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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「ホテル・ルワンダ」について書きたかったこと

本日1/14 映画が多数公開される。個人的に注目なのは奇しくもホテルもの

ホテル・ルワンダ
http://www.hotelrwanda.jp/
http://d.hatena.ne.jp/Jonah/20051221/p1

http://rwanda.hp.infoseek.co.jp/
http://www.theater-n.com/map.html


「THE有頂天ホテル

さて、ホテルものといえば「プリズン・ホテル」とか、石ノ森章太郎だかシュガー佐藤だかの作品もあります。アーサーヘイリーもあったな、ジェフリー・アーチャーの「ケインとアベル」もあるな。そこでまだ見ていない、「ホテル・ルワンダ」を見ずして語る。


地獄の中の紳士たち

で、こういうホテルの運営側はいつでも慇懃、あるいは慇懃無礼で、様式美のふるまいをするべきと決まっている。だからこそ、そうも言ってられない状況に陥り、それでもなおその様式を保とうとすると、それ自体がギャグ、ブラックユーモアに転化する。
自分も実際に見てないでいうのはなんだし、事実を下敷きにしている以上不謹慎といわれるかもが、あらすじをネットで聞いた限りでは、そういうところも「ホテル・ルワンダ」という作品の見所になるのではないでしょうか。


とんち説話?

それともうひとつ、悪魔でも怪物でも、もちろん軍隊・盗賊でもいいんだが、実際に暴力対暴力では絶対勝てない相手がまずいると。
賢者がそれに対し知恵と機転、あるいはとんち、もしくは道徳的権威や威厳も含めて、駆使して彼らを出し抜いて、見事撃退、もしくは肝心なものを守り抜く・・・というのは、ひとつの痛快説話として広く世界に分布している話です。
日本史の中では嘘か真か、「高麗軍の対馬侵攻」話とか
明恵vs北条泰時」なんてのがある。
http://www.hokuriku.ne.jp/genkai/90myoue.htm

・・・ここ高山寺三宝に寄進された殺生禁断の地である。鷹に追われた鳥や、猟師から逃げてきた獣は、皆ここに隠れて命をつないでいる。ましてや敵から逃れてきた軍士が木の下や岩のはざまに隠れているのを、とがめられたら自分が難にあうからと無下に追い出すことが出来ようか。

釈尊はその過去世に、鳩の身代わりとなって全身を鷹の餌とされたり、飢えたる虎に身を与えたりしたこともあったという。それほどの大慈悲心には及ばなくとも、困っている人々を追い出すようなことはしないし、出来ることなら袖の中にも袈裟の下にも隠してあげたいと思っている。

また、今後もそうするつもりである。もしも、それが政道のために難儀な事ならば、即時に愚僧の首をはねられよ」と毅然として言った。

これもまた、「このような重い話をなんと心得るか!」といわれるとごめんなさいなのだが、そういう視点でも見られる・楽しめるんじゃないかなぁ、と見る前に期待しているのでありまス。


公開と配給権とお金と

http://rwanda.hp.infoseek.co.jp/about.html
さて、この映画は公開までの紆余曲折も話題となった。
われわれプロレスファンは実は数年前、プロレスドキュメンタリー映画ビヨンド・ザ・マット」という作品を滞米ファンからネット上で紹介され話題騒然.

http://www.kansenki.net/colum/00/0411colum_hine.html
その人が書いたテキストをめぐってあれやこれや騒ぐは、行動力があるファンはこの映像を入手し、同時通訳を雇って上映と同時にふきかえてもらって見るなど熱心に動いた。


そうこうやっているうちに、これが公開されることになって「俺たちは見られないし、字幕なしじゃ内容も分からないだろうな・・・」とあきらめていたわれら一般ファンは大喜びした・・・という経緯があったので、皆さんの喜びもひとしおかと思います。
別にわれわれが騒いだことが、ビヨンド・ザ・マットの劇場公開につながったわけじゃないんだけど。


ただ、今回の話と同時期に、これも配給会社が決まった(ソース・週刊新潮より)ロシア製作の昭和天皇一代記「太陽」に関して思ったこと。新潮が伝えるところによれば、「最初は映画祭での評判などもあり強気の値段をロシアは提示したが、買い手がつかないので結局半額以下になった」という由。

ホテル・ルワンダ」は、結局買い手がつかない状態で値段は下がらなかったのだろうか?

もしこの作品が、本当に広く見られるべきであるという社会的な意味があるのだとしたら、興行権を持っている側が最初に書い手のつかない段階で、その金額を下げるという、そういう決断も無かったのだろうか?



もちろん、その答えはこういうことだ。要は客側としては、そっちには深入りする意味は無い。

http://rwanda.hp.infoseek.co.jp/faq.html#koukai
「わたしたちに値段を下げさせることはできませんが、
価値を上げることはできるかもしれません」


会社に、「値段を下げろ」と働き掛ける経路は無いが「公開してくれ(すれば、類推して、XX万人が見に行くだろう)」というのは署名やブログの反響から影響力を行使できるというわけで、ひとつのモデルケースとなり得る活動であった。



しかしそれはそれとして、この活動以外にもいろいろ映画公開にまつわる権利話を聞くと、配給会社の権利ビジネスというのはホントに切った張った、ブラフとチキンゲームに満ちた刺激的なビジネスらしいねぇ。ライオンズ・ゲートも今回は粘り勝ちだったようだ。
(もちろん、ひょっとして値段はかなり下がったのかもしれない)


シネカノン韓国映画輸入の魁となってだいぶ儲けたらしいし、北野武映画(に限らずだが)などは「作る」という情報だけで買い手が決まるらしい(やっぱりその分、安くなるそうだ)。もちろん買ったあとで、それがカンヌやヴェネツィアで賞を取ったらウハウハらしい。

ホテル・ルワンダ」は今年日本で公開される映画の中ではごく小規模なものだろうが、これでも配給元と国内の配給会社での駆け引き、金額交渉がある。
こっちの交渉ごとを、逆にどこかが映画化してくれないかな(笑)


アフリカの内乱と武器−「ロード・オブ・ウォー

ちなみに私しゃ、ある意味この映画とつながっているともいえる「ロード・オブ・ウォー」をこの前見てきましてね。すごくいい映画だったとは思うが、これも残念ながら公開館はそれほど多くは無かったですよね?
可能なら、ホテル・ルワンダとこの映画をともに鑑賞してほしいものだ。

再放送希望

これに連動させるのは無理だろうけど、NHKでルワンダ内戦について描いた「なぜ隣人を殺したのか」の再放送は無いだろうか。アフリカにおいてヘイト・ラジオが虐殺を引き起こしたという経緯を検証した作品だと聞くが、放送当時見逃した。
http://www.let.kumamoto-u.ac.jp/cs/cu/990415RS.html