小泉首相は、8/15は見送る公算だとか。
靖国のことはさんざん書いて、書ききったつもりだったが、台湾の話を聞いて書き忘れがあたことを思い出した。
これはメールマガジン「台湾の声」より。神社の見解プラス、台湾の声は独立派なので一方の側からの見方ではあるが.
高金素梅に反靖国活動に関する靖国神社の見解
「神聖な境内でのパフォーマンスは断る」台湾の声編集部
靖国神社は6月11日午後、高金素梅の靖国訴訟に関して、台湾の公共テレビ(公視)の取材を受けた。公視は「台湾ではこの問題で偏った報道しかない。神社側の考えも聞きたい」との目的を告げた。
これを受け、靖国神社の山口建史総務部長はおおよそ次のように述べた。
靖国神社はアジアの同胞として27864柱の台湾人を祀っている。戦後は占領政策で軍国主義の柱として弾圧されたが、多くの台湾人が来日のたびに参拝している。
(高金素梅の「小泉首相の参拝訴訟」は)左翼と連携して起こしたもの。大阪地裁で高金素梅氏らが原告となって提訴したが、神社側、首相側に完敗した。そこで大阪高裁に上告し、6月17日に結審する。
高金素梅氏は地裁で提訴する時、靖国神社へきた。抗議にきたのは分っていたが、せっかくきたので丁重に迎え、お話を伺った。「自分の縁者の祭神を下ろしてほしい。持ち帰りたい
」というので断った。「自分の民族の方法で(魂を)持って帰っていいか」と聞くので、「それで気が済むなら結構」と答えた。そこで高金素梅氏は5分間祈った。
宗教の違いは認める。高金素梅氏は持って帰ったつもりだ。
しかし神社の信仰では「持ち帰れない」。
6月14日、抗議と「持ち帰り」の儀式のため、もう一度靖国神社を訪れるというが、神社は毅然と断る方針。なぜなら靖国神社は静かに参拝する場。抗議のために来ては参拝者に迷惑をかけるし、あきらかな神社への妨害となる。
それにもう「持ち帰っている」はず。それなのにメディアを連れてまた同じことをするなど、パフォーマンス。神聖な神社でやってもらいたくない。
太字部分が、実に面白い、面白い。
私は靖国問題に関しては「神の法と地上の法」「神と神の争い」の諸問題のほうに興味が有るのだが、それにどんぴしゃだ。そしてまた、これがひとつの解決法を示唆しているんじゃないだろうか。
異なる宗教が対立するなら、上の太字のような場面というのはいくらでもあり得る。
「法主様、A教の連中が、うちの魂の魂を持ち帰ると儀式をしています」
「ぬぬっ!けしからん異教徒め!よし、こっちはあちらの教会の魂を奪い取る儀式を行え!」
「ははっ!」
これが発展して、両方とも調伏を開始して、護摩を焚いたり藁人形に釘を打ったりして呪い合戦を展開したとしよう。
・・・・・・・世の中、すべてこともなし(笑)。
実に平和に、社会は動いていくのである。
もちろん、あんまり呪力の強い人たちが参戦してはいけませんよ。
平将門の霊を呼び覚ましたり、竜脈を断ち切ったり、奈良の大仏を動かしたり、沈没した大和を浮上させて米軍基地を攻撃させたり、えーと後なにがあったかな。
ウラウラ・ベッカンコー。
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さらに一歩進めば
「法主様、A教の連中が、うちの魂の魂を持ち帰ると儀式を・・・」
「ふむ、哀れなる無知蒙昧の異教徒よのう。あんな偶像を拝んでも成果はゼロなのに」
「対策は・・・」
「真実の神に仕える我らを、だれが攻撃できるというのだ?やつらは無駄なことを勝手にやっているだけだ。無視しておけ」
・・・・これもまた、すべて世の中こともなし(笑)。
小林よしのりの「靖國論」でも、小林よしのりが中国人の学者に「神社には位牌も遺骨もない」と説明し驚かせた上で
中国共産党は唯物論のはずでしょう。
中国人民には
「あんなところには遺骨も位牌も何もないんだ。日本人はありもしない霊というものを信じてる連中だ。放っておこう」と言っておけばいいじゃないですか
と話している。
キリスト教とイスラム教とは、むかし十字架上で死んだ一人の男(同一人物)に対し
「全人類の罪を血であがなった、救い主にして神のひとり子。神と精霊と彼は三位一体」
「最終預言者ムハンマドに先立つ、一人の偉大な預言者。ムハンマドよりは劣るし、もちろん神と同一視などはできないが。アラーは産まず、生まれず。」
とそれぞれ考え、相応に扱っている。どっちも
「なんて愚かで冒涜的な。最後の審判後、永遠の業火に焼かれやがれ」
と思いながらね(笑)。
台湾人の霊が英霊として靖国に残っているのか、台湾に議員さんがお持ち帰りしたのかなんて、問題が小さい小さい(笑)。
もうひとつの「地上の法と神の法」
国学院大の大原康男教授が最近、小学館文庫で「「靖国神社への呪縛」を解く 」という本を出した(責任編集)。
大原教授は一般的な知名度こそ劣っているが、隠れた?保守言論の司令塔で、彼の理論が他の論客にも援用されていることが多い。浅羽通明「ニセ学生マニュアル」にも紹介されていたね。
彼の先行論文をけっこう知っているので、そうそう新知識はなかったが、政教分離に関して「皇族、政府関係者や都知事が出席する関東大震災の慰霊行事は、築地本願寺内の慰霊堂で、仏式で行われている」という指摘は知らなかったのでびっくり。
読経や坊主の法話まで行われているのだそうな。
http://www.kasen.net/disaster/Q230901/ireidou/
2003年9月1日
関東大震災から80年を迎えた1日、墨田区横網の東京都慰霊堂で「関東大震災・都内戦災遭難者秋季慰霊大法要」が秋篠宮御夫妻を迎えて営まれた。浅草寺一山が出仕し、東京都仏教連合会各地区代表ら60人が読経した。
『仏教タイムス』 2095
http://www.hbc.shukutoku.ac.jp/Db/0101_0409.htm
「おお、本願寺がついに鎮護国家の重責を!
日ノ本は晴れて、阿弥陀如来の下に極楽浄土と化す!1」
と思った俺は、単なる「信長の野望」で本願寺光佐でプレーしてるという縁だけです(笑)。だって一向一揆起こすのが面白いんだもん。
しかし上杉謙信が邪魔だ。
付記
この記事を書いた8年後、この記事を補足してくれるような議論が出た。
ここからリンクを張っておきたい。
■裁判所の靖国合祀容認と同じロジックで不本意に合祀された遺族を慰撫する方法を提案してみる
http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20131026/1382786463
それに前後して書いた自分の記事。
誰が「英霊」でも、誰の「霊言」でも、誰が「アッラー」と呼ぼうと…これぞ「見なしの自由」
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20131026/p2