この前の「プロデューサー論」に関して、書き逃していたのが夢枕獏の話。
いろいろなところに人脈と信頼を築き、人と人やアイデアをシャッフルさせ形にしていくのがプロデューサーなら、まさにうってつけというべき人が夢枕獏氏だ。
私がいい読者ではなく、エッセイと格闘技系小説、それから一部の歴史ものにしか彼の著作は明るくないのだが、あらためて思いますれば彼の多彩なジャンルッっぷりには驚くほかありません。それに読者層も、それにともなって深く広い。
実は珍しく私事にわたる話だが、実家の老父が、なんか折れhが置いてきた蔵書から偶然、夢枕氏の「獅子の門」シリーズを取り出してね、しかもハマッたんだよ。うちには3巻しかなかったので「続きはないか」と電話を受けた。
俺も、途中で中断したと思ってたら今6巻まで出ているので、今度持って行きます。
- 作者: 夢枕獏,板垣恵介
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/03/27
- メディア: 新書
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いや脱線した。
夢枕氏はこっちがいうより早く、そのへんの執筆活動から広がった、多彩な活動にも手を広げているのはご存知の通りで、例のヒマラヤやシルクロード、カナダの大河のカヌー旅行などの一連の冒険のほか、歌舞伎役者との交流を基に芝居台本を書き下ろしたり、BSマンガ夜話の準レギュラーとして活躍したり、パンクラスの解説席に座ったり、落語家と組んで『楽語・すばる寄席』 なんてえのをこしらえたり・・・
いやはや、よく考えたらありえないだろこの仕事量。
おまけに余談ながら彼はいまだに手書きで、同じく手書きの田中芳樹氏のところに「君も裏切らないでね、一緒に手書きの作家生活を送ろうね」と念を押しているとか(笑)。これぐらいジャンルが広ければ当然、その各種の方面で一流どころと知り合いになっていることはいうまでもない。
そして、肝心なのはいつのまにか築いていた信頼性である。
昨年、彼の著作(語りおろし作)で面白かったのは
http://www.digiadv.co.jp/baku/data/2005_data.html
『夢枕獏の奇想家列伝』
新刊のお知らせ
夢枕獏『NHK 知るを楽しむ 月 この人この世界 夢枕獏の奇想家列伝』
目次
はじめに
第1回 玄奘三蔵/知に駆り立てられて
第2回 空海/日本が生んだ最初の世界人
第3回 安倍晴明/「呪」の力
第4回 安倍晴明/五芒星の道
第5回 阿倍仲麻呂/文明の絶頂を見た人
第6回 河口慧海/カタブツだからできたこと
第7回 シナン/神が見える家
第8回 平賀源内/才能がもたらした悲劇発行=NHK放送出版協会
奥付発行日=2005年8月1日
だったのだが、ふと思えば一応いまだ「エロスとバイオレンス」の看板を落としていない氏に、NHKが寄せる信頼は並々ならぬものがある。
むかしNHK衛星放送では、UFCを含めた総合格闘技の特集をやったことがあるが、その企画も含め?紹介者役を務めたのが夢枕獏氏だった。
それはやはり彼が信頼し得るキャラクターだということもあるのだろう。獏がやるから、格闘技の放送に踏み切ろうかという部分もあったはすだ。
以前「平成の梶原一騎たる人」と考えたことも有ったが、よく考えたら人格円満たる梶原一騎というのは有り得るのだろうか(笑)。
まあ結論としては、あれだけの著作活動を見せられたらちょっと言うのも恐れ多いのだが、さらにいろんなところでプロデューサーというか、フィクサー的に暗躍していただきたいと。ことに格闘技業界で。
あ、あとひとつ疑問だが、日本SF大賞と星雲賞を同時受賞した夢枕獏が創設した「SF界統一ヘビー級王座」のベルトは、いまだれが保有しているのだろうか?