今週、やたら諸事まぎれて忙しかったので、ようやっと大急ぎでいろいろ読んでみた。
(以下一部ネタバレあり)
「絶対可憐チルドレン」
上手いね、ひたすら上手いね。シリアスとギャグの混合は、一回二回はうまくいくものだが、なかなかこうもバランスをとって、きれいな着地を見せるのは難しい。芸術点というか、パートパートでの演技、華麗なる動作が積み重なって高い得点をはじき出したのだ。
これはもう、どっかで既出かな?
メインアイデアである、「ダムで水没した村のビジョンを」「超能力によって見せて、その村の出身者を喜ばせる」というコンセプトは、先行作品として「エスパー魔美」の中に登場する。
もちろんパクリでもなんでもなく、きれいにジカヤクロウチュウのものにしているので問題は皆無でありますが「椎名高志は藤子・F・不二雄の正統な後継者」と主張する小生の論に、いい傍証ができたと個人的にほくそ笑むのであります。
村上もとか「龍」
長期連載作品であるこの漫画で、初期を引っ張った偉大なる大悪役、特高・日影氏がついに亡くなった(?)。それも極めて皮肉な形で。
日影氏については
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20051011#p3の後半をまず読んでね。
この、最初の取調べの時に、まったく武道や格闘技の素養を見せない日影氏を、「この男も、心に刃を持った男だ!」と武道の有段者である龍は評価する。
その後、いろいろな形で日影は、龍を追い続けるのだが・・・。
最後は龍(てい)が養子にした中国人の孤児にしてやられる。この子は食べるものもない、明日をも知れぬ身の上から、ていの愛情を一身に受けて育つようになったものの、それを失う恐怖から、子供なりの陰謀や計算、ずるさをフルに発揮し、どんな手段をとっても自分のその環境を守ろうとする。そこには子供に似合わぬ、いや子供だからこその残酷さ、冷酷さがある。日影はその子に、最初は龍の情報のために接触するが、終戦によってその関係は・・・・と続く。
この作品の中で、大日本帝国のある面を象徴していた日影がああいう形で死んだ?のは、また極めて象徴的だ。こちらも上手い、巧過ぎる。
しかし、前も心配したが、龍は今後、あの秘法を隠すためにチベットへ行くんでしょ?
「日中友好を侵害する漫画を載せないよう、政府は指導せよ」といわれないだろうか。
まあ、中国のイメージを悪化させてるというなら「銀玉」のほうに最初に文句をつけるべきだが(笑)
なんだ、まだ二作品しかレビューしてねえや。
(続く)