カムイ伝の話が出たところで。最近これは「決定版」というのが出てるね。
http://comics.shogakukan.co.jp/kamui/
カムイ伝はまず最初、あれだけ大長編であったにも関わらず「まだ物語は、入り口に到達したばかりだ」みたいなことが最後に書かれていて驚いたものだよ。
その後、10年か20年か、ともかく相当な年を経て「第二部」がスタート。
これもこれで、気弱で文弱な将軍や、一風変わった儒学者、人情派の善玉でもないが全くの悪玉でもない、面白い存在の代官などが出てきたのだが、確か休載が続いたこともあり、筋を結局追えなくなって興味を失ってしまった部分がある。
だから結局、「カムイ伝」が一部、二部を通じて結局どうなったのか分からないのだ。
さて、非常にグッドタイミングなことに『HUNTER×HUNTER』冨樫義博が250回を迎えた。
つーか、まだ250回かよ(笑)。連載開始は1998年なのに。
彼は、手抜きというか遅筆というか、あるいは芸風というか(笑)、あの「下書きそのまんま」連載でも有名になりましたね。今気付いたが、彼の下書き漫画も小泉首相のやっすくに参拝も「はじめは各方面で激昂されたが、回を重ねるにつれてみんな正直慣れてきた」という点で共通性が・・・・・・あるわけねえだろ!(笑)
さて冗談はともかく、元々自分は絵1、物語9で漫画を見ていることもあり、この作品の評価は低くない。長く興味深いストーリー・テリングを続けていることもすごいし、「ジョジョの奇妙な冒険」と一緒に「過剰と感じるほど複雑で緻密な『ゲームのルール』を設定、その空間の中で、それに則った形での駆け引き、丁々発止を繰り広げる」というスタイルで人気を取ったのも大きく賞賛できると思う。
(DEATH NOTEが読者に受け入れられる余地を作ったともいえるかも)
これは、今はあまり流行っていないジャンルだが「SFミステリ」に通じるものがある。SFミステリは「ベケンヤ星人はテレポートが出来る。しかし半径は5km以内」とか「ロボットは3原則に従い、人間を傷つけることは出来ない」などのルールを設定し、その中でミステリを描く手法で、これは最終的な出来は兎も角、フィールドは広がる。
【その種の代表作】
- 作者: アイザック・アシモフ,冬川亘
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1984/05
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しかし、それはともかく、今、この作品はパート×パートは面白いのだが、それを貫く連続性や統一性があまり感じられないのだが。それは休載続きによって昔のことを忘れがちという物理的要因もあるだろうが(笑)、例えば今の
超人的王と、一芸のみに秀でた純朴無知の平民との奇妙な交流(ライバル関係)も、
独裁体制に超自然的な危機が迫り、閉鎖的社会ならではの形で進行するサスペンスも、
(小松左京「見知らぬ明日」を思い出した
- 作者: 小松左京
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 1998/08
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個性ある超能力者たちの、それぞれ違う力による対決も、
またそれらが終わったあとの男の友情も、
それぞれ面白くはあるが、なんだか統一されていずバランバランに進行している様な気が。
これは受け取る側の感覚なので、「いや、作品全体の統一感や、今までとの連続性も俺は十分感じていますよ」という人もいるだろうけど。
この前の「ゲームの島」も「盗賊団・蜘蛛vsマフィア」も、最初の「ハンター試験」もそれぞれ、さすがの奇想とSF心(センス・オブ・ワンダー)だったんだから、それぞれ実はまったく別の中篇として描いたほうがよかったんじゃないのかな?
実はそういう才能(5-6巻程度で話をまとめる)ほうがありそうだ。
もちろん、それが最後にガーッと収斂して、「あ、実はこういう風につながるのか!」という風に驚かせてくれれば、今までの不満が畏敬に変わるのだがね。