前田吉朗、手痛い敗戦で停滞
題名はシャレのようでシャレではない。
今回、入場時のパフォーマンスや煽り映像を見ても、チャールズ”クレイジーホース”ベネットは悪役テイスト満々で、憎まれオーラを発散していたわけだ。
あの煽り映像をみて、「はじめの一歩」で鷹村にタイトルを奪取された黒人チャンプを思い出した人もいただろう。ある国の女性を引き合いに出してあの種の台詞を話すと、ヒートは例外なく買うものだ。
そこで前田が勝てば大団円なのだが、そううまくはいかないねえ。
船木誠勝が「格闘技はみんなの期待にこたえる形に最後なるとは限らない。だから、生き残るのはプロレスですよ」と言ったのも解るよ。
しかし、今回は美濃輪育久やデビューの柔道家・小見川道大もそうだったが、あえて相手の一番得意なジャンルを選んで、そこで闘って負けるのがはやりなのか?
クレイジーホースは、基本的に寝技やサブミッションはろくにやってない(と、自分でも言ってる)相手なんだから、いくら自身もストライカー系とはいえ、、村田卓実から一本取った前田なら、グラウンドでは少なくとも勝つ可能性は高まったろうに。
まあ、それはいまさら言ってもしょうがない。
問題は、クレイジー・ホースがそういう選手であるから、前田の株は敗戦そのものと同時に彼の動向によって同時に値下げを余儀なくされるということ・・・要はだれかが、クレイジー・ホースを(寝技に引きずり込んで)打ち破ってしまえば、前田が14戦無敗によって築き上げた価値を、ごっそり自分の連結決算に組み込むことができるわけだ。
つまり、ベネットは「含み資産」を抱えた、美味しい相手だと言うこと。
格闘M&Aとはそーいう意味であります。
当分の間、武士道では日本人の直接対決はなさそうだ。その点でも、ベネットを倒すことで間接的にパンクラスへの優位性を示すのもわるくない。
たとえば、小谷直之。たとえば、TAISHO。例えば、小見川道大。
どれも、俺の印象ひとつで言ってしまうと(寝技に持ち込めば)十分にチャールズ・ベネットに勝てるような気がするんだがね。逆にいうと、目端が利く人ならば、「ベネットとやらせろ!」とアピールするといいだろう。
「あの、舐めた態度や日本女性への下品な言動は許せない!」と、ぷちナショナリズム症候群(@香山”インチキ”リカ)を煽れば、だれでも因縁は作れる。
僕がもし、パンクラスを大嫌いな某「競技」関係者なら、すべての駆け引きを総動員して、「なんとしても、うちのチャンピオンの二戦目はあのクレイジーホースとやらせろ!」と言うよ。
実は、そういう面も含めて今回、前田吉朗は回復困難な大ダメージを負った気がする。
フィル・バローニを倒すのは誰?
同様のアレは、”アメリカン・バッドアス”フィル・バローニにも言える。
今回、美濃輪との死闘タフマン・コンテストには競り勝ったが、あのスタミナの無さッぷりを考えると、バローニに勝てる日本人っていないわけじゃないのでは?
当然そうやって彼を撃破すれば、バローニが抱えた「ミノワ」と言う含み資産を接収できるわけだ。
美濃輪育久との因縁がごく初期にあった郷野聡寛なんか、非常に相性的にはいいだろうし(パンチを空振りさせてスタミナを奪う戦法はかなり有効だ)、例えば桜庭和志でも悪くなさそうだ。あるいは美濃輪の盟友・滑川康仁だっている。
滑川康仁vsフィル・バローニか・・・微妙にどっちがかつか、わからない。
とにかく、バローニ狩りに名乗りをあげるというのは、リスクとリターンを勘案するといい選択だと思うのだが。
しかし、美濃輪はなんで打ち合ったのかなあ、2R。(いや、理由は大体予想できるが)
とにかく、こういう形で日本人の序列を決める動きが盛んになるだろう。といっても、三段論法は困るので、やはり時折「ランキング戦」を直接やって欲しいのだが。