CS放送のほうで今見ている。
東条英機の孫娘が、その戦後の歩みを語り、その英樹批判の不当さを訴えていた。
彼女の訴えというのは、やはりエモーショナルな形で世間を動かす力があるのだろう。
遺品の俳句や、鉛筆、煙草などははじめてみた。
しかし、そこで思うのは、東条英機の悪も善も、やっぱり日本的、というと違うだろうな、とにかく小さい。矮小だ。そして矮小だから影響が小さいかというとそうではなく、矮小ゆえに影響は大きかったということもあるのだ。
ステレオタイプも少し入っているかもしれないが、とにかく東條という男は気配りも細かく、陰謀や嫉妬、復讐心も細かい。銀英伝に「じゃがいもドーソン」なる人物が出てきて、ようはじゃがいもの皮を厚く切りすぎだと文句をつけるような細かい人間だということなんだが、このモデルと逸話ははそのまんまで東條なんだ。
また、彼は自分に批判的な官僚、記者をよく懲罰的に徴兵した。
40代の人間を召集すると私怨だと分かるので、まとめて同年代を召集したりもしたという。(たぶん、東條の「権力犯罪」としてはこれが一番卑劣で愚劣であろう)。
しっかし、それでもヒトラーやスターリンと比べるとみみっちい。
よくも悪くもだ。今回、娘さんが遺品の中から新聞の切抜きが出てきたといって紹介していたのだが、首相時代に道で困っていた老婦人を東條が助けた、という美談記事を切り抜いて保存していたのだという。自分のことをほめた、ちょっとした記事が嬉しかったのだ。
古今東西の独裁者の、自己肥大した自意識に比べると、小市民である、まんま。
小市民すぎて頼りにならんという気すらするぞ(笑)
そして、東條の家族は、学校では絞首刑ごっこでからかわれる。
先生には「彼女のおじいさんは、泥棒より悪いことをしました」と生徒の前で言われる。
コメの配給で名前が判ると、そのたびに転々としなければならない。
これもまた、実は批判者を徴兵した東條英機の裏返しの鏡像ではないのか。
そして数十年後、その風潮はあらたまったか。
自分は、オウム真理教教祖の子供たちのことが、一瞬頭をよぎった。