INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

つくばエクスプレスと秋葉原−「趣都」の不易と流行と

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20050824#p5のつづき。
最近は心を入れ替えて、ちゃんと続編を書くことにしてます(笑)。えーと何かいたんだっけ。
そうそう、つくばエクスプレスの本来の意味は「東京に入る最後の通勤新線」という点だそうだが、別の象徴的意味合いがあると。
それは、科学と学園の都市・つくばと、日本ITの前衛たる秋葉原が一本でつながったということだ。いや、つくばの研究機関に実際に今いる人たちから、そういう声を聞いている(笑)。みな、それを利用して秋葉原に行く気まんまん。


ところでこの秋葉原ですが、上に書いた「趣都」の語が生まれた

趣都の誕生 萌える都市アキハバラ

趣都の誕生 萌える都市アキハバラ

を引くまでもなく、ちょっと歩けばその変貌ぶりは明らかですね。私は、例のジョシュ・バーネットを皆様と案内した(詳しい方が、ジョシュの好みそうなお店をセレクトしてくれた)とき、もう咸臨丸でアメリカの土を踏んだ日本使節団なみに驚きの連続であった。

それは、たぶん以前、叔父に連れられて「ラジカセ」というすごいものを買いに行ったときのファースト・インプレッションが強いからかもしれない。そのときはまだパソコンというものも一部の好事家のもので一般人には縁が無い。それよりスパイ映画に出てくるような小型カメラや「盗聴器」、いやそれ以上になんだかわからない雑多なメカが並んでいる光景があまりに印象的だったのです。まじでそういうのを集めたら、ロボットの一体ぐらい完成しそうな。


ダンボーだ!」


今もそういう店はあるけど、街の主役じゃなくなったでしょ?
ひょっとして、そういうイメージを持つ最後の世代か、俺たちは。


数ヶ月前の産経新聞に、東京特派員を名乗る個性派記者、湯浅博が「スパイの好きなアキハバラ」というコラムを書いていた。真偽不明の都市伝説であった「東側のスパイは、アキハバラで戦略物資としてのエレクトロニクス部品を購入している」という話を新聞記者として裏づけしてくれた貴重な文章で(すまん、手元に見つからず)あるが、今の秋葉原に某民主主義人民共和国の工作員が潜入したら、鉄の如き首領様の教導した思想に揺らぎが生じるのではないか(笑)。

しかし、このようにこの街が変貌した理由は、根本的に言えば、パソコンが一部の才能ある理系人だけの独占物ではなく、普通の文系、芸術系、一般の人々のものになったからにほかならない。

いまだに自分でも信じられないが、私はウィンドウズ以前のMS-DOSをそれなりに使ったことがあり、一応、初歩の初歩の初歩の初歩の初歩のプログラムを組んだことがあった。
失敗した。

あのころのままだったら、やっぱりインターネットもメールもほとんどの人が出来なかっただろうね。
昔、小松左京が、普通の人間は機械を訓練して使うのではなく、「もっと簡単にしやがれ」と要求する権利がある。技術屋は、それに唯々諾々と従う義務がある」とし、それが結果的にテクノロジーの進歩を促すのだ、と書いていた。また福田恆存は、戦後のある時期、漢字改革(国語改革)を推進する陣営が「日本語の漢字かな表記は、タイプライターに対応できない」というのを有力な論拠にしていたとき「宇宙に人工衛星が飛ぶ時代だ、今後はそれに対応できるタイプが出来るだろうさ」と啖呵を切っていた。よく考えると乱暴な議論だが(笑)、ワープロが出来たわけだから、結果的にテクノロジーとは縁のなさそうな、この保守主義者の見通しが正しかったのだ。


あ・・・・、でもよく考えたら、別にふつーの人がパソコンに馴染んだだけなら、秋葉原の売りがアんな感じになるとは限らんわな。なんでこうなったのか、実は読んでいない(オイオイ)「趣都の誕生」を読まねば分析できないか。
無理にこじつけるなら、


機械いじり→科学・技術→SF的ロマン→アニメーション


ということかなあ。この仮説も弱すぎるな。

尻切れトンボの結論になってしまったが、まあ話をつくばエクスプレス(TX)に戻すと、周りに何も無い筑波大の、切れ味鋭い技術者の卵たちが、変貌したとはいえまだまだITフロンティアの余韻を残す秋葉原の街と直結してもらい、新しいものを生み出していただきたい、ということです。


(続く)