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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

ギャラリーフェイク、突然?の終了・・・フジタが残した一連の「名勝負」


何でも、もうすぐアニメーションが地上波で始まるんでしょ?(補遺:もう始まっているそうです)
ある意味、ビジネス的にはこれから果実がたわわに実るところなのに、なぜにここで終わらせたのか・・・。

ま、突然というのもやや言葉のアヤで、何しろ不定期連載とはいえ15年間(ああ、企画段階ではバブルと密接な関係があったのか)やってた作品であり、細野氏の中でも一番の長期連載のはず。
だいいち、その物語の性質上、終了したところでいつでもスペシャル版とか短期復活連載とかできるタイプのものであるからね。ひょっとしたら掲載誌がアチコチに移るかもしれない。そのための充電期間かもしれないし、原作に相当するデータや構成チームを新規に組みなおすのかもしれない。
(確証はないけど、この作品は、たぶんストーリーにスタッフがいると思う)

或いは、今後のテレビ放送後の新規開拓客は、テーマを利用した漫画ファン意外と位置づけ「連載中より一まとめ、すっきり最初から最後までそろったパッケージのほうが売れる」と踏んだのかもしれない。
まあ、そのへんの理由はおいおい明らかになっていくでしょう。


そんなのは書いてても楽しくはなくて、作品論に行きます。
言うまでもなくというか、犬が西向きゃのたぐいの常識論だが、これは手塚治虫ブラックジャック」の系譜ですよね。
というか「時代もの」「恋愛もの」「ビジネスもの」と同様に「ブラックジャックもの」(卓越した技術を持つ、孤高のプロフェッショナルを狂言回しにした連作短編)というジャンルは既にあるわけで、そしてそのジャンルの中ではもう遥か後続に走者の姿が見えないほどの質の高さを維持しておりました。それも15年間に渡って。


「悪徳画商」であり、偽物(フェイク)を表向きは名乗りながらも闇市場から真の芸術を発掘。またその逆に二束三文のガラクタを、真の美を享受する資格の無い俗物に売りつける。

もともとピカレスク(悪漢)ものというのが大衆人気を得るためには、ピカレスクの側に読者を納得させるだけの「オレ流ルール」がないといけないのだが、真善美といいつつ「美」は真や善と相反しうる場面が多々出てくる。そこを舞台として独自の「ブラックジャック」を造形できたのは、The Most Underrated(最も過小評価されている)漫画家、細野不二彦だからだろう。

(余談だが、各各のストーリーの見事さ(というより、平均しての高さ、というべきか)は言うまでも無いが、絵や美術の意義や薀蓄がストーリーの根幹に絡むより、それら従のときのほうがむしろ細野氏らしさが発揮されてると思うがどうだろうか。これは各自の趣味だが)


あと、ギャラリーフェイクが後発の強みで元祖ブラックジャックを完全に凌駕している点がひとつあって、それはライバルの多士済々ぶりだ。BJもドクター・キリコ、針師琵琶丸など強烈な印象のライバルがいるが、登場回数ひとつをとってもあまり意味は大きくなかった。
ギャラリーフェイクは国宝Gメン、三田村館長、ニンベン師、千手堂、トレジャーハンター・ラモスなどその多士済々ぶりとその各自の存在感は、実に圧倒的だ。
特に秀逸なのが、美術鑑定眼や美的センスは凡才だが、人格ゆえに一流の人材が集まり、孤高の天才田村・・・じゃなくてフジタが反発するという「地蔵」氏。

氏は対立?のモチベーションとして、自らを影の世界の住民でよしとするフジタを、真っ当な表舞台に引き上げる意欲が地蔵にあるから、という形で二人を絡ませる(こういう人も、元祖BJ世界にはいないね)ので、結構勝負の回数が多い。
連載に一区切りついた今、熱心なファンがちょっと戦績表をつけてほしい。


実は前から、漫画や小説などから「名勝負」を選りすぐって、それを観戦記風に記すという「架空名勝負集!」みたいなものを観戦記ネットあたりで出来ないかと思っているのだが、そこに修羅の門空手バカ一代、柔道部物語などのファイト漫画と並んで十分載せるに値する名勝負を見せたのがこの一連の「フジタvs地蔵」であったと思っている。


何にせよ、この漫画が終わったこと自体はあまり残念ではない。
いずれ近いうちに、形を変えて再登場するであろうという奇妙な確信があるからである。