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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

二・二六事件を巡る一奇想・・・明智小五郎vs北一輝

ここでしばしば話題にしている、評論家・浅羽通明氏のメールマガジン流行神」ですが、この1993年号(もうそんな昔か・・・)で、
「D坂の226事件−−乱歩を巡る昭和史幻想」
という文章が発表されている。小説ではなく一種のシノプシス。あるアイデアの概要を断片的に書いたものだ。戯曲風にしたいのか、演劇的演出を指示したト書きも書いてある。

冒頭は、浅草のミルクホール。
二つのテーブルに、偶然二つの集団が居合わせる。ひとつは小林少年らを中心に、帝都に跳梁する貴金属・美術品泥棒・・・謎の怪人について議論する少年探偵団たち。

そして、もうひとつは・・・

「まず首相岡田啓介!蔵相高橋是清!」
「まだ足らぬ!まだ足らぬ!」
内大臣斎藤実鈴木貫太郎侍従長!」
「まだまだ足らぬ!!」
(略)
「いや、まだだ、内閣に巣食う奸賊は倒せても、それではまだ昭和維新に足らぬのだ・・・」
「では、いったい?」(略)
「畏しいことだ、あってはならぬことだ、考えてもならぬことだ。だが、それ以外に何が?」

・・・そうひとりごちるのが、磯部浅一



そして、東京中野区桃園町−−その書斎にて哄笑する隻眼の男
すなわち、北一輝

「勝利だよ勝利だよ ついに見つけたぞ 盲点を 
幾千万の節孔を欺しおおせた大トリックも、完全犯罪ではなかったのだ
ひとつの国家にふたつの仮面を使い分けさせる一大トリック・・・(中略)
・・・おまえこそ天才なり、伊藤博文!!・・・・・・完全犯罪の
唯一のほころびを逆手に取った私の犯罪、いや待て国家を乗っ取る
犯罪が成立したとき、それを罰する国家などどこにある?・・・」


ちょいと解説します。
ここで、この奇想は、松本健一久野収らが指摘した政治論に合流するのです。


ま、私もよく理解しているわけではないのでざっくりいいます。

明治憲法と近代天皇制というのは表向きの顔・・・民衆向けの「顕教」は万世一系、天壌無窮の国を統べるカリスマの神聖皇帝。


で、ありつつ、政治・軍事エリートの奥深い「密教」の中では立憲体制に立脚した「機関」であり、既にして象徴であった。

つまり庶民や在野の壮士には「天皇様のご意志であるぞ」、「ヘヘーッ」と拝ませておいて反対や不満を抑えつつ、実際には政治・軍事エリートが理性的に判断して国を動かすという仕組み。

ある時期までは、そのカリスマと神聖さをエネルギーに、立憲的な政治決定をスムーズに行うことができた。しかし、逆に「神聖なる天皇」を盲目的に信仰する勢力を焚きつける……あるいはその”神聖天皇の大御心”を錦の御旗として振りかざし、エスタブリッシュメントどもの逆手を取る!!

北一輝が「国体論及び純正社会主義」「日本国改造法案大綱」で喝破し、そして成し遂げようとしたトリックと完全犯罪とはこれであった。


しかし、その魔王に、邸宅に単身忍び込んだ名探偵・明智小五郎が立ちふさがる。

「明治国家と天皇制のからくりというパズルを、あなたはみごと解き明かしてみせた
(中略)探偵気質 それは同じでも北さん 探偵の分際はそこまでなんです 
己の頭脳がつくりあげたユートピアを実現して、世の善男善女まで幸せにしてやろう
なんて、探偵はそんなそらおそろしい自惚れを抱きはしませんよ」


「探偵も猟奇犯も 正義だけはかざさない 他人様のために殺しが
できるほど傲っちゃいない」


しかし、北一輝モダニズムの昭和を虚栄と断じ、変革のための非常手段が必要との立場を崩さない。

明智小五郎は逆に「その虚栄の市を、護ってみせましょう あなたの狂気から
軍靴と銃剣から」と宣言、ある人物と協力して二二六維新軍に対峙せんとする。

その人物とは・・・数千数百の警察、軍隊をも自らの仕掛けと体術で手玉に取れる男。
怪人二十面相、その人であった。

この概要は、ここからもう一回、意外な急展開を見せる。
当時の虚実入り混さった有名人が登場する中で、北一輝の真意が明らかになるとともに、もう一人の重要人物が彼らの巨大なライバルとして立ちふさがることになる(非常に有名な、当時の隠れたモダニストである)。


【補足】教えてくれという問い合わせが
いくつかありましたので、追加しておき
ます。最終的に北一騎に立ちふさがった
モダニストとは・・・昭和天皇、その人です


同時にこのシノシプスは、「知のおたく」「知識人と社会」という、浅羽氏お得意のテーマにも最終的には収斂していくのだが、そこまで書くのは無粋というものなのでここで終いにします。


解説的な補足で、浅羽通明氏はこう書いている。

江戸川乱歩が、初の少年向け作品「怪人二十面相」の連載を開始し、
小林少年と少年探偵団と仇敵怪人二十面相が全国の少年少女の前に
姿を表わすのは、昭和十一年一月、時しも226事件の1カ月前である


同時代の架空、実在人物を入り乱れさせて描く伝奇小説は山田風太郎夢枕獏荒俣宏などもお得意だが、こんな話もあるということでした。

【追記】さらに加筆されたバージョンがある(本人談)

浅羽氏本人の談によると、「流行神」掲載のバージョンはまだ途中であって、より長いものは「幻想文学」に収録されているとか。

http://www.atelierocta.com/pages2/42.html
幻想文学』42 号
1994.10.31 アトリエOCTA 208ページ 1456円
ISBN4-900757-42-X

浅羽通明●D坂の二・二六事件

で、まだまだ具体的な話じゃないが、うまくいけば今後、電子書籍で読める可能性も無くはないとか。(2014年3月、記す)


参考図書

評伝 北一輝〈4〉二・二六事件へ

評伝 北一輝〈4〉二・二六事件へ

2016年追記 江戸川乱歩作品は2016年著作権フリーとなり、同氏考案のキャラクターが登場するこの作品も、その問題が解決した。

TBSで格闘技を定着させたあのプロデューサーは・・・

この前のK-1MAXで、事前の煽りに昔はよくTBSのプロデューサーが出てきたのに、と思っていたら、どう製作体制が変わったのか。やや旧聞に属しますが


TBS公式サイト。
http://www.tbs.co.jp/company/newsrelease/20030701.html

(株)ドリマックス・テレビジョンの営業開始について  2003年07月01日 TBS総務局広報部


 TBSグループの事実上の新会社である(株)ドリマックス・テレビジョンが本日7月1日より営業を開始しました。
(株)ドリマックス・テレビジョンは、・・・締役会で伊藤直樹代表取締役社長、石川滋専務取締役、貴島誠一郎常務取締役、樋口潮取締役がすでに就任しております。本日7月1日付けで、このほかの橋本孝プロデューサーなど13名の社員がTBSエンタテインメント・TBSスポーツから移る形で、新たに(株)ドリマックス・テレビジョンの社員に加わりました。
・・・(株)電通、(株)博報堂、(株)講談社、(株)毎日放送中部日本放送(株)が新規株主として加わります。

これ、一年半前の話なんだよね。いま樋口氏はどんな立場なのやら。

ロケット打ち上げ成功と「栄光なき天才たち」8巻

昨日http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20050226#p2の続きとして。昔書いた文章の再録です。

学者バカあるいはバカ学者・・・そして「ロケット屋」について

 かつて大学教授だった某評論家が、大学の数は多すぎ、予算の無駄ではないかと問われた時こう答えたそうだ。「冗談じゃない。あの大学教授どもを実社会に解き放ったときの害を考えたら、わずかな金で彼らを隔離できている現状は安いもんだ。」・・・・この意見の当否はともかく、確かに学者稼業は普通の人の感覚では出来ないのか変わり者が多い。ここで軽く紹介させて貰いますが、こちらの調べがいい加減なもので固有名詞および事実か伝説かについてはいー加減です。まあ、「長島伝説」みたいな「学者伝説」と思ってください。



古代ギリシャ天文学者は、その日も天体を観察しながら歩いていたが、全く下を見なかった為に井戸に落ちて死亡。


●ある数学者は思索の邪魔にならぬよう、いつも「ただいま留守中」の欠け札を玄関に掛けておいた。とある日、散歩しながら考えをまとめようとしていた彼は自分の家に帰ってきたとき、その掛け札をみて「留守ならしかたない。また出直そう。」


●またある数学者、大発見の構想がまとまりかけ興奮してメモを取っていた。そこへ知り合いが駆け付け「奥さんが危篤です」と報告。するとこの数学者、「待つように言ってくれ。あと数時間で答えがでる」


ニュートンはその功績により晩年、貴族院の議員となった。彼の議会での発言が現在、議事録に残っている。「議長、窓を閉めて下さい」(これだけ)。


エジソンは現在使われているような交流電源を全く認めず、直流電源に固執した。エジソンと同時代の奇人天才学者であるニコラ=テスラが交流電源の利点を主張すると、エジソンは交流電気を用いて各地でウサギを焼き殺し、その危険性を説いた。ちなみにこのとき、エジソン電気椅子を特許申請している(笑)。


長岡半太郎?は新聞を読む暇も惜しんで日夜研究室に泊まり込み、事件と思索に没頭していた。その間、知らないうちに日露戦争が始まり、知らないうちに終わっていたという。


これらのエピソード集では、「科学を名乗った嘘と間違い」「永久運動の夢」「大発見!シリーズ」アシモフの科学者列伝」「スキャンダルの科学史」などがあります。





 こういった人々の中で筆者が最も好きなのは、宇宙開発(ロケット)に携わった科学者たちのドラマだ。ライト兄弟が空を翔ぶことにようやっと成功したのと同じ時期に、彼ら先覚者たちは大空をさらに越えた大宇宙に夢を馳せていたのである。まずここのところが楽しい。そして周囲のあらゆる嘲笑と疑いと、イロモノ的な興味の中、最初は在野の奇人のお遊びだったものが大学、企業そしてついには国家を本格的に巻き込んで、たった70年足らず(!)の時間であらゆる動物の中から2人の人間に月面を踏ませたのである。(このムーブメントの最初の一撃が、SF作家ジェール=ヴェルヌの「月世界旅行」という緻密な空想物語であった事をSFファンは誇っていいだろう。NASAはシャレが判る組織で、(たしか)この小説から「アポロ」という名前をつけてくれたのである。)

・・・・という半面、ロケットがミサイル開発という戦争技術と表裏一体であったことも歴史の冷厳な事実である。もちろんそうなる事を拒否したロケット屋も数多くいるが、ロケット屋の最重要人物にして、アポロ計画のフォン=ブラウン博士はれっきとしたナチスの一員であり、ヒットラーとも面識がある人物だった。そんな彼がアメリカで英雄となるのだからけっこうイイカゲンだよね。一説によると、時々間違えて大統領のことをヒューラー「総統」と呼んだとか。(嘘。それは映画「博士の異常な愛情」だっつーの)しかし彼がミサイル開発に手を染めたのは、月ロケットを作成するための一つのシュミレーションにすぎなかったというから大変である。彼にとって「月への1ステップ」に過ぎないその「V2号」によって、一千発以上撃ち込まれたロンドンはおそるべき被害を受けた。これがICBMの元祖である。そして大戦後、米ソ両国によってその先端には核弾頭が搭載され、人類は初めてここに「地球を抹殺する力」を手にいれることとなったのである。

  さて、ここまで読んだ方は筆者が彼らロケット屋を批判していると思うかもしれないが、実はそんな事はないのである。人類が地球の主といったところで、ゴキブリや三葉虫や恐竜だってそうだったのだ。しかし彼らはどんなに繁栄しても、引力圏を脱出することはなかった。今まで人間が築いた文明の証として、全人類と地球を質草に入れて大バクチをした彼らを、筆者は許可する。その配当は何かだと?宇宙から見た地球の写真、月に残されたアームストロング船長の足跡。これで充分じゃないか。(アポロ計画への批判は多いが聞くに足るのは唯一、コラムニスト山本夏彦氏の「月はながめるものである」という言葉だけであろう)

宇宙開発とそれに命を掛けた「ロケット屋」のドラマは、パイロットのほうに照準をあてたものでは映画「ライトスタッフ」「アポロ13」や立花隆「宇宙からの帰還」(講談社)などがあるが、「YAWARA」や「MONSTER」の作者、浦沢直樹にも中年パイロット志願者を描いた好中編「NASA!」がある。これは「挑戦する中年!」というジャンルでいつか紹介したい。(出来ねえと思うぞ、時間的に。夢枕漠の「空手道ビジネスマンクラス練馬支部」とか、柳沢みきおの「男の自画像」とかいろいろあるんだけど・・・)


学者中心の作品では伊藤智義・森田信吾の「栄光なき天才たち8」(集英社)を一読されたい。とくに「栄光なき」シリーズは他にも様々な人物を取り上げ傑作をものしているが(お勧めは1-3)、本巻はその中でもとび抜けて大傑作であります。ここで印象深いシーンは数多いが、中でもアポロの月着陸のTV中継をソ連の科学者グループが見つめる場面が印象深い。資金問題から早々と月旅行計画を中止した政府の為、いわば「不戦敗」となった彼らが、羨望と悔しさと共感の混じった目で画面を見つめる。その背後ににあるツィオコルフスキーの巨大な肖像。その下には彼の言葉––––「今日の不可能は、明日可能となる」が、まるでこの瞬間を予言しているかのように刻まれている・・・・・(しかし物語的には完璧だが、実際にソ連の科学者が集まってTVを見たのか、本当に肖像画が飾られているのかはわからない。これは「ドキュメンタリー・マンガ」がそのジャンルに関わらず内包している問題点でもある)
あさりよしとおまんがサイエンス2」はいわゆる「学研まんが」を現代風のセンスと味付けで構成した作品です。人間ドラマ(歴史のエピソード)とロケットの科学的説明(人工衛星と月ロケットの条件の違いってわかりますか?俺はこれで初めて知った。)をバランスよく配置し、また従来の学習マンガのお約束を逆手にとってパロディ化したりと芸が細かい。それもそのはず、作者のあさりよしとおは「宇宙家族カールビンソン」という八割以上がパロディネタというマンガを10年近く続けてているくらいですから、パロディはお手のもの。彼自身も宇宙マニアである。

今、このかなり前の文章を自分で読んで気づいたけど、これは松本仁一記者の「カラシニコフ」(第二部が朝日新聞で連載中)に自分が抱いている、興味や問題意識と共通しているんだなあ。

PRIDEの「ルール敗戦」・・・加州はDSEの「赤壁」と化した

NHBニュースとマルチポスト

いかにして「米国でPRIDEルールの認可を」というDSEの野望は水泡に帰したのか?格闘技を超え、日米のビジネス摩擦の一典型ともいえる。
すべての人の必読文章!

http://zenzen.jugem.jp/?eid=425#comments

「・・・DSEの代理として話したAltavillaは特に6つのガイドラインを彼の会社は含めて欲しいと述べました。もしこの州でプロモートするのであるならば、これらが必要となります。PRIDEラウンドとスコア、設備の使用、ギ又は靴の着用した試合ができること、グラウンドポジションでの頭部へのキックと膝の使用、そして最も重要なのは・・・」


あと、これね。

皮肉なねじれの中、Hendrickは共和党上院議員を呼び出し、アリゾナ州のJohn McCain(1990年代中頃、UFCにとって最大の批判者でした)を味方とし、統一ルールから外れる事に対する彼の意見を話してもらいました

ジョン・マケインですよ。皆さんも記憶を辿ってください。ジョージ・ブッシュ・ジュニアが2000年の大統領選挙に初出馬したとき、最大の挑戦者として最後まで立ちはだかった男です。ベトナムで捕虜にもなった軍の英雄、資本の後ろ盾はあまりなく、ネットによる広い募金調達の草分け、宗教右派とは距離を置く・・・などで、現在も非主流派ではあるが、それゆえに存在感は増しており、2008年の候補という声も消えない。
昨年はジョン・ケリーのほうが逆に副大統領候補に指名し「ベトナム・コンビ」を組むという話さえあった。この大物政治家の「意向」が見えない力になっていたのです。


あとは、「ロビイスト」の存在感がやはりアメリカならでは、日本ではロビイストロビイストと名乗らないで活動するけど、アメリカでは公の立場であるからえげつない半面わかりやすい。
格闘マスコミ各位、こいつらの声を聞くことは出来ませんかね?
ある種、宣伝と知名度が必要な商売だから、けっこう簡単に取材は可能になると思うんですが。