「週刊朝日で呉智英が中島みゆきを語る」は夜になってから内容を詳しく書き足しています。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20050926#p4
で、これに影響されてMP3を聴きなおし、自分の中で好きな曲はなんだろうかと考えてみた。
私は、上に出てくる呉智英氏がかつて書いた文章(「馬鹿につける薬」収録)を読むまで、彼女の存在も知らなかったクチで、だからそこで紹介されていた曲には思い入れが深い。
ただし、私は彼が強く衝撃を受ける「具体的な光景、ドラマを歌う」もの(「蕎麦屋」など)より、やや抽象的な歌詞のほうが好みだ。
だから「泥海の中から」が一番好きかな。
ふり返れ 歩き出せ 悔やむだけでは変わらない
許せよと すまないと あやまるだけでは変わらない
おまえが殺した 名もない鳥の亡骸は
おまえを明日へ 連れて飛び続けるだろう
「砂の船」もいいし、これら二つがやや暗めだとしたら開き直った明るさの「夜を往け」も忘れたくない(「泥海の中から」も明るいかな?)。
僕はどこへゆくの 夢を泳ぎ出て 夢を見ない国をたずねて
いま 誰もいない夜の海を 砂の船がゆく
憐れみのドアが開く車を見送って
ナイトニュースを聴くだけの昨日を捨てて 夜を往け
夜を往け 夜を往け 夜を往け 夜を往け
あ、でも具体的ドラマ風の歌でも流れ者の歌うたいがヒッチハイクする情景を描いた「流星」はいい曲だな。
流れる星よ いつか最後に どこへたどりつこうと いうのだろうか
一応金八世代としては「世情」も外せない
シュプレヒコールの波、通りすぎてゆく、変わらない夢を流れに求めて。時の流れを
止めて、変わらない夢を見たがる者たちと闘うため
そして、やや新しい曲で、映画「四十七人の刺客」のために作られたがタイアップなどの微妙な関係で主題歌にはなれなかった「伝説」は「語られない、埋もれていく歴史」という、自分の中でいろいろ考えているテーマを描いているので強く印象に残る。
記された文だけがこの世に残っていく
形有るものだけがすべてを語っていく
叫べども あがけども だれがそれを知るだろう
【補足】いい忘れたが、これは敢えて上記ミリオンセラーや、余りにも有名な「時代」などを外した、「裏ベスト」的な選定をしたものです。