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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「ドラえもん のび太の恐竜」は根本的な設定に謎がある

リメイク作品が、昨日公開されたんだっけ。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20050131#p1に書いたものを、そのまま再録します。

■[漫画][SF][科学]ドラえもんのび太の恐竜」の矛盾・・・そして矛盾を超えるもの
http://blog.livedoor.jp/banmaco03/archives/13265083.html

をまず御覧なさい。

両方読んでいたはずだが、気づかなかったな。

ちなみに、きょうりゅうがりに行く回(3巻?)では、ティラノサウルスに捕まったのび太くんが、眼鏡のレンズで太陽光線を集め、その熱でピンチを脱出するという冒険活劇風の展開もあるんですが、実は普通の人がかけるメガネというのはレンズの性質が違っていて、あれはどうやっても火は着けることが出来ないんだそうですね(笑)。

まあ、これはノーベル文学賞作品「蝿の王」ですら同様のミスをしているそうなのでどうでもいい。

で、リンク先に戻ると、そもそも映画版とてんとう虫コミック版の整合性の無さもさることながら、むしろ「のび太の恐竜」のそもそもの設定に、よく考えると極めて重大な矛盾があることに気づきました。




上の引用部分のあとで、ドラえもんは「なぜ恐竜ハンターは禁止されているのか」について語っている。大体の内容をいうと、「この時代の動物は、ぼくたちの遠いご先祖様かもしれない。それを捕まえたり、殺したりしたら僕たちだって生まれてこなくなるかもしれない」(大意)というものだ。

よく覚えているな、俺(笑)。

ロジック自体は、実に単純かつ基本的な枠組みを踏襲している。



・・・しかしだ。

そもそも、ドラ一行が白亜紀にやってきたのはピー助をこの時代に放流するためである。

そしてピー助とはそもそも卵の化石を、タイムフロシキで復元して誕生させたもの。つまりは、その時代には生まれてこなかった命なのだ。

白亜紀の動物を狩るのが歴史を変える行為なら、そこに本来はいなかった命を送り込んで、しかも群れの中で繁殖行為までさせるというのも立派な歴史改変行為ですよなあ。

実はこれ、

http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/science/alien_species/?1106186314

の話題が盛り上がった際にふと気づいたのですが、今回のリンク先を見てこれも何かの縁かと発表に踏み切った次第。

私も家族兄弟総連れで見に行った(記憶のある)映画はこれが最初で、その優れた内容や藤子・F・不二雄がある程度「わかった上で」あえて乱暴なSF設定(「鉄人兵団」も無茶だし、「大魔境」もムチャ。椎名高志が短編で、そのムチャさを上手くギャグにしていたね)を貫く、スマートっぷりつうかWWE的覚悟を持っていることは存じておるが、取りあえずは書いとこうかなと。

これをわざわざ御目出度い映画公開に合わせて再掲載したのは、何もいちゃもんが目的ではない。というのは藤子氏、「あやうし!ライオン仮面」や「ドラえもんだらけ」のようなドラ作品のエピソードだけではなく、短編の中でも「自分会議」「タイムマシンは絶対に」「あのバカは荒野を目指す」など、タイムパラドックスを正面から問う(または正面から行くふりをして変化球を投げる)五本の指では利かない数々の傑作を残している。
知らなかったはずはないのだ。

これを小生は、先生からいただいた「すこし・ふしぎ」の玉手箱だと考えたい。
思い起こせば自分も小学校から中学校に上がるころだろうか、もう一人の時間旅行者・広瀬正氏の「タイムマシンのつくりかた」でのタイムパラドックスを描いた数々の作品を読み、一段上というかもっと泥沼というか(笑)、そういう世界に入っていったのだ。


今回、父親としてお子さんを連れて映画館に行く人も多いだろう。
小さい幼児にはもちろんわからないだろうが、ある程度成長した子には「こういう視点もあるよ」と、ぼやかした形でもサジェスチョンをしてほしい。

シャーロキアンというボンクラども(笑)がコナン・ドイルの残した「空白の3年間」や「ワトソンが怪我したのは足か肩か?」というおもちゃで遊び続けているように、そこから発展していくものもあるはずだ。
ただ、我が子をまっとうなカタギに育てたいときは薦めないけどね(笑)


【参考】http://tanautsu.duu.jp/tanautu-FAQ_01.html#Q07の「Q7」。
http://tanautsu.duu.jp/the-best00_01_07_a.html(ここの「新Q太郎」は僕デス)