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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

株主大戦争・・・ビンス・マクマホンvsテッド・ターナー(別冊宝島より)

今回の株を巡る騒動で、「株主」というのが本来は力を持っていることをあらためて認識させられた。
これをめぐるひとつのエピソードを、流智美が「別冊宝島」で書いている。
場面は、WCW vs WWF(現WWE)の抗争最盛期に遡る・・・・



WCWは、もともとタイムワーナーだったかTBSだったか、とにかく巨大放送メディアの実質子会社だった。そしてその総帥は、アトランタという片田舎から巨大ニュース網「CNN」を成功させ、世界有数の富豪になっていたテッド・ターナー。嫁さんはジェーン・フォンダ(笑)。

しかしこの世界の大金持ちが、光栄にもプロレスの大ファン。プロレスに関しては長年、系列局で放送していた縁があって、長年の業界の仁義をやぶり「全米侵攻」を開始したビンス・マクマホンに対し、なすすべもなかったNWAを再編して「WCW」を設立(東洋の少年プロレスファンである小生には、なぜ伝統のNWAが消滅したかわからなかった)。
猛然と反撃を開始した。そのとき新聞社から理由を聞かれて「ロード・ウォリアーズのキャラクターを作ったのは私だからだ!!」(うろ覚え、別のレスラーかも)とか、すげえ理屈を語っていた(笑)。


とまれ、ターナーは豊富すぎる資金を利用して、まず全く同じ曜日の同じ時間に番組放送を開始。
アナウンサーが「裏番組を見る必要はありません。今、ショーン・マイケルズがハエも殺せない蹴りで勝っちゃいました」などと言い放って妨害したとしないとか。

エリック・ビショフの鉛筆も神懸り状態で、ハルク・ホーガンを引き抜き、「アウトサイダーズ(ウルフパック)」も引き抜き。そして新日本vsUインター抗争に想を得たとも言われる「nWo」とホーガンの悪役転向という企画が大ヒット!!

生え抜きスティングを「謎のオペラ座の怪人」風のキャラにチェンジもさせ、WCWはかなり長期にわたってWWFを視聴率でリードしました。(このへんはタダシ☆タナカの著作に詳しい。つうかおいらの概説は、けっこう前後関係に自信が無い。詳しい人のツッコミ待ちかな)


そんなある日。
とある経済紙(ウォール・ストリートジャーナルだったかも)に「タイム・ワーナー株主の皆様へ」と題した広告が載ります。内容はおおよそこんな話。

「タームワーナーの株を持っている皆さん、テッド・ターナーは自分の趣味と意地、そして私ども小さな小さな零細企業であるWWFへの憎しみという極めて個人的な感情で、湯水のように資金を使っています!! そのために、あなた方株主は本来受け取れる配当金を受け取れないんですよ・・・」

さあ喧嘩屋として知られたテッド・ターナーだが、これには大慌て。
「プロレスはちゃんと利益を生んでいます」という説明文書を配ったが、一目で粉飾決算がわかるシロモノだったとか。これが直接の原因かどうかはわかりませんが、ストーン・コールドや悪のオーナービンス・マクマホン路線を大ヒットさせたWWFはその後はっきりと盛り返し、ついには内紛続くWCWWWFに売却、あのメディア王ターナーが、或る意味たかが日銭商売のビンスに、一敗地にまみれたのであります。

株主というのは、一応教科書的にいえば会社を監視する立場でもあり、フジテレビとニッポン放送のように関連企業で相互に持ち合うと何をやっても文句が出ず、やりたい放題になるという弊害もあります。この「ライバル企業の株主様へ」作戦は相当エグく、日本ではまだ、まず起きないだろうが、こんな一幕もあったということで。