です。
基本の疑問は、
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20040707
のときからなんら変わっていません。というより解決していない。議論の骨子を再録します。
■ [時事][映画]「華氏911」ムーアはどうやって大統領映像を入手したか?
・・・詳しい人にお聞きしたい。
あの映画で評判になっているのが、記者団?にテロ対策を問われて何やら
答えたあと「じゃあ、このショットを見てくれ」とゴルフに戻るブッシュ
大統領・・・というシーン。これが彼の能天気や無能ぶりを示すのか、逆に彼が持つユーモアや親しみ
ある態度を悪意にとったものなのか、そのへんは別として、そもそもこの
映像はどうやって入手できたんだろうか?(後略)
とりあえず、この後入手できた情報を見てみよう。
ムーア自身の言葉によると・・・
『華氏911』の映像素材は世界各国のカメラマンやジャーナリストから提供してもらったけれど、彼らには、ブラジルやケニアや世界のあちこちの街角で「アメリカのことをどう思うか?」というインタビューを撮ってもらった。
(町山ブログでのムーアインタビューより)
独立系のカメラマンやプロダクションの協力を得たらしいね。
でも、問題は「大統領を映した映像」をどの程度まで個人が持っているかだ。
小泉さんでいえば、たとえば選挙応援で地方都市の街角に来てマイクを握っていれば、その演説映像は素人や無名カメラマンでも撮れるだろうさ。
しかし、たとえば首相官邸の朝夕会見(ぶらさがり)で、小泉さんが仮にトンデモな発言をして、それを映画で引用して叩きたい!と思っても、まずその撮影をしているNHKやらフジやら日テレやらTBSから映像を借りないといけないでしょ?
で、断られると思うんだが(笑)。
華氏911で評判のゴルフシーンだけでよろし、これはどこが撮影して、どういう形でムーアは素材として使用できるようになったんだ?
これは以下、ひとつの仮説。
ここですごく名前出しにくくなってるんだけど(笑)岡田斗志夫が、アメリカでいぜん「トワイライトゾーン」などが人口に膾炙している現状を紹介し、「それは映像の権利はTV局ではなく、プロダクションが握っているのがアメリカでの慣例(法律?)だからだ」と解説していたことがあった。
だから、名作は最初の放送局じゃなくても、いろんなチャンネルに自由に売ることができて、だから再放送が盛んなんだと。
これと同様に、TVのニュース素材も、実はネットワークではなく、撮影したカメラマンやプロダクション?が権利をある程度所有していて、それを自由に売れるのではないか・・・というのがわたしの推理だが、どうかねワトソン君。
そしてまた別の推理。
朝日新聞 7/25 西村陽一コラム
「私が69年にベトナムから帰った時、彼のおしめがとれていたかどうか、知らない」。
こちらは予備選のさかな、ほかならぬケリー氏がエドワーズ氏にぶつけた皮肉である。
共和党は対決に備えて、この発言をビデオに撮っているという。
意味分かります?民主党の予備選のさなか、(当時は同格の候補同士である)のちの正副大統領コンビが、派手に悪口を投げ合っており・・・まあよくある話ですが、共和党は今後「ケリーとエドワーズのふたり、すごく仲が悪いじゃん!」というのを攻撃に使うということらしい。
親父のブッシュも、自分が副大統領として仕えたレーガンに対して予備選時には「あなたの経済政策は理論も何もない『おまじない経済学』だ!」と言ってて、それを攻撃されたっけ。因果はめぐるのお。
いや、そんなことどうでもいいんで。
肝心なのはこの記事によって、「相手の演説会の映像を、勝手に撮影して利用する」というのがどうもオッケーらしいということが分かったということ。
# macska 『・・・FOX News のスタッフとブッシュ政権の間で行われるインタビューの前の打ち合わせのシーン(一般には放送されていない映像)は FOX News がプロパガンダマシンである事の直接的な証拠となるので是非見ましょう。』
# TomoMachi 『macskaさま、それはカール・キャメロンとブッシュの事前打ち合わせのことですね。しかし、あのビデオはどうしてFOXから流出したんでしょうね。クビにされたスタッフが持って出たのかな。』
# macska 『あのビデオの流出経路ですが、生放送のインタビューだったので、その場でテープに録画するのではなく、映像は中継車から衛星に送って、それをテレビ局で受信してテロップなどを入れて放送していたわけですが、打ち合わせも同じ経路で行っていたので、知識さえあれば誰でも受信できる電波だったようです。』
持ち出ししたら合法じゃないよなあ、たぶん。
でも逆に、まさかFOXがそんなシーンをフェアに提供して、公開をOKしたはずもないし。
これは仮説だが・・・・・・、ドラマロケ時の景色や風景が個人のものではないように、または空気が個人のものではないように放送されなかったニュース電波も「それは公共のもの、拾うのは俺の勝手でしょ」となるのではないか?
あくまでも「放送されたもの」が権利の対象であるという位置づけで。
勝手に電波を使ってやりとりしているんだから、放映前の打ち合わせや舞台裏のやりとりを見られたり
録画されたりしても文句をつけられる筋合いではないよな。これ、日本でもだれか番組の電波を常時?チェックしていると面白いのではないか。
TVの取材(ニュースのみならずワイドショーなども)は現場でかなり強引でもあり、また妥協や誤魔化しなども現場でしているので、法律的な論議を詰めていただいて「実際の放送以外に、打ち合わせや取材の相談を電波でやり取りしているものはみなが自由に傍受して引用できる」ということになれば相当おもしろい。
いや、TV取材の現場にムーアばりにカメラを向けたり、マイクを突きつけたら・・・(実際にあちらがカメラを回している場所では妨害だから、それは当然駄目だが。その合間という意味ね)これは相当おもしろいことになるな。
(註:↑最初に書いた文章は猛烈に眠いままキーを叩いたので、自分でも
マジで何を主張しているのかさっぱり分からなかった(笑)。内容を変更)
ちなみに、映画全体の法的位置づけに関しては
macska 『この映画における引用の合法性については、かのレッシグ教授がアドバイザーとして参加しているはずです。
吸血鬼退治で忙しいかと思ってたが。(ツッコミ待ち)
とにかく、ドキュメンタリーで「悪口を言う対象」の映像素材をどのように入手できるのか、どの程度まで自由に編集できるのか?それは大きなポイントだと思うのだが。