http://www.ringolab.com/note/natsume2/archives/003948.html#more
少し前新聞一面広告ででかでかと漱石の肖像が使われた。東京早稲田夏目坂のマンション広告である。たしか、ずいぶん前に広告代理店から連絡があった・・・
・・・どのみち、著作物のみならず漱石の肖像、イメージの利用、パロディなど、僕はいずれに対しても注文も文句もいうつもりはないし、いうべきものではないと考えている。基本的に「漱石」はすでにこの国の共有財産のような文化記号になっており、いかように利用されても、そのことに遺族が何かいうべきでもないし、そもそもいうべき責任を負えるものではないと思うからだ・・・・・・・・・が、それがロクでもない結果を生む可能性があるということを、じつは最近になって経験した。
最初に書いたマンションは、僕の知り合いのマンションの近くに建つ。むろん、そんなことは僕は気づかなかった。が、その建築について反対運動がおきた・・・・・・・・・・・その人物はかなり親しい友人ったのだが、僕に漱石の利用を差し止めてくれと依頼してきた。けれど、僕は断った。ほかの依頼に無条件で応じていて、この件だけ途中で反故にすることはできない・・・
すごく筋が通った話だと思う。肖像権、著作権(やその周辺の慣習)は過剰になれば自由な創造、発想の首を絞めるものだが、こういう形で広い視野で考えられる人は少ない。