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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

「日本分断もの」・・・コメント欄からその2。

同日コメント欄より

それから、佐藤大輔の名前が出ていたので書かせてもらいますけど、以前、少し触れられていたADでは無い方の小説家の佐藤大輔についてですが、政治や銀英伝ガンダムなどがお好きなグリフォンさんなら結構ツボな作家ではないかと。
半島よろしく分断された日本の戦後を描いたif小説「征途」などがお勧めです。是非、ご一読あれ。
初カキコなのに長々と失礼しましたm(_ _)m


# zen 『征途いいっすよね!押井守曰く、架空戦記という分野における只唯一の作家、佐藤大輔。私もお勧めっすよ

小説家のほうの佐藤大輔氏は、兼ねてから読もうかな、という思いがあったのですが、お勧めがあったので今度買おうと思います。
ライトノベルは、最近「ライトノベル読本」などのガイドブック、概説書が相次いで出版され、しかもかなりのセールスを収めているようです。
あれだけ多くの人たちが書いているライトノベルに、探せば傑作がないはずはないのですが、惜しむらくは書評的な窓口、広く知らしめる機能が未だ少ない。おまけに新刊が多いから古い傑作は再評価されにくい。
しかし、読者というのはやはり賢いもので、良作はちゃんと長く売れ続けますね。
銀河英雄伝説」も当初はまったく無名の、一作家が普通に書いた、全一巻のSF小説に過ぎなかったのに、よくぞ80年代の読者たちが発見し、着実に成績を上げ、続刊に結びつけたものだ。


話がそれましたが、日本が冷戦の中で米ソに分断されたら?という発想は、やはり朝鮮半島の隣国であったことや「共産主義」「冷戦」「戦後処理」が大きな意味を持っていたこともあって、初期SFから今まで多くの作品がありますね。

最近でもかわぐちかいじの「太陽の黙示録」では「日本沈没」や「バイオレンスジャック」よろしく、大地震で物理的にも(笑)日本が分断されたところに米国管理の西側と、中国が支配する(ここが時代を反映!)東側が対峙します。その海峡に、大きな資源が眠っているという合わせ技で、展開がまったく見通せません。「沈黙の艦隊」以上の奇想と言えるでしょう。
あと、本来は大元である小松左京自身が第二部で描くつもりだった「日本人が難民として海外に移住したら?」というIFを、台湾を舞台に描いたことも興味深い。
これは政治的なプレッシャーもあったかとは思うが、そこはさすがにベテラン、腹が据わっているなあ。



「あ・じゃ・ぱん」は、パロディ的な笑いを取り入れた長編。
東のソ連支配に対抗する新潟出身のゲリラの頭目田中角栄だとか(笑)、いろいろな仕掛けをちりばめつつ、戦後日本って何?という彼らの世代なりの問題意識を書いています。


井沢元彦の「扶桑人民共和国」は、分断=朝鮮半島北朝鮮)の状況を、日本に移し変えて、同国の個人崇拝・秘密警察の非人道さを実感させる趣旨だが、政治主張に物語が奉仕していて、彼の作品の中でも愚作の部類に入ると考える。


そして60年代から、韓国を深く研究していた豊田有恒氏は、ごく短いショートショートを書いている。
西側日本の国境警備隊が、利根川だったかな?その国境を越えて必死の思いで亡命してきた親子を保護する光景を淡々と書いているが、最後にそれを物珍しく眺めて、国境付近をパシャパシャ写真に取る、高度成長を遂げた朝鮮半島からの観光客が出てくる(笑)。
それを見て、国境警備隊は「分断された日本が再度統一して力を合わせれば・・・」と「克韓(半島)」を誓うという、短い中に韓国通らしさを発揮した作品でした。


これらの先行、後続作品に比べて「征途」はどんな仕掛けがあるのか。
それを気にしつつ、読んでみたいと思います。