国であり地球の支配者だと考えている米国との関係とは大きく異なるものになる」などとも語ったという。
ことここに至っては、今までは無責任に面白がっていたが、はっきりとベネズエラは”敵”だ。
日本のではない、反全体主義への敵。そして横田夫妻の敵であり、李英和やアンチョル、またはノルベルト・フォラツェンの敵である。
この政権に(理想的な)反米や反植民地主義の夢を見たがった人の幻想も、雨散霧消するということになる。
ただし、最初に紹介した論座では不気味な予言も。
「チャベスはおそらく、この地域に「チャベス主義」とでもいうべき政治的傾向、思想を残すことになるだろう」
南米事情を知るには