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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

自衛官講演拒否事件ー小林節教授語る

すでに正式なリンクはなくなっているので、キャッシュから転載しよう。

2004年12月20日(月)


筑波大主催「イラクの生の声聞く」 自衛官講演会また“横やり” 教組反対で延期


 筑波大学茨城県つくば市)でイラク復興支援活動に参加した陸上自衛隊自衛官を招いた講演会が、直前になって教職員組合から異議があり延期されていたことが十九日、分かった。大学でのイベントから自衛官が排除される動きは早稲田大学でも起きているが、正規の教育研究活動が教職員組合の反対で行われなかったのは異例だ。

 延期になった講演会は「イラク復興支援と日本−陸上自衛隊の視点から」。大学の国際総合学類などが主催し日本学術会議が後援した。内容は市民や国家、文化などさまざまな立場で復興支援を研究する事業で、十日に復興支援活動に携わった清田安志・統合幕僚会議事務局第一幕僚室広報班長が現地の様子などを報告する予定だった。


 大学側の説明によると、八日夜になって学内の教職員組合が有志の教授とともに要望書を学類長に提出。このなかで講演会の開催に危惧(きぐ)を示した上で「政府の政策を支持するための講演会になるのではないか」などと異議が出され、「自衛隊イラク派遣に反対する議論はできるのか」「現職自衛官を大学に招くのはいかがか」といった趣旨の質問があった。


 学類は講演会が政治討論の場ではなく、現地の生の声を通じて判断材料を提供する機会として開催する趣旨で「要望書は開催自体が派遣に賛成する立場に立つと誤解している」としている。しかし、こうした状況下で開催した場合に「運営の妨害や混乱、発言が細かくチェックされ、講演者に迷惑をかけるといった事態が予想され、静かに開催できる状況ではなく組合側と協議する時間もない」と延期を判断、防衛庁に謝罪し当日集まった学生にも事実経過を説明し陳謝したという。


 大学では「組合名の公表などは考えていないが延期となったのは遺憾。教育研究に組合が介入したとか、われわれの対応が事なかれ主義だったとか見る向きもあろうが、最終的には大学で決めた判断。批判は甘んじて受ける。中止ではなくあくまで延期で、今後よく検討して開催したい」としている。

これに関して、慶應大学教授の小林節氏が「筑波がやらないというなら」と豪胆にも自分のゼミで話を聞く会を企画、この顛末と論説を「解せぬ大学での自衛官講演の拒否」と題し書いた。

http://www.sankei.co.jp/news/seiron.htm

情理備わった文章、というのも紋切り型でアレだが、いかにも小林教授らしい。
小林節氏は、90年代の改憲論を総合的にリードする一方、イラク派遣反対論や田中真紀子のブレーンになるなど、単なる保守とはまた別のスタンスを取る人である。真紀子のブレーン(今は決裂)というのはさすがにアレだったかもしれんが、そもそも小林改憲論はいわゆる新・人権の拡大や制度の不備も視野に入れ、護憲が自己目的化して「現行憲法で新権利も含めることが出来る」と主張する人たちに「いや、これこれこうだから新項目は必要でしょ」という形でやりこめる形を取ることも多かった。
憲法記念日での、筑紫哲也のニュース番組にも出て護憲派・江原教授と筑紫の2対1で明白に勝利したこともあったし、朝生の「ドーする日本国憲法」でも、はっきり抜きん出た言説を披露していた。
(この人の憲法論はhttp://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2002/01252/contents/485.htmが判りやすいだろう)

真紀子ブレーンの過去はさておき(しつこい)、もっと注目を浴びていい存在だ。
(あるところで『鋼の憲法学者と呼ばれている」のを見たが、これは本人も隠してはいないとはいえ、外見的特徴(義手)に触れたものなのでやや不謹慎の謗りを免れまい。ただ軽妙な部分と、また彼のぶれない主張を意味すると思えば悪くないので紹介しておく)


ところで本題の自衛官講演拒否だが・・・日本の「反戦運動」はついに「軍人差別主義」の呪縛から、抜け出ることを得ないのか。戦後、激化してその後風化したたイデオロギーの、最終的に過激でかつ理論ではなく感情に訴える部分だけが残ってしまったということか.