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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

老台湾独立派、「転向」?「切腹」?

少し前、このような事件が報じられた。古い記事なので孫引きとなるが

http://blog.kansai.com/gasp/159

 「奇美グループの創設者で総統府資政の許文龍氏が326デモ当日の26日、『台湾独立に反対し、反国家分裂法に賛成する』引退宣言を発表した。宣言では『台湾と大陸は中国に属す』としている。このニュースをデモ中に聞いた李登輝・前総統は『許文龍氏は引退してすでに1年になる。今さら引退宣言もおかしい。中国が圧力をかけたのだろう。中国が反国家分裂法に反対している台湾企業に圧力をかけはじめたようだ。同情する』と語った。奇美グループは『創業者の退職後の個人的発言であり、奇美グループは政治的には中立を通している』と表明した。」

許文龍氏は小林よしのり台湾論」にも登場したほか、司馬遼太郎晩年の傑作紀行文「街道をゆく 台湾紀行」の中で”老台北”として登場した独立派の大物である。


『ワイド版』 街道をゆく 40 台湾紀行

『ワイド版』 街道をゆく 40 台湾紀行


新・ゴーマニズム宣言SPECIAL 台湾論

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であるから各方面に衝撃が走ったのだが、

これについて、日本在住の台湾独立派で一番の大物である林建良氏が、下のような文章を書いた。歓迎ということなのでそのまま転載する。

切腹」した許文龍先生に敬意を表する (転送転載、歓迎)

           台湾の声編集長 林 建良 (りん けんりょう)

 奇美グループの元会長、許文龍先生が326百万人デモの前夜、新聞紙上で中国の反国家分裂法を支持するとの広告を掲載した件について、3月29日の朝日新聞は「台湾独立派の大物、心変わり・商売絡みで『圧力』、憶測」と報じた。

 小林よしのり氏の『台湾論』にも登場し、日本でも尊敬を集めていた許先生だが、この記事を読んで失望した人も多いのではないだろうか。 だが台湾国内では、許氏への失望というより、同情の声が圧倒的に高い。中国に進出中の奇美グループが「人質」にされ、もはやこのようにせざるを得なかったというのが一般的な見方である。すでに江蘇省鎮江にある同グループの工場は、中国当局から稼動停止命令を受けたり、工場長が逮捕されるといった卑劣な圧力を受けている。反国家分裂法に引っかかり、その犠牲となった台独派第一号という見方が専らだが、正にその通りなのである。

 だが許先生は単なる憐れな犠牲者で終わるような人ではない。問題の広告を見ると、確かに許先生のサインはあるものの、その文面は中国人が書いたような中国語なのである。これは非常に下品な言葉遣いであり、台湾人なら決して書けないものだ。特に日本教育を受けてきた許先生の世代は、このようなものは断じて書かない。しかも中国の国家指導者には敬称をつけ、陳総統を「総統」と呼んでおらず、台湾人から見れば、これは異常すぎてとても真意だとは思わない。さらには広告の中で許先生は「会長引退」を表明しているが、実際にはすでに昨年6月、とっくに引退しているのだ。 つまり「自分で書いたものではない」「これは本意ではない」「すべてウソだ」といっているのに等しく、これは許氏の抵抗であろう。そして私はこれを読んで気がついた。この広告で許先生は、台湾人に対して「中国に関わればこのような目にあうぞ」と警告しているのだ。

 許先生は今回の広告を打ち出したことで、これまで台湾のために尽くしてきた自分の営みをすべて無にした。つまり自らの人格を否定したのである。だが敢えてそのような道を選んだのは、奇美グループの従業員のためだけではない。台湾に警鐘を打ち鳴らすためなのだ。そして警鐘は最大限に鳴らした。つまり人格の「切腹」を通じて、対中投資を奨励する国家指導者陳総統に対しての諫言を行ったのだ。 私はそうであったと断言できる。許先生とはそのような方だ。日本教育を受けた許先生のこの行動は、日本人ならよく理解できるはずだ。

 私は許先生を気の毒だとは敢えて言わない。それよりむしろ台湾のために発揮した勇気を讃えたい。

 そして日本のメディアでありながら、軽々と「心変わり」と報じた朝日新聞には軽蔑する。そもそも許先生が警戒を呼びかけるところの反国家分裂法は、何も台湾企業だけでなく、中国に進出する日本企業にとっても脅威である。だがそれすら書かないこの記事は、結局は許先生を見せしめにしようとする中国の行為を手伝っているだけである。

 許先生が中国から憎まれるのは、台独派だからというだけではない。中国から見れば許先生は李登輝先生に次ぐ「親日派」の権化であり、日本人の尊敬の的であるということも大きいのだ。中国の対台湾戦略の重要な一つは日台関係に楔を打ち込むことであり、両国を接近させる許先生は何としてでも日台への裏切り者に仕立てる必要があった。

 朝日新聞が台湾の統一派とともに、中国の「反台湾」「反日本」の駒であることは疑いないが、今回の記事も中国の意向を受けてのものだったのだろうか。

いずれにせよ、許先生の真意を伝えてその名誉を守るため、そして敬意を表するため、この一文を書いた。


護教的弁明と取る人もいるだろうし、反発する人もいるだろうが、ひとつの見方として。
しかしこれが事実なら、やはり「政冷経熱」は難しいのかも。





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