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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

フィリピン動乱のきざし。中進国の悩み

かの国はマルコスを倒した「ピープルズパワー」(軍も協力する)によって、東南アジアの民主主義のトップに躍り出たが、その分ピープルズパワーに過剰な伝説化、伝家の宝刀化がおきてしまい、倒閣を狙う人間がまずは政治の場よりそっちを狙うようになったとも聞く。

はたして強みと弱みは、かく紙一重であることよ。
先進国の住民と言う、高みから見ているだろうという批判は甘受しつついうと、発展途上国の中で、とにかくも政治経済が安定し、経済成長を遂げているところ、曲がりなりにも治安や政治の自由が保たれていたり、今はダメでもその萌芽があるところは応援したくなる。


BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国)の躍進は有名で押しも押されぬ大国になったところもあるが、断片的に聞く話だとモロッコ、チリ、南アフリカスロバキアカタール・・・あたりが、今まずまず国が上手くいっているところだという。
(このへんは、前にも書いた「保険」の業界が、冷酷非情なまでに公平に判断する)

タイも経済は順調だったのだが、タクシン政権の汚職疑惑と選挙ボイコットがあるからな。


あと、ベネズエラはチャべス政権が色んな意味でかぶいていて(笑)、国際社会を騒がせているが、南米のあの種の政権はアルゼンチンのペロン以来、国民にばら撒きといっちゃあ悪いが直接的福祉を増大させる傾向があって、それなりに再分配の機能もあるようだ。

また原油価格のバカ高で、それをやる余裕がありまくり。
反米傾向のある政権に気前よく援助し、「赤いサンタクロース」と呼ばれているとか。
選挙でも勝利しているしね。


というか、今は世界的に一次産品の価格が高いので、日本にとっては困るのだが、これをチャンスに途上国はとにかく再建に足を踏み出さなければしょうがない。


そこで、昨年10/22の毎日新聞に書かれていた記事によると、昨年、スイスの研究機関「世界経済フォーラム」がマクロ経済の競争力でなんとチリが1位に、総合でも23位になったという記事がある。


その秘密は、70年代からシカゴ・ボーイズと呼ばれるシカゴ大留学者が経済運営の青写真を描いたことだという。シカゴ大といえばミルトン・フリードマンをはじめとする「新自由主義」の牙城で、いちはやく国営価格、国営企業ばかりの中南米で自由市場を取り入れたことだそうだ。

70年代ということは、1973年にチリでクーデターが起こった以上、悪名高いピノチェト軍政の下でこの改革は行われたことになる。というより、高名な経済学者がこのクーデターで海外に逃げたので、若手の留学帰りが中心にならねばいかんかったという。
皮肉も皮肉だが、そういうこともあるのだろう。今でもピノチェトの後遺症で左右対決は激しいのだが、シカゴ路線はこの前の政権交代でも揺るがない。


また、この前のフジモリの帰国騒動でペルーではなくチリに彼が飛んだのは、政権時にフジモリとチリの関係が良好だったことや単に隣国だということではなく、「チリの司法は、中南米一公正だから」というところがあったそうだ。
軍事政権からほんのわずかな時間で、そこまで立て直したポテンシャルを思う。
こんな感じで、ごく普通の人がそれなりに暮らせる国家が増えて欲しいものだが。形だけ大統領選挙や議会選挙が行われてもしょうがない。
そして残念ながら、この任務は今現在、まだ「主権国家」の枠組みでしか実現できない。