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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

週刊金曜日600号

創刊600号に想う(本多勝一)
 今週号は本誌が13年前に創刊されてから第600号にあたる。

「よくぞここまで」と、1993年の創刊当時をかえりみて想う。平坦な道のりではなかった。創刊にいたるまでの最初の契機にさかのぼれば、1990年11月20日、新井直之氏(共同通信、のちに創価大教授)と打合せをしたことが、「XY新聞」と表紙に書かれたノートに記されている。私の朝日新聞社退職の前年である。

 XY新聞とあるように、当初の目的は新しい日刊紙だった。このノートを見ると、新井氏のあとやはり共同通信原寿雄氏や斎藤茂男氏をはじめ、筑紫哲也氏・岩見隆夫氏(毎日新聞)・石川真澄氏(朝日新聞)・秦正流氏(同)・疋田桂一郎氏(同)・黒田清氏(読売新聞)・長沼節夫氏(時事通信)などの新聞人、さらに井出孫六松浦総三・國弘正雄・江口圭一・袖井林二郎・安東仁兵衛・岡庭昇等々、ジャーナリズム本来の正統に理解ある学者・評論家各氏たちと会って・・・・

この間には初代編集長・和多田氏があまり円満ではない形で辞めたり、鳴り物入り編集委員になった辛淑玉が差別語の使用不使用の問題ですぐに辞めたり、噂の真相と決裂したり、小林よしのり氏が登場してたり(笑)、労組を作ろうとした編集部員が辞めて、その内幕を新潮45に掲載したりとまあいろいろあったが、それでも週刊誌で600号を出すというのはこの時勢では偉業だろう。


間には、数ある出版社が望んでも出せないミリオンセラーの版元にもなったわけだし(その「買ってはいけない」の内容は問うまい)、おめでとうございます。


この雑誌の思わぬ効果は、彼らの主張やオピニオンが、完全に「囲われる」ようになったことだ。私のような特異な趣味人を除いては、この雑誌を「立場は違うけど、読んでみよう」と思う人はごく少数だろう。
もとより論壇誌の影響力なんて限られているけど、他の雑誌と比べても、それこそ「世間」への訴求力の小ささは際立っているはずだ。


これは、論調の古さ、偏りや、一部を除く編集委員の今までの言動もあるが(笑)、もともと会員制に近い形で出ている雑誌はそういうものらしい。
山本夏彦桐生悠々が「他山の石」を起こしてやっていた活動を、「その意思はたいしたものだが、どうしても会員制雑誌というのはそこだけで影響力がとどまってしまうものだ」と書いている。